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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問8

問題・正答・学習用解説

問題

色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    XYZ表色系において、xy色度図上のxの値が増大するほど赤みが強くなり、yの値が増大するほど緑みが強くなる傾向がある。
  2. (2)
    XYZ表色系において、xy色度図上の外周の釣鐘形の曲線部分は、単一の波長によって表される単色光の色度座標を示す。
  3. (3)
    マンセル表色系は、光源から出る光の色に適用することはできない。
  4. (4)
    JISの安全色の規定において、「赤」の表示は、「注意警告」を意味する。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は(4)です。安全色とは、禁止や注意などの情報を、色を使って共通の意味として伝えるための決まりです。JISの安全色で「注意警告」を表すのは黄色であり、赤ではありません。赤は立入禁止などの禁止、停止、防火設備の表示などに使われます。「赤は危なそうだから注意警告だろう」と日常的な印象だけで判断すると、規格上の使い分けを取り違えます。
例えば、危険な場所へ入らないよう求める禁止標識と、段差などの危険があることを知らせる注意標識では、利用者に伝える内容が違います。前者は行動を禁じ、後者は危険の存在を知らせて気を付けてもらいます。また、赤い消火器の表示は危険の場所ではなく、火災時に使う設備の位置を示すものです。
ほかの肢は色を数値で表す仕組みについて述べています。XYZは光の色を数値として扱い、マンセルは色票に基づいて物体色を整理します。安全色の意味付けと、色そのものの数値表現は別の話なので、まず何を問う記述かを分けて読むことが大切です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。xy色度図は、色の明るさを切り離して色みを二つの座標で表す図です。一般にxの大きい側は赤み、yの大きい側は緑みが強い傾向になります。ただし、xが赤の量、yが緑の量をそのまま表すという意味ではなく、三刺激値を全体で割った座標です。また図上の同じ距離が、どこでも人に同じ色の差として感じられるわけではありません。位置の傾向と知覚上の等間隔を区別します。

選択肢2

(2)適当です。一つの波長からなる光を単色光といい、その波長を順に変えて色度座標を並べたものが、外周の曲線であるスペクトル軌跡です。釣鐘形の曲線上の色は各波長に対応します。一方、曲線の両端を結ぶ直線部分は赤と青紫の混色に対応し、単一波長だけでは表せません。外周全部が単色光と考えず、本肢が「曲線部分」と限定していることに注意して読みます。

選択肢3

(3)適当です。マンセル表色系は、物体の色を色相、明度、彩度で整理し、色票と比較して表す仕組みです。塗装面や紙の色を指定する用途が代表的です。自ら発光するランプの光色を直接記述する体系とは異なるため、本肢の区別は適当です。同じ赤という言葉でも、照明を受けて赤く見える塗装と、赤い光を出すランプは、測り方や評価条件が違うことを意識します。

選択肢4

(4)不適当です。「注意警告」は黄色の意味であり、赤は主に禁止、停止、防火などを示します。規格で共通の意味を決めておけば、初めて訪れる建物でも情報を受け取りやすくなります。ただし、色だけでは見え方の個人差や照明条件の影響を受けるため、禁止を示す斜線や具体的な図記号、文字なども組み合わせます。色が目立つことと、伝える内容が正確であることは別の要件です。

周辺知識

色の説明には、物理的な光の表し方と、人の見え方を整理する表し方があります。XYZ表色系の三刺激値は、人の色の見え方に対応する基礎的な量です。その合計で割ると、明るさの大きさを分離した色度座標になります。式は次のとおりです。
x=XX+Y+Zy=YX+Y+Z\begin{aligned}x&=\frac{X}{X+Y+Z}\\[4pt]y&=\frac{Y}{X+Y+Z}\end{aligned}
同じ色みで光を強くしても、三つの値が同じ割合で増えればx、yは変わりません。
マンセルの三属性では、色相は赤・黄・緑などの種類、明度は明るさ、彩度は鮮やかさです。「暗い赤」と「明るい赤」、「灰色に近い赤」と「鮮やかな赤」を別々に説明できます。
安全色は、こうした色の特徴を情報伝達へ用いる約束です。どの色を使うかだけでなく、背景との対比、記号の形、設置位置、照明による見え方まで整える必要があります。特に避難や禁止に関する情報は、色名を見分けられることだけに依存させず、複数の手掛かりから同じ意味が分かるように計画します。