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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅰ(計画) 問4

問題・正答・学習用解説

問題

建築物の開口部等に用いるガラスに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    Low-E複層ガラスは、中空層側のガラス面に特殊金属膜をコーティングしたものであり、日射取得型と日射遮蔽型を使い分けることにより、建築物の省エネルギー化に貢献できる。
  2. (2)
    網入板ガラスは、破損してもガラスが脱落しにくくしたものであり、同程度の厚さのフロート板ガラスよりも強度が高いので、耐風圧性能を高めることができる。
  3. (3)
    倍強度ガラスは、同程度の厚さの強化ガラスよりも強度は低いが、破損時に細かい粒状の破片にならないので、高所で使う際には破損しても脱落しにくいなどの効果が期待できる。
  4. (4)
    合わせガラスは、2 枚以上の板ガラスで中間膜を挟み全面接着したものであり、破損時の飛散防止や開口部の防犯性能を高めることができる。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。網入板ガラスの金属網は、ガラスが割れたときに破片が脱落して大きな穴になることを抑えるためのものです。「網が入っているから、同じ程度の厚さの普通のガラスより強い」とは判断できません。網入板ガラスを、耐風圧強度を高める目的で選ぶ説明が不適当です。
風圧とは、風がガラス面を押したり吸い出したりする力を、単位面積当たりで表したものです。ガラスはその力で曲げられるため、種類、厚さ、寸法、枠での支え方などから安全性を検討します。金属網を入れることと、熱処理により表面に圧縮応力を与えて割れにくくすることは、仕組みが異なります。
本問は「割れにくさ」と「割れた後の状態」を分けることが重要です。強化ガラスは割れにくく、割れると粒状になります。倍強度ガラスは強化ガラスほどの強度ではありませんが、大きな破片が枠に残りやすい性質があります。合わせガラスは中間膜が破片を保持します。どの性能が必要かを整理して、適切なガラスと支持方法を選びます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。Low-Eは放射率が低いという意味で、特殊金属膜が熱放射の移動を抑えます。複層ガラスの中空層側に膜を設けることで、膜を保護しながら断熱性等を高めます。日射取得型は冬の日射熱を利用したい場所、日射遮蔽型は夏の日射の侵入を抑えたい場所などで使い分けます。膜の位置や性能、地域・方位・庇の条件を合わせて選ぶことが大切で、全ての窓を最も日射を遮る型にすれば最適とは限りません。

選択肢2

(2)不適当です。網は、割れた後のガラスを保持し、開口が生じにくくする役割をもっています。鉄筋コンクリートのように、金属を入れれば同じ仕組みで強度が高くなると考えてはいけません。網入板ガラスは、同程度の厚さのフロート板ガラスより強いことを前提に耐風圧設計できません。耐風圧はガラスの種類に応じた強度、厚さ、面積、支持条件等で検討します。防火上の役割と、風に対する割れにくさを分けます。

選択肢3

(3)適当です。倍強度ガラスは熱処理で普通の板ガラスより強度を高めますが、強化ガラスほど強くはありません。割れたときは全面が細かい粒になるのではなく、大きな破片となり、枠の中にかみ合って残りやすい性質があります。高所では破片が一度に落下することを抑える効果が期待されます。ただし、必ず脱落しない保証ではありません。使用位置や支持条件によって、合わせ加工などの落下防止措置も含めて選定します。

選択肢4

(4)適当です。合わせガラスは、複数枚のガラスを中間膜で接着したものです。ガラスが割れても破片が膜へ付着し、飛散や脱落を抑えます。また、割っただけでは容易に貫通穴をつくれないことが、防犯上も役立ちます。ただし、防犯性能は膜の種類や厚さ、ガラス構成、窓全体の仕様によって異なります。「合わせ」という名称だけで、どんな攻撃にも耐えると考えず、必要な性能を満たす製品と枠の組合せを確認します。

周辺知識

ガラス選びでは、断熱・日射、強度、破損後の安全、防火、防犯を別々の項目として整理します。複層ガラスは、ガラス間の空気層などで熱を伝えにくくする構成です。合わせガラスは、中間膜によって複数枚を接着する構成です。名前は似ていますが、中心となる仕組みが違い、合わせガラスを一方の板に使った複層ガラスのように、組み合わせることもできます。
「割れにくい」と「割れても被害が小さい」も異なります。教室でボールが当たる場合には衝撃への強さが重要ですが、頭上のガラスでは割れた後に破片が落ちないことも重要です。大きな破片が残る性質が、そのまま人体に安全な破片形状を意味するわけではありません。用途に応じて複数の性能を確保します。
さらに、ガラスの一部だけが日射で熱くなると、温度差による伸び方の違いから熱割れが起こる場合があります。網入ガラスでは端部の状態や錆にも注意します。厚さだけを増せば全て解決するのではなく、日射、影、枠、排水、支持方法まで含めて窓として計画することが必要です。