学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問3
問題・正答・学習用解説
問題
空気調和設備を設けた延べ面積5 ,000 の事務所ビルの居室における空気環境に関する次の測定結果のうち、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に照らして、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。本問は令和5年の出題であり、令和4年4月1日から適用された空気環境の基準を用います。一酸化炭素の含有率は6ppm以下なので、測定値10ppmは基準を超えています。以前の10ppm以下という値で判定すると誤るため、適用時点が重要です。
ppmは「百万分のいくつ」を表す割合です。1%は百分の1、すなわち10,000ppmなので、となります。設問の%表示と括弧内のppm表示は同じ濃度です。0.001という数字が小さく見えても、単位をそろえると基準の6ppmより大きいことが分かります。
一方、18.0℃は温度範囲の下限に一致し、浮遊粉じんは上限より小さく、ホルムアルデヒドは上限と同じです。「以下」「以上」は境界値を含むため、これら3つは本問の基準に適合します。数値の見た目ではなく、物質、単位、上限か下限かを順に確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。一酸化炭素は、物が酸素不足で燃えるときなどに発生し、人体への有害性があるため室内濃度を管理します。出題時の基準は6ppm以下で、10ppmは超過です。令和4年3月31日までの10ppm以下という旧基準をそのまま当てはめないようにします。二酸化炭素の1000ppm以下という値とも異なります。名称が似ていても、発生源や濃度の基準を別に整理する必要があります。
選択肢2
(2)適当です。令和4年4月1日以降の温度基準は18℃以上28℃以下です。18.0℃は下限そのものなので、「18℃以上」に含まれます。18.0と18は小数点以下の表し方が違うだけで同じ値です。ただし、基準内という判定は、全員がその温度で快適と感じることを意味しません。着衣や活動量、冷たい窓などでも感じ方は変わります。本問では、法律の数値範囲に入るかを判断します。
選択肢3
(3)適当です。浮遊粉じんは空中に浮かぶ小さな粒子で、その量を空気に含まれる質量で表します。上限はであり、測定値はそれより小さいので範囲内です。mgは千分の1gという質量の単位で、ppmのような割合の表現とは違います。別の物質の基準値と数字だけを比較せず、「粉じんを空気の体積当たり何mg含むか」という意味までそろえて確認します。
選択肢4
(4)適当です。ホルムアルデヒドは建材や接着剤などから放散することがある化学物質です。本問で使う上限は以下で、測定値は0.1と等しいため適合します。「以下」は上限値そのものを含みます。粉じんも同じで示されますが、対象物質と上限値は異なります。粒子を除くフィルターと、発生源の低減や換気などの対策も、そのまま同じとは考えません。
周辺知識
室内空気の基準を読む練習として、割合と質量濃度を区別しましょう。ppmは混ざっている割合、は一定体積の空気中の質量です。同じppmでも物質によって危険性は違い、同じでも管理値は異なります。濃度だけを大きい順に並べて、危険な順と判断することはできません。
建築物衛生法は、多くの人が利用する一定の用途・規模の建築物で、空気、給水、清掃などを衛生的に管理する仕組みです。本問の延べ面積の事務所ビルという設定は、対象となる建物を特定するために付いています。設備を設置した時点だけでなく、使用中の測定や維持管理が必要になるという点も大切です。
計算ではを出発点にすれば、、と整理できます。測定値が上限ちょうどの場合も、基準を満たすことと余裕があることは別です。実務では変動や測定条件も確認しますが、この問題の判定では与えられた数値を所定の範囲と直接比較します。