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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問2

問題・正答・学習用解説

問題

工事現場の管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    公共性のある工作物に関する重要な建設工事で、監理技術者を専任で置かなければならない現場であっても、元請の監理技術者については、監理技術者補佐を当該工事現場に専任で置く場合には、2現場まで兼任することができる。
  2. (2)
    くい打機の巻上げ用ワイヤロープの安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値とし、3から5の間の値とする。
  3. (3)
    地上又は床上における補助作業の業務を除き、枠組足場の解体の業務には、満18歳に満たない者を就業させてはならない。
  4. (4)
    鉄筋コンクリート造で高さ40mの煙突の解体工事を行う場合、当該工事を開始する日の14日前までに、建設工事計画届を労働基準監督署長へ届け出なければならない。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

選択肢2が不適当です。くい打機の巻上げ用ワイヤロープに必要な安全係数は6以上です。「切断荷重実際にかかる最大荷重」という定義の部分は適当ですが、3から5という値では必要な余裕を満たしません。
切断荷重はロープが切れる荷重の目安、使用時の最大荷重は作業中にそのロープへ作用する最大の力です。安全係数は、この二つの力を同じ単位で割って求めます。例えば切断荷重60kN、作用する最大荷重10kNなら次のように計算します。
6010=6\frac{60}{10}=6
kN同士を割るため、係数そのものには単位が残りません。
同じロープに15kNをかけると次のように計算します。
6015=4\frac{60}{15}=4
本問の必要値を下回ります。逆に、係数6以上を確保するには、切断荷重60kNなら作用荷重を606=10 kN\displaystyle \frac{60}{6}=10\,\mathrm{kN}以下に抑える関係になります。ロープは曲げられ、繰返し使われ、摩耗などの影響も受けるので、切れる限界そのままで使うことはできません。安全係数を大きくするとは、実際の荷重に対して強さの余裕を増やすことです。定義を覚えたうえで、分母が増えると係数が小さくなる関係を数値例で確認しましょう。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。本問の制度では、専任の監理技術者が必要な現場でも、所定の監理技術者補佐を各現場へ専任で配置するなどの条件を満たせば、元請の監理技術者は2現場まで兼任できます。専任とは、その現場の業務に従事する配置の考え方です。補佐を置かずに自由に二つの現場を担当できる制度ではありません。監理技術者は施工の技術上の管理を担い、建築主側の工事監理者とは役割が違います。名称が似ていても、制度上の立場と兼任の条件をそろえて判断します。

選択肢2

選択肢2:不適当です。安全係数の式は正しいものの、下限は6であり、3〜5では不足です。切断荷重60kNのロープへ20kNをかければ係数3ですが、これを本肢の範囲内だから適当とはできません。必要な係数6以上なら最大10kNという関係になります。また、係数の計算に適合していても、素線の切断や著しい摩耗などがあるロープをそのまま使えるわけではありません。強さの余裕を計算する確認と、実物の損傷を調べる確認の両方が必要です。

選択肢3

選択肢3:適当です。枠組足場の組立て・解体には、高所からの墜落や部材の落下などの危険があります。そのため18歳未満の者をその業務へ就かせることには制限があり、本肢の取扱いは適当です。地上や床上で行う補助作業を除くという条件も読み取ります。単に工事現場に入る全ての作業を一括で禁止している説明ではありません。年齢だけでなく、実際に何の作業をどの場所で行うかを確認します。特別教育などを受けたことだけで、この年齢による制限が消えるわけでもありません。

選択肢4

選択肢4:適当です。高さ40mの鉄筋コンクリート造煙突の解体は、工事計画の届出が必要となる規模の工事です。開始日の14日前までに労働基準監督署長へ届け出ます。煙突は高く細長い構造で、解体順序や足場、落下範囲などを事前に計画する必要があります。届出は着工後に作業実績を報告する書類ではありません。工事の種類、高さなどの規模、届出先、提出期限をセットにして判断します。別の機械や足場の設置届で使う30日前などの期限と混同しないことが大切です。

周辺知識

現場管理の基準には、能力のある人を配置する条件、危険な業務へ就ける人の条件、機械や材料の安全条件、事前に計画を届ける条件があります。どれか一つを守れば他が不要になるのではなく、異なる面から事故を防ぐ仕組みです。
安全係数は、材料の限界と使用時の力の間に余裕を設けるものです。分子は耐えられる側、分母は作用する側と考えます。同じ材料でも重い物を扱えば分母が増え、係数は下がります。複数のロープで吊る場合などは、各ロープにかかる力が荷物の重さを単純に本数で割った値になるとは限らず、角度なども影響します。まずそのロープへ働く力を適切に求める必要があります。
人員の制度や届出は、適用時点や工事の条件によって変わります。本問では出題が前提とする制度と規模を守って読み、監理技術者と工事監理者、専任と兼任、工事計画届と機械等設置届を区別します。名称、対象、条件を先に整理してから数字を当てはめると、似た数値が並んだ問題でも判断しやすくなります。