学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
図は、北緯35 度の地点における太陽位置図である。この地点における太陽の位置に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
選択肢
(注)図については、著作権法上の関係から、その出所等を明示しています。「建築設計資料集成 1 環境」(社団法人日本建築学会 編者、昭和53年6月10日発行)56頁 年間の太陽位置図(北緯35°・極射影)
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。太陽位置図は、季節と時刻ごとに太陽がどの方向・高さにあるかを一枚にまとめた図です。真東の位置を調べるには、図の中心からEへ向かう水平な線と、夏至に対応する6月21日の曲線との交点を見ます。その交点は8時と9時の線の間、概ね8時半頃にあり、7時頃ではありません。
夏至の7時の点は、東を示す線より北側にあります。つまり、まだ北東寄りから日が差しています。夏は真東より北寄りから日が昇り、その後に真東を通るので、「日の出後すぐに東」という思い込みで7時と決めないことが大切です。
また、本図の時刻は真太陽時です。太陽が南中して真南に来るときを12時とするため、普段の時計の日本標準時とは一致するとは限りません。図の外周は方位、中心へ向かう方向は高度を表します。まず方位を固定し、季節の曲線との交点を取り、最後に時刻を読むという順にすれば、複雑な線の中でも必要な情報を取り出せます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。春分に対応する3月21日の曲線と15時の線の交点を探すと、高度は30°と40°の間で約35°です。真太陽時15時は南中から3時間後で、太陽は南西側へ移りながら低くなっています。春分の南中高度は北緯35°では概ね55°ですが、それは12時の値です。季節だけで高さを決めず、同じ一日の中でも時刻によって高度が変わることを図で確認します。
選択肢2
(2)不適当です。夏至の曲線が真東の線を横切るのは、真太陽時で概ね8時半頃です。7時の位置は真東より北にあるので、太陽が真東に来たとはいえません。夏至には太陽が北東から昇って高く南中し、北西へ沈むという全体の経路を先に押さえると、読み違いを減らせます。「真東」を日の出の方位と混同せず、方位角が南基準で約−90°になる交点を探します。
選択肢3
(3)適当です。春分と秋分は、太陽の一日の経路がほぼ共通です。その曲線上で高度45°付近を探すと、午前は南東、午後は南西に近い方向になります。同じ高度を午前と午後の2回通ることがポイントです。高度だけが指定されているとき、一つの時刻だけを答えにしないようにします。午前と午後は南を挟んでほぼ対称なので、方位の左右の関係も図を読む手掛かりになります。
選択肢4
(4)適当です。日没は太陽高度が0°となるときで、図では冬至の曲線が外周に達する西側の点を読みます。本図は南を0°、西へ向かう側を正の方位角としているため、約60°です。方位としては真西より南寄りです。北を0°とする地図上の方位角と数値が異なるので、図の基準を必ず確認します。冬に日照時間が短く、日の出と日没が南寄りになるという季節の特徴とも一致します。
周辺知識
太陽の位置は「高度」と「方位」の二つで表します。高度は地平線から上へ測った角度で、地平線上なら0°、真上なら90°です。方位は水平面内の向きですが、南を0°にする表し方と北を0°にする表し方があるので、数値だけを覚えるのは危険です。
春秋分の南中高度は、おおよそで求められます。緯度なら55°です。夏至にはこれより約23.4°高く、冬至には約23.4°低くなるため、季節の曲線の上下関係が分かります。ただし、南中以外の時刻にこの簡単な式をそのまま当てはめることはできません。
建築ではこの図を、窓にいつ日が当たるか、庇で夏の日射を遮れるか、隣の建物の影がいつ伸びるかの検討へ使います。高い夏の南の太陽は水平な庇で遮りやすい一方、低い朝夕の太陽は入り込みやすくなります。図の読み取りが、方位ごとの日射対策の違いへつながることを意識しましょう。