資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅰ(計画) 問6

問題・正答・学習用解説

問題

木質系材料及び工法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    CLTとは、ひき板を繊維方向がほぼ直交となるように積層接着した木質系材料であり、構造躯体として建築物を支えるとともに、高い断熱性能も期待できる。
  2. (2)
    LVLとは、ひき板を繊維方向にほぼ平行となるように積層接着した木質系材料であり、引張強度の高さと品質の均一性から、主に、耐力壁等の面材として使用される。
  3. (3)
    被覆型(メンブレン型)木質系耐火部材とは、柱や梁等の木材の周りに、無機質系建材等を耐火被覆として用いたものである。
  4. (4)
    燃え止まり型木質系耐火部材とは、柱や梁等の木材の周りに、燃え止まり層と呼ばれる耐火被覆材を設け、その外側に燃え代層を張り付けたものである。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。LVLは「単板積層材」で、丸太を薄くむくなどしてつくった単板を、主として繊維方向がほぼ平行になるように重ね、接着した材料です。設問の「ひき板」は原料の説明が違います。ひき板は丸太をのこぎりで挽いて板状にしたものです。また、構造用LVLは柱や梁などにも用いられ、「主に耐力壁等の面材」とする説明も適切ではありません。
木は繊維の方向によって強さや収縮の性質が違います。薄い単板を選別し、節などの影響を分散させて接着することで、LVLは品質をそろえやすくなります。薄い板が原料だから、完成した材料も薄い壁板にしか使えない、ということではありません。重ね方や成形した寸法によって、長い棒状の構造部材もつくれます。
CLTは、ひき板の層をほぼ直交するように重ねる材料です。LVLとの違いは、原料が単板かひき板か、重ねる方向が主に平行か直交か、という二段階で整理します。後半の二つは材料名ではなく、木の柱や梁を火災の熱から守る構成の違いです。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。CLTは、ひき板を並べた層を、繊維方向がほぼ直交するように積層接着した厚い木質パネルです。縦横の層を組み合わせることで、壁や床などの大きな面として利用できます。木材は金属等に比べて熱を伝えにくく、厚いパネルには断熱上の効果も期待できます。ただしCLTを使えば建物の断熱が全て完成するわけではありません。必要な性能に応じて断熱材を加え、接合部や開口部の熱損失も検討します。

選択肢2

(2)不適当です。LVLの原料は、ひき板ではなく薄い単板です。その単板を主として繊維方向がほぼ平行になるように積層接着します。構造用LVLは、柱、梁などの軸状部材にも使われます。ひき板をほぼ平行に接着する材料としては集成材があるため、原料と重ね方を混同しないことが大切です。面材か軸材かという用途は、製品の規格、寸法、強度等に応じて決まり、薄い単板からできていることだけでは限定できません。

選択肢3

(3)適当です。被覆型は、荷重を支える木材の外側を、せっこうボード等の無機質系建材による耐火被覆で覆う構成です。火災の熱が木材へ伝わるのを遅らせ、必要な時間、柱や梁の働きを保ちます。衣服で体を包む姿は形の理解には役立ちますが、耐火被覆は規定された材料・厚さ・取付け方法で性能を確保するものです。継目や接合部に弱点があると熱が入りやすいため、部材全体の詳細が重要です。

選択肢4

(4)適当です。燃え止まり型は、荷重を支える中心部の外側に燃え止まり層を設け、さらに外側に燃え代層を配置します。表面の木が燃えて炭化しても、内側の層が熱の進入や燃焼の継続を抑え、中心部を保護します。燃え代は火災時に失われることを見込む部分なので、中心部と同じ役割ではありません。見た目に木を現しながら耐火性能を確保する工夫ですが、必要な性能は部材構成や認定条件に従って確認します。

周辺知識

木質材料は「何を細かくしたか」と「どの方向へ組み直したか」で分類すると整理できます。ひき板を主に平行に重ねるのが集成材、ひき板の層を直交させるのがCLT、薄い単板を主に平行に重ねるのがLVLです。薄い単板を交互に直交させる合板もあります。同じ「積層接着」という表現でも、原料と繊維方向が異なります。
木材は、節や繊維の乱れなどによって一本ごとの性質が違います。小さな要素へ分け、選別して組み直すことは、品質や寸法を調整し、大きな構造部材をつくるのに役立ちます。ただし、加工すれば方向による性質の差や湿気への配慮が消えるわけではありません。接着、含水状態、接合部を含めた設計が必要です。
火に対しては「木は燃えるから耐火建築に使えない」と単純化できません。荷重を支える部分へ熱が届くまでの時間や、燃焼後も残る断面を考え、被覆や燃え止まり層等を組み合わせます。一方、厚い木なら自動的に耐火部材になるわけでもありません。火災時にどこが失われ、どこが力を支え続けるのかを分けて理解します。