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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問18

問題・正答・学習用解説

問題

自動火災報知設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    炎感知器は、天井が高い空間のように、熱や煙が天井面に到達する以前に分散し、火災検出が困難な場所において使用される。
  2. (2)
    P型受信機は、R型受信機と異なり、固有信号による伝送方式であるので信号線を少なくすることができる。
  3. (3)
    地区音響装置における区分鳴動方式とは、火災時に一斉に鳴動させることでパニックを発生させないように、階の区分ごとに限定して鳴動させる方式のことである。
  4. (4)
    予備電源が内蔵されていない受信機と非常電源間の配線には、火災時に異常なく動作させるために、耐火配線を使用する。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。火災受信機は、各場所の感知器などから来た信号を受け、火災の発生や場所を知らせる設備です。P型は警戒区域ごとの回線で共通の火災信号を扱う方式、R型は伝送によって固有の信号を扱う方式です。少ない信号線で多くの情報を送れるという本肢の特徴はR型に対応しており、P型とR型を逆にしています。
P型では、どの回線から信号が来たかによって火災の区域を把握する考え方が基本です。R型では、信号そのものに識別情報を持たせるため、一つの伝送経路で複数の端末の情報を区別できます。たとえるなら、部屋ごとに専用の呼出し線を引く方法と、共通の通信経路で番号付きの情報を送る方法の違いです。ただし、実際の端末構成や識別範囲は機器の仕様によります。
大きな建物では監視点や連動する設備が増えるため、配線の数と伝える情報量の関係が重要になります。PとRという記号だけで覚えず、「回線で区別する」「固有の信号を伝送する」という仕組みで整理すると、本問の入替えを見抜けます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。炎感知器は、炎が出す紫外線や赤外線などを捉えて火災を検知します。熱や煙が天井まで上がるのを待つ方式ではないため、天井の高い空間で、熱や煙が途中で拡散してしまう場合に適しています。ただし炎が見通せる範囲や、炎以外の光による影響を考えて配置する必要があります。高天井ならどこに一つ付けても全てを検知できるわけではなく、検出原理に合った見通しの確保が重要です。

選択肢2

(2)不適当です。固有信号による伝送で信号線を少なくできるのはR型です。P型は警戒区域ごとに共通の信号を受ける基本構成で、回線のつながりから区域を判別します。名称を入れ替えると本肢の説明はR型の特徴として理解できます。固有信号とは、どこからの情報かなどを識別できる信号のことです。単に警報音の種類が違うという意味ではなく、感知器側と受信機側の通信の仕組みの違いです。

選択肢3

(3)適当です。区分鳴動は、火災階やその近くの階など、危険に応じた範囲から警報を鳴らす方式です。高層建物などで全員が同時に階段へ集中すると混乱が生じるため、避難の順序や必要性に応じて知らせます。ただし、遠い階に火災を永久に知らせない方式ではありません。火災の拡大や経過に応じて警報範囲を広げる計画と組み合わせます。「区分」は避難を安全に進めるための制御です。

選択肢4

(4)適当です。停電時に受信機を動かす電源が離れた場所にある場合、電源自体が働いていても配線が火災で切れれば受信機へ電気を届けられません。そのため、予備電源を内蔵しない受信機と非常電源の間には耐火配線を用い、必要な機能を保ちます。非常電源を設置しただけで安全性が完成するわけではありません。電源から受信機へ至る経路も、火災中に機能するよう守る必要があります。

周辺知識

自動火災報知設備は、「見つける」「情報を集める」「知らせる」という流れで構成されます。感知器は熱、煙、炎などを検出し、受信機は信号と発生場所を把握し、ベルや放送などは利用者へ警報を伝えます。さらに、防火戸や排煙設備などと連動する場合もあります。それぞれの機能を分けると、炎感知器とP型・R型受信機が別の分類であることも分かります。
感知器の選定では、火災時に何が先に届くかを考えます。天井が低い通常の室と、煙が天井へ届きにくい大空間では、適する検出方法が違います。煙や熱を検知する装置も、空調の吹出しなどの影響を受けるため、設置位置が重要です。
また、災害時には通常の電源が失われる場合があります。予備電源、非常電源、耐火配線は、検知から警報までの連鎖を途切れさせないための備えです。機器を一つ高性能にするだけでなく、感知器、信号経路、受信機、電源、警報装置のどこが止まっても情報が届かなくなると考え、システム全体の継続性を確認します。