学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問20
問題・正答・学習用解説
問題
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。本問の軽量鉄骨壁下地内の低圧配線にCD管を使うことは適切ではなく、耐燃性を持つPF管など、用途に適合する電線管を選びます。CD管は耐燃性がなく、電線管としては原則としてコンクリートへ直接埋め込む用途で使う材料です。壁の中に隠れているだけでは、コンクリートに包まれている条件と同じになりません。
可とう電線管は、曲げられる管の中へ電線を通して保護するものです。CD管とPF管は外見が似ていますが、火に対する性質や使える場所が異なります。軽量鉄骨の壁は、鋼製の細い下地にボードを張り、内部に空間がある構成なので、その空間をコンクリート埋設とみなせません。
材料を選ぶ際は、配線の種類、屋内外、露出か隠蔽か、コンクリートに埋まるかなどの条件を確認します。ケーブルの保護など別の用途で認められる扱いを、条件の異なる電線管工事へそのまま広げないことも重要です。他の選択肢は、埋設管の表示、器具の固定、点検しやすい配線という施工上の目的に合っています。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:埋設表示用テープは、将来掘削する人へ地中の配管の存在を知らせる目印です。給水管を埋め戻す際、土被り150mm程度の位置へ設ける本肢の対応は適当です。これは管そのものを地表から150mmの深さに設置するという意味ではなく、表示テープの位置を示しています。管に到達する前にテープが見つかることで、破損事故を防ぎやすくします。地中の管は完成後に見えないため、図面上の記録だけでなく、現地で確認できる表示も残す考え方です。
選択肢2
選択肢2:壁付けの衛生器具をコンクリート壁へ取り付ける際、適合する樹脂製プラグを用いる本肢の方法は適当です。プラグは、あけた孔の中でねじなどを保持し、器具の力を壁へ伝える部品です。樹脂製であることだけを理由に不適切とは判断しません。ただし、器具の重さや使用時の力、孔径、埋込み、製品仕様などに合うものを選びます。石こうボードのような弱い下地にも同じ取付けでよいわけではなく、本肢がコンクリート壁を指定している点を確認します。
選択肢3
選択肢3:CD管を、コンクリートに直接埋設されない本問の軽量鉄骨壁内の低圧配線へ使う点が不適当です。CD管には耐燃性がなく、同じ可とう管でもPF管とは使用条件が異なります。隠蔽されて見えなくなることと、不燃のコンクリートで周囲を包まれることは別です。管の色や形が似ているから交換できると考えず、表示と仕様で材料を確認します。配線の種類による特別な扱いを持ち込まず、本問の電線管工事の条件に適合する材料を選ぶことが大切です。
選択肢4
選択肢4:二重床は、構造床の上に仕上げ床を持ち上げ、その間へ配線などを通せる床です。ケーブルを床内へころがし配線し、床の割付け方向と平行に経路を整理する本肢の方法は適当です。床パネルを外すときや配線を追うときに、経路を把握しやすくなります。「ころがし」は無秩序に放置してよいという意味ではありません。パネルの支持脚や鋭い部材でケーブルを傷めず、点検や増設を妨げないよう、所定の配線方法と整理を行います。
周辺知識
設備工事の材料は、運ぶものと設置する場所によって選びます。水を運ぶ給水管、電線を保護する電線管、電線自体を外装で守るケーブルは、それぞれ違う役割です。同じ管状のものでも、耐燃性、耐候性、機械的な保護など、必要な性能が異なります。
電線管の適用を判断するときは、まず中へ通すものが絶縁電線かケーブルか、次に管がコンクリートへ埋まるか、壁内の空間にあるかを確認します。隠れているという外見上の共通点だけで材料を選べません。火災時の条件も違うため、CD管とPF管を名称だけでなく使用場所と結び付けます。
施工後の点検や改修も考慮します。埋設表示テープは地中の配管を見つけやすくし、二重床内の整った配線は点検や増設をしやすくします。壁付け器具では、器具から固定部品を通って壁へ力が伝わります。設置した直後に機能するだけでなく、長く安全に使い、後で確認できる状態をつくることが設備施工の目的です。