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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

品質管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    工事現場における木材の含水率は、1本の製材の異なる2面について、両木口から300mm以上離れた2か所及び中央部1か所の計6か所を測定した値の平均とした。
  2. (2)
    鉄骨の建方における高力ボルト継手の仮ボルトについては、本接合のボルトと同軸径の普通ボルトで損傷のないものを使用し、1群に対して13\displaystyle \frac{1}{3}以上、かつ、2本以上をバランス良く配置して締め付けた。
  3. (3)
    外気温の低い時期における普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの養生は、コンクリートを寒気から保護し、打込み後5日間以上、コンクリートの温度が2℃以上に保たれるようにした。
  4. (4)
    鉄筋の手動ガス圧接継手の外観検査については、1検査ロット(1組の作業班が1日に施工した圧接箇所の数量)から無作為に抜き取った30か所を対象とした。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4が不適当です。手動ガス圧接継手の外観検査は全数について行います。1ロットから30か所を無作為に抜き取るという扱いは、超音波探傷試験などの抜取検査と混同したもので、外観検査を30か所へ限定してよいという意味ではありません。
ガス圧接は、鉄筋の端を突き合わせて加熱し、押し付けて一体化する接合方法です。つないだ部分にはふくらみができるため、その大きさや形、鉄筋の中心のずれ、折れ曲がりなどを外から確認します。これらは全ての継手で必要な形になっているかを調べます。
例えば一日に200か所施工したロットなら、外観は200か所全てが対象です。そこから別途30か所を抽出して内部の状態を調べる試験を行う場合も、残り170か所の外観確認を省くことにはなりません。外観検査は見える形、超音波探傷は音の反射などによる内部の不連続というように、分かる内容が違います。「同じ継手の検査だから数量も同じ」とは考えず、検査名、確認できる欠陥、対象数量を組み合わせます。ロットはまとめて品質を判定する単位であり、全ての検査が抜取りになることを意味する言葉ではありません。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。木材は端面である木口や表面から水分を失うため、場所によって含水率が異なります。木口のすぐ近くは中央部より乾きやすく、そこだけ測ると全体を乾いていると誤って判断し得ます。異なる2面で、両木口から300mm以上離れた2点と中央1点を測ると、1面3点、2面で6点です。その平均を採る本肢は適当です。測定点を分散させて偏りを小さくする方法であり、同じ一点を6回測ることとは違います。材料内の水分分布を考慮した測り方です。

選択肢2

選択肢2:適当です。仮ボルトは本接合を終えるまで部材の位置と安定を保つために使います。1群のボルト数の3分の1以上、かつ2本以上を、偏らないよう配置します。例えば本接合が12本なら4本以上、3本なら割合では1本でも最低2本が必要です。両方の条件を満たす数を採る点が大切です。本接合と同じ軸径で損傷のない普通ボルトを使うのも、孔との納まりと仮固定の確実さを保つためです。必要本数を満たしても一方へ集中させず、バランスよく締め付けます。

選択肢3

選択肢3:適当です。普通ポルトランドセメントを使う本肢では、寒気から保護し、打込み後5日間以上、コンクリート温度を2℃以上に保つ扱いです。コンクリートは水とセメントの反応で強度が育ちますが、低温では反応が遅く、初期に凍結すると内部が傷む恐れがあります。外気温が一時的に高いかどうかだけでなく、コンクリート自身の温度を管理します。この初期の保護条件を満たしただけで全ての養生が終わるわけではなく、必要な水分保持や強度の確認も行います。

選択肢4

選択肢4:不適当です。外観検査は全ての圧接箇所に行います。ふくらみ、偏り、曲がりなど外から分かる不良を、30か所だけの確認で済ませることはできません。無作為の30か所という数は、別の抜取試験でロットの品質を調べる扱いと分けて覚えます。例えば見た目がよい30か所を選ぶのであれば無作為ですらありません。検査方法ごとに対象と選び方が定められているため、外観と内部、全数と抜取りを混ぜず、それぞれの手順を実施する必要があります。

周辺知識

品質管理では、材料を測る位置、部材を仮固定する数量、養生する温度と時間、接合を検査する範囲などを具体的に決めます。いずれも、材料や作業にばらつきがあることを前提に、必要な性能へ近づけるための管理です。
全数検査と抜取検査は、対象の数が違います。全数は一つ残らず確認し、抜取りは定めた方法で一部を選びます。ただし全数で外観を見ても内部まで全て分かるわけではありません。一方、内部の抜取試験を行っても外観の全数確認に置き換わりません。数と検査方法の二つの軸で整理する必要があります。
平均値にも限界があります。木材を複数点測るのは代表性をよくするためですが、平均だけでは極端にぬれた部分などの存在を完全には表せません。施工中の状態を観察し、測定結果を材料や工程の状況と結び付けます。コンクリートの温度も、外気ではなく保護している材料の状態を見る必要があります。「どこを、何で、いくつ、いつ測るか」が、数字を正しく使うための基本です。