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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅳ(構造) 問4

問題・正答・学習用解説

問題

図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1\displaystyle P_1、R階に水平荷重P2\displaystyle P_2が作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、全ての部材の自重は無視する。問4の図1

選択肢

  1. (1)
    2階に作用する水平荷重P1\displaystyle P_1は、100kNである。
  2. (2)
    2階の梁のせん断力QB\displaystyle Q_Bは、64kNである。
  3. (3)
    1階右側の柱の軸方向圧縮力NC\displaystyle N_Cは、128kNである。
  4. (4)
    右側の支点の鉛直反力Vは、152kNである。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

C点の柱軸方向圧縮力は96 kN\displaystyle 96\,\mathrm{kN}であり、128 kN\displaystyle 128\,\mathrm{kN}とする記述が誤りです。軸方向力は柱を縦に押す力、せん断力は部材の断面を横へずらそうとする力です。柱の曲げモーメント図から、接合部でつり合う梁端モーメントを求め、梁のせん断力を柱へ伝わる鉛直力として追います。
屋根の接合部では、柱の端部モーメント160 kN⋅m\displaystyle 160\,\mathrm{kN\cdot m}を梁が受け持ちます。左右の梁端の効果を合わせると、屋根梁のせん断力は、次のとおりです。
160+16010=32 kN\frac{160+160}{10}=32\,\mathrm{kN}
2階の接合部には上下の柱が集まるので、梁端モーメントは120+200=320 kN⋅m\displaystyle 120+200=320\,\mathrm{kN\cdot m}。中間梁のせん断力は、次のとおりです。
320+32010=64 kN\frac{320+320}{10}=64\,\mathrm{kN}
C点より上の右柱には、この屋根から32 kN\displaystyle 32\,\mathrm{kN}と2階から64 kN\displaystyle 64\,\mathrm{kN}が下向きに伝わるため、NC=32+64=96 kN\displaystyle N_C=32+64=96\,\mathrm{kN}となります。基礎梁のせん断力56 kN\displaystyle 56\,\mathrm{kN}はC点より下の接合部で加わるので、C点の軸力には含めません。支点反力と、その直上の柱軸力は、途中に梁が接続すると異なる値になり得ます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)上階の柱1本のせん断力は160+1204=70 kN\displaystyle \frac{160+120}{4}=70\,\mathrm{kN}です。柱が2本あるので、上階全体では140 kN\displaystyle 140\,\mathrm{kN}となり、これが屋根の荷重P2\displaystyle P_2です。下階では柱1本が、次のとおりです。
200+2804=120 kN\frac{200+280}{4}=120\,\mathrm{kN}
、2本で240 kN\displaystyle 240\,\mathrm{kN}を負担します。下階は屋根と2階の両方を支えるため、
P1=240−140=100 kN\begin{aligned}P_1&=240-140\\[4pt]&=100\,\mathrm{kN}\end{aligned}
階に作用する外力は、その上下の階せん断力の差から求めます。

選択肢2

(2)Bを含む2階の梁端には、上の柱の120 kN⋅m\displaystyle 120\,\mathrm{kN\cdot m}と下の柱の200 kN⋅m\displaystyle 200\,\mathrm{kN\cdot m}が同じ回転方向の作用として集まります。接合部が回り出さないためには、梁がその合計320 kN⋅m\displaystyle 320\,\mathrm{kN\cdot m}とつり合う必要があります。左右の端で同じ大きさとなるので、梁のせん断力は、次のとおりです。
QB=2×32010=64 kN\begin{aligned}Q_B&=2\times\frac{320}{10}\\[4pt]&=64\,\mathrm{kN}\end{aligned}
梁に途中の鉛直荷重はなく、このせん断力はスパン内で一定です。

選択肢3

(3)128 kN\displaystyle 128\,\mathrm{kN}は、2階梁のせん断力64 kN\displaystyle 64\,\mathrm{kN}を2回足した値ですが、屋根梁が伝える力は64 kN\displaystyle 64\,\mathrm{kN}ではなく32 kN\displaystyle 32\,\mathrm{kN}です。柱に流れる鉛直力は、階ごとに実際の梁端モーメントから求める必要があります。C点を横切るように切り、上側だけを取り出すと、右端に集まる下向き力は32+64=96 kN\displaystyle 32+64=96\,\mathrm{kN}です。そのつり合いとして切断面が上向き96 kN\displaystyle 96\,\mathrm{kN}を与えるため、柱は96 kN\displaystyle 96\,\mathrm{kN}の圧縮を受けています。

選択肢4

(4)基礎梁では両端のモーメントが280 kN⋅m\displaystyle 280\,\mathrm{kN\cdot m}なので、せん断力は2×28010=56 kN\displaystyle 2\times\frac{280}{10}=56\,\mathrm{kN}です。右支点ではC点からの96 kN\displaystyle 96\,\mathrm{kN}にこれも加わり、V=96+56=152 kN\displaystyle V=96+56=152\,\mathrm{kN}です。全体の転倒モーメントでも検算できます。左支点回りに
100×4+140×8=1520 kN⋅m100\times4+140\times8=1520\,\mathrm{kN\cdot m}
を右反力の腕10 m\displaystyle 10\,\mathrm{m}で支えるため、V=152010=152 kN\displaystyle V=\frac{1520}{10}=152\,\mathrm{kN}です。

周辺知識

曲げモーメント図の傾きは、部材のせん断力に対応します。長さL\displaystyle Lの部材でモーメントが直線的に変化するなら、せん断力は次の比で表されます。
端から端までの符号付きの変化量長さ\frac{\begin{gathered}\text{端から端までの}\\\text{符号付きの変化量}\end{gathered}}{\text{長さ}}
図で端部モーメントが部材の反対側に描かれているときは、一方から他方へ0をまたいで変わるので、絶対値同士を足した量が変化量になります。大きい数字から小さい数字を機械的に引かないようにします。
接合部では、そこへ集まる柱や梁のモーメントがつり合います。次に、それぞれの梁を取り出し、梁端モーメントと端の鉛直力をつり合わせると、梁せん断力が分かります。その鉛直力は柱を押す力として下へ伝わるため、下階の柱ほど上の階からの力が累積します。
水平荷重しかないのに柱軸力が生じるのは、骨組が転倒しようとする作用を、左右の柱の押し引きで抵抗するためです。右側では圧縮、左側では引張り側の作用となり、全体の鉛直力の合計は0になります。局部の柱・梁・接合部のつり合いと、建物全体のつり合いの両方で同じ値を確認すると、加える階や力の向きの間違いを発見できます。