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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅰ(計画) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

建築積算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    所要数量とは、仮設、土工事等における、設計図書に基づいた施工計画による数量のことである。
  2. (2)
    設計数量とは、設計図書に記載されている個数及び設計寸法から求めた長さ、面積、体積等の数量のことである。
  3. (3)
    工事費における工事原価とは、純工事費と現場管理費を合わせたものである。
  4. (4)
    工事費における共通費とは、共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等を合わせたものである。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。仮設や土工事等について、設計図書に基づく施工計画から求める数量は「計画数量」です。「所要数量」は、材料を規格寸法から切り出す際の余りや、施工上避けられない損耗等を含む数量です。設問は、この二つの名称を取り違えています。
例えば地下の基礎をつくるとき、完成した基礎の体積だけ土を掘れば施工できるとは限りません。作業の余地や掘削方法を考え、施工計画に基づいて掘る量を求めます。これが計画数量の考え方です。一方、木材を切って部材をつくる場合、完成部分の長さだけでなく、切れ端などを含めて用意する量が必要です。こちらが所要数量の考え方です。
設計数量は、図面上の個数や寸法から求めた完成形の数量です。この三つを「完成形」「施工方法」「材料の切り無駄等」と対応させれば区別できます。積算では数量と単価を適切に組み合わせることが重要で、材料ロスを単価に含める扱いなら、数量側でも重ねて加算すると二重計上になります。費用の区分についても、工事原価と共通費が何を含むかを確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。設計図書に基づいた施工計画から求める数量は計画数量です。所要数量は、定尺寸法からの切り無駄や、施工上やむを得ない損耗等を含む量です。例えば足場の範囲や掘削の方法に基づく量を求めることと、切り出した後に残る端材を含めて木材を用意することは、数量が増える理由が違います。「必要な量」という日常語だけで両方を所要数量と呼ばず、積算上の定義に従って区別します。

選択肢2

(2)適当です。設計数量は、設計図書に記載された個数や寸法から求める数量です。例えば設計上の壁の幅が4m、高さが3mなら、開口等の取扱いを別にすれば面積は12 m2\displaystyle 12\,\mathrm{m^2}です。これは完成した壁を表す量であり、材料の切れ端や施工のための作業場所を加えたものではありません。実際の計測・計算は積算基準に従いますが、図書に表された対象を数量化するという出発点を押さえると、他の数量と区別できます。

選択肢3

(3)適当です。純工事費は、直接工事費と共通仮設費を合計したものです。これに現場管理費を加えると、工事原価になります。材料や施工手間だけでなく、現場を管理する人や運営の費用も工事を行うために必要だからです。さらに工事原価へ一般管理費等を加えたものが工事価格です。「原価」と「価格」を同じと考えると、会社全体の経費等をどこへ含めるかが分からなくなるため、足し合わせる順番で整理します。

選択肢4

(4)適当です。共通費は、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等を合わせた区分です。建物の部分を直接つくる費用と、それを支える現場全体や会社全体の費用を分けて整理しています。共通仮設費は現場で共通に使う仮設等、現場管理費は現場の運営・管理、一般管理費等は会社全体の経費や利益等に関係します。「共通」という一語だけで全てが同じ費用になるのではなく、対象とする範囲が異なります。

周辺知識

積算で数量の名称を区別する理由は、何を数えたかを関係者が共有し、単価と正しく組み合わせるためです。完成品の量に対する単価なのか、材料を用意する量に対する単価なのかによって、計算の意味が変わります。同じ「10m」という数値でも、完成した部材の長さと、購入する規格材の長さでは意味が違います。
工作を例にすると、完成する箱の寸法が設計図書、切り取って箱に残る部分が設計数量に相当します。購入する板には切れ端が出るので、その分を含む材料の量が所要数量の理解に役立ちます。一方、作業を行うために組む足場や土を掘る範囲は、完成品の形だけでなく作業方法から求めるため、計画数量として扱います。
費用の階層は、直接工事費に共通仮設費を加えて純工事費、現場管理費を加えて工事原価、一般管理費等を加えて工事価格、と順にたどります。共通費はこのうち三つの経費をまとめた別の区分です。名称を丸暗記するより、数量は何を表し、費用はどの範囲を支えるかを説明できるようにすると、計上漏れと二重計上を見つけやすくなります。