資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問11

問題・正答・学習用解説

問題

コンクリート工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    同一区画のコンクリート打込み時における打重ね時間間隔の限度は、外気温が20℃であったので、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間の範囲内である120分とした。
  2. (2)
    マスコンクリートの打込み後、コンクリート内部の温度が著しく上昇したので、コンクリートを冷却することを目的として、打込み表面に散水した。
  3. (3)
    高流動コンクリートの打込みにおいて、コンクリートが材料分離することなく型枠内の隅々に自己充塡できる状況であったので、内部振動機(棒形振動機)による締固めを行わなかった。
  4. (4)
    軽量コンクリートの圧送において、輸送管の水平換算距離が150m以上であったので、輸送管の呼び寸法を125Aとした。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

選択肢2が不適当です。マスコンクリートの内部が高温になったとき、表面だけを急に冷やすと内部との温度差が増え、温度ひび割れを起こす恐れがあります。内部温度を下げたいという目的でも、表面へ散水して冷却する本肢の判断は適切ではありません。
マスコンクリートは、厚い基礎など、セメントと水の反応で生じる熱が内部へたまりやすい大きな部材です。コンクリートも熱いと伸び、冷えると縮みます。内部が熱いまま表面だけ冷やすと、表面は縮もうとしますが、内部に拘束されて自由に縮めません。そのため表面に引張りの力が生じ、引張りに弱いコンクリートが割れやすくなります。
例えば内部60℃、表面40℃の状態から表面だけ20℃へ下げると、内外の差は20℃から40℃へ増えます。これは仕組みを説明する例で、許容温度を示す数値ではありません。表面温度を下げれば内部との関係も改善する、とは限らないことが分かります。計画した材料・打込み温度・保温などの管理で、最高温度と内外の差、温度が下がる過程を総合的に扱います。通常の乾燥防止のための水分養生と、熱い部材の表面を急冷する行為も区別します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。打重ね時間間隔は、先の層を打ち込んでから次の層を重ねるまでの時間です。外気温20℃は25℃以下の区分で、一般的な限度150分以内に対し120分とし、先のコンクリートが再振動可能な状態であることも満たしています。先の層が固まり過ぎると、後の層と一体にならないコールドジョイントをつくる恐れがあります。時計の条件だけでなく、再び振動を与えて一体化できる状態を確認するのが要点です。練混ぜから打込み終了までの時間とは別の時間を測っています。

選択肢2

選択肢2:不適当です。表面へ散水して急冷すると、内部はまだ高温なのに表面だけが縮もうとし、内外の温度差による引張応力が大きくなります。内部の温度上昇に対する対策は、熱を発生する材料の選び方、打込み前の温度、適切な保温や計画した冷却などを含めて検討します。水を掛ければ必ずひび割れを防げるわけではありません。一般の湿潤養生では乾燥を防ぐ水が役立ちますが、マスコンクリートの急冷では別の作用を起こします。目的と温度条件を分けて判断します。

選択肢3

選択肢3:適当です。高流動コンクリートは、流れやすさと材料分離への抵抗を両立させ、型枠の隅や鉄筋の間へ自ら充填できるようにしたものです。本肢は、材料分離せず自己充填できる状態が確認されているので、通常の棒形振動機による締固めを行わない施工が適当です。砂利だけ沈むなど材料が分かれてしまえば、流れて見えても品質は良好ではありません。自己充填性を確認した材料・条件であることが前提です。普通のコンクリートへ水を多く足したものを同じように扱ってはいけません。

選択肢4

選択肢4:適当です。軽量コンクリートを長い距離へ圧送すると、管内の抵抗による圧力や、骨材の吸水などに伴う性状変化へ注意が必要です。本肢の水平換算距離150m以上で125Aの輸送管を用いる扱いは適当です。水平換算距離は、高さや曲がりなどによる圧送の負担を、水平な管の長さに換算して扱うものです。直線の平面距離だけではありません。管径を十分に確保して抵抗を抑え、ポンプ能力や配管経路、コンクリートの性状を組み合わせて圧送計画を立てます。

周辺知識

コンクリートの打込みでは、時間、流動性、温度を同時に管理します。時間が空き過ぎれば層同士が一体になりにくく、流れにくければ隙間へ充填されず、温度差が大きければひび割れの原因になります。見た目が同じ灰色の材料でも、普通、軽量、高流動、マスコンクリートでは重点となる条件が異なります。
マスコンクリートの温度問題には、内外の差による表面のひび割れと、部材全体が冷えて縮む際に外部から拘束されることなどによるひび割れがあります。表面だけの温度計では内部の最高温度を把握できないため、必要な位置で温度を測り、計画と照合します。保温することが、冷却したい状況でも表面の急な収縮を抑えるために役立つ場合があります。
施工方法を選ぶ際は、なぜその操作を行うかを確認します。振動は普通のコンクリートの充填に役立ちますが、自己充填性のある材料に同じ操作が常に必要とは限りません。水も乾燥防止には役立ちますが急冷では問題を生じ得ます。材料の種類と現在の状態を確かめ、適合する手順を使うことが基本です。