学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問23
問題・正答・学習用解説
問題
各種改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。既存保護層を残し、改修用ドレンを設けない本問の条件では、既存ルーフドレンの端部から500mm程度の範囲の保護コンクリートを撤去します。本肢の300mmではありません。300mm程度は、その下の既存防水層の撤去範囲と区別する必要があります。
ルーフドレンは、屋根に降った雨を排水管へ集める排水口です。保護コンクリートは防水層の上で防水材を守る層であり、雨水を止める防水層そのものではありません。改修では、上の保護層と下の防水層で撤去範囲を変え、新しい防水層を既存部分やドレンへ適切につなぐための作業範囲を確保します。
上の層を500mm、下の層を300mm程度まで撤去するように段差を付ければ、材料の取合いを処理できる範囲ができます。どちらも同じ300mmと覚えると、重ねや端部処理のための余地を見落とします。本問は「何を残す工法か」「改修用ドレンを設けるか」という前提を確認してから、撤去する材料ごとの寸法を読む問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:保護コンクリートの撤去範囲を、ドレン端部から約500mmとすべきところ300mmにした点が不適当です。下にある既存防水層の撤去範囲と混同しています。屋根の断面を上から、保護層、防水層、下地の順に描くと、どの層をどこまで除くか整理できます。ここでは既存保護層を全面撤去せず、改修用ドレンも設けないという条件です。別の改修工法にも同じ寸法を無条件で適用するのではなく、ドレンと新旧防水層をどうつなぐ計画かに合わせて判断します。
選択肢2
選択肢2:既存アスファルト防水層を残す場合、損傷や浮き、継目の剥離をそのまま新しい層で覆うことは避けます。本肢のように不良部分を切開し、加熱後に溶融アスファルトを充填して張り合わせ、安定した下地に直す方法は適当です。浮いた部分を残すと、その上の新しい防水層にも動きや膨れが伝わるおそれがあります。「撤去しない」は「点検も補修もしない」ではありません。利用する既存層の状態を確認し、不良部分を処理してから新設層を施工します。
選択肢3
選択肢3:本肢は、厚付け仕上塗材の下地として、コンクリートの目違いをサンダーで除去すれば十分な状態になる場合です。この条件で下地調整塗材の塗付けを省略する対応は適当です。目違いは面の継目などに生じた段差で、サンダーはそれを削って整える機械です。どの下地でも塗材を省けるという意味ではありません。欠損や大きな不陸、脆弱部などがあれば、それぞれの処理が必要です。工程を省略できるかは、最終的に必要な下地状態を確保できるかで判断します。
選択肢4
選択肢4:一箇所0.25m²以下という小面積の張替えで、下地とタイル裏面の両方へポリマーセメントモルタルを塗り、目地詰めまで24時間以上養生する本肢の条件は適当です。両面に塗ることで、既存下地とタイル裏面の間に材料を行き渡らせ、密着を確保します。張った直後に目地詰めの力を加えると、タイルが動いて付着を妨げるおそれがあるため、先に養生します。小さな部分張替えの条件であり、大面積や別の工法に同じ手順をそのまま適用するものではありません。
周辺知識
改修工事では、既存の層を「撤去する」「残して補修する」「新しい層の下地として使う」のどれにするかをまず決めます。残す材料に浮きや損傷があれば、新しい材料だけ高性能にしても不具合が残ります。既存状態の調査と下地処理が、新設工事以上に重要になる理由です。
防水改修では、平らな屋根面だけでなく排水口との接続を確認します。水は低いドレンへ集まるため、その周囲のわずかな不連続が漏水につながります。保護層と防水層の撤去幅を変えるのは、断面の中で新旧材料を確実につなぐ余地をつくるためです。平面の寸法と、上下の層の関係を合わせて考えます。
仕上げ改修では、必要な下地状態を確保できる処理を選びます。削るだけでよい場合もあれば、充填や下地調整塗材が必要な場合もあります。張替えたタイルには、次の目地施工へ進むまでの養生時間も必要です。既存の状態、採用工法、次工程へ進める条件を順に確認すると、改修の記述を判断しやすくなります。