学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問4
問題・正答・学習用解説
問題
建築工事の届出等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
選択肢3が不適当です。騒音規制法の指定地域で特定建設作業を行う場合、実施の届出先は市町村長です。都道府県知事ではありません。工事施工者が、原則として作業開始の7日前までに届け出るという部分は適当なので、誤りは提出先にあります。
特定建設作業は、著しい騒音を発生する作業として定められたものです。対象には一定のくい打ちなどがあり、使用機械や作業方法の条件によって該当を判断します。指定地域は、生活環境を守るため騒音の規制を行う地域です。どこでどんな作業をするかが、届出の必要性の前提になります。
作業の種類、期間、場所、騒音を抑える方法などを事前に知らせることで、地域の生活環境への影響に対応します。本肢の都道府県知事は、ほかの建築・環境関係の手続では登場するため混同しやすい相手です。しかし、役所へ出したというだけでは所定の手続になりません。石綿調査、足場の設置、騒音作業、消防用設備の設置は、それぞれ対象、提出者、提出先、期限が異なります。長い文章をこの四項目へ分け、市町村長という正しい相手へ直すと、どこが誤りかを明確にできます。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:適当です。請負代金100万円以上の建築物の改修工事は、石綿の事前調査結果の報告対象となる規模です。石綿は非常に細い繊維が吸い込まれると健康に影響するため、壊す前に含有建材の有無を調べます。都道府県知事と労働基準監督署長への報告という本肢の扱いは適当です。石綿が見つかった場合だけ報告するのではありません。また、100万円未満なら事前調査自体が全て不要という意味でもありません。調査義務と一定規模以上の結果報告義務を区別します。
選択肢2
選択肢2:適当です。高さ10m以上で組立てから解体までの期間が60日以上となる足場などは、設置の計画届の対象です。本肢の15m、6か月は両条件に該当し、工事開始30日前までに労働基準監督署長へ提出する扱いが適当です。高さだけでなく使用期間も見る点が大切です。長期間使う高い足場では、構造や壁つなぎなどの計画を事前に整える必要があります。完成してから安全だったと報告する手続ではなく、設置前に計画を届けるものとして期限を捉えます。
選択肢3
選択肢3:不適当です。特定建設作業実施届出書の提出先は市町村長です。指定地域、特定建設作業、施工者による届出、原則7日前という部分は適当で、都道府県知事の部分を直します。近隣へ騒音が及ぶ作業を行う前に、場所や期間などを知らせるための届出です。建設工事全体の開始日と、届出対象となる特定建設作業の開始日も必ず同じとは限りません。どの作業について、何日前までに知らせるかを正確に読むことで、他の計画届との混同を防げます。
選択肢4
選択肢4:適当です。消防用設備等を所定の基準に従って設置した場合、設置後の届出は工事完了から4日以内という扱いです。本肢は防火対象物の関係者が消防署長へ提出しており、適当です。防火対象物は消防法で安全確保の対象となる建物などをいいます。ここでの書類は完成した設備の設置届であり、設備の工事を始める前の届出とは時点が異なります。消火器や警報設備などは、設置したというだけでなく、必要な機能と検査・届出の手順を確認して使用につなげます。
周辺知識
届出の問題は、数字だけをまとめて暗記すると取り違えやすくなります。まず、何を守る制度かを考えます。石綿は作業員と周辺の人の健康、足場は労働災害の防止、騒音は地域の生活環境、消防用設備は火災時の安全に関係します。その目的に応じて、届ける相手や時期が定められています。
事前の手続と事後の手続も分けましょう。足場の設置計画や特定建設作業は、始める前に計画を知らせるものです。消防用設備の設置届は、工事が完了した後に提出するものです。「30日前」「7日前」「4日以内」を、全て同じ着工日から数えてはいけません。
規模の基準についても、ある手続の対象外だから関連する対策が全部不要とは限りません。石綿調査の結果報告に規模条件があっても、建材を壊す前の調査やばく露防止の必要性まで消えるわけではありません。本問が尋ねる書類を特定し、対象、提出者、提出先、起点と期限を一つずつ照合します。出題年度の制度を前提に判断することも、過去問を学ぶ際には大切です。