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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅰ(計画) 問11

問題・正答・学習用解説

問題

都市計画法に規定される地域地区の名称とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
地域地区説明
1.高度利用地区市街地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、都市計画に建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めることができる地区
2.市街化調整区域無秩序な市街化防止と計画的な市街化を図るために定められる、市街化を抑制すべき区域
3.生産緑地地区市街化区域内にある農地等において、公害又は災害防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等の良好な生活環境の確保に効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適していると指定された地区
4.景観地区市街地の良好な景観の形成を図るため、建築物の形態意匠の制限、建築物の高さの最高限度又は最低限度、壁面の位置の制限、敷地面積の最低限度について、都市計画に定めることができる地区

選択肢

  1. (1)
    高度利用地区/市街地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、都市計画に建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めることができる地区
  2. (2)
    市街化調整区域/無秩序な市街化防止と計画的な市街化を図るために定められる、市街化を抑制すべき区域
  3. (3)
    生産緑地地区/市街化区域内にある農地等において、公害又は災害防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等の良好な生活環境の確保に効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適していると指定された地区
  4. (4)
    景観地区/市街地の良好な景観の形成を図るため、建築物の形態意匠の制限、建築物の高さの最高限度又は最低限度、壁面の位置の制限、敷地面積の最低限度について、都市計画に定めることができる地区

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区は「高度地区」です。「高度利用地区」は、容積率、建蔽率、建築面積、壁面位置などを定め、市街地の土地を合理的に利用するための制度です。名称に「利用」が付くかどうかで、規制の中心が異なります。
高度地区は、例えば一定以上に高い建物を抑えて住環境を保つなど、建物の高さへ直接働きかけます。高度利用地区は、敷地を細かく低密度に使い続けるのでなく、まとまった建築と空地を確保するなどして、土地の利用を整える考え方です。容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面位置の制限などを使います。
ここで容積率は敷地面積に対する延べ面積の割合、建蔽率は敷地面積に対する建築面積の割合です。同じ高さでも床の広さや空地の取り方は異なるため、土地の高度利用を高さだけで表すことはできません。(1)は高度地区の説明を高度利用地区に対応させており、制度名と内容が一致しません。他の選択肢は、市街化の抑制、農地の保全、景観の形成という目的に合っています。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。高さの最高限度又は最低限度を定めるのは高度地区です。高度利用地区は、土地を合理的に使うために容積率や建蔽率等を組み合わせる制度です。例えば、建物が敷地全体へ低く広がる状態を見直し、必要な床面積をまとめながら地上に空地を確保する考え方が関係します。「高度」という字から高い建物だけを連想せず、高さを直接制限する制度と、土地利用の密度や形を調整する制度を分けます。

選択肢2

(2)適当です。市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。道路や上下水道などの整備と無関係に建物が郊外へ点在すると、公共施設の維持負担や交通の不便が増えます。そのため、計画的に市街化する区域と抑える区域を分け、無秩序な拡大を防ぎます。これは区域区分の仕組みであり、用途地域等の地域地区とは制度上の区分が異なります。全ての建築が絶対に不可能という意味ではなく、開発許可等の条件に従って扱います。

選択肢3

(3)適当です。生産緑地地区は、市街化区域内の農地等がもつ緑地としての働きに着目して保全する制度です。農地は食料生産の場所であるとともに、都市の中の空間的なゆとりや、環境・防災上の働きをもちます。将来の公共施設等の敷地としての適性も踏まえて指定します。単に建物を建てない空地とは異なり、農地等としての管理を続けながら、都市生活に役立つ緑を確保する仕組みとして理解します。

選択肢4

(4)適当です。景観地区は、個々の建物だけでなく、街並み全体として良好な景観をつくるための地区です。形態意匠は、建物の形、色彩、材料の見え方などに関係し、高さや壁面位置、敷地の大きさ等も合わせて定められます。同じ高さでも外壁の色や屋根の形が大きく異なれば、街並みの印象は変わります。したがって、高さだけに限定せず、通りに面した建物群がどう見えるかを調整する制度です。

周辺知識

都市計画の制度は、まず目的で整理すると理解しやすくなります。市街化を進めるか抑えるかは区域区分、土地や建物の用途・形を調整するのは地域地区などの仕組みです。その中で、高度地区は高さ、高度利用地区は土地の合理的な利用、生産緑地地区は都市農地の保全、景観地区は街並みの形成を主な対象としています。
敷地1,000 m2\displaystyle 1{,}000\,\mathrm{m^2}に、建築面積500 m2\displaystyle 500\,\mathrm{m^2}、各階500 m2\displaystyle 500\,\mathrm{m^2}の4階建てを建てる単純な例なら、建蔽率と容積率は次のように計算できます。
建蔽率=5001000×100=50%容積率=20001000×100=200%\begin{aligned}\text{建蔽率}&=\frac{500}{1000}\times100\\[4pt]&=50\%\\[4pt]\text{容積率}&=\frac{2000}{1000}\times100\\[4pt]&=200\%\end{aligned}
建築面積を小さくして階数を増やせば、同じ延べ面積でも地上の空地を増やすことができます。実際の算定には法令上の取扱いがありますが、高さ、建蔽率、容積率が別の量であることが分かります。
一つの敷地に複数の制度が重なることもあります。容積率を満たしていても高さ制限や景観の制限を満たすとは限りません。名称の似た制度を一語だけで暗記せず、「何を守り、どの数値や形を規制するか」の組合せで確認します。