学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
内外装工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。ALCパネルの表面強度が低いからといって、セメントの割合が多い富調合の現場調合モルタルを塗ることは適切ではありません。強く収縮する硬い塗り層が、比較的弱い下地の表面を引っ張り、ひび割れや剥離を起こすおそれがあります。ALCに適合する専用の既調合モルタルなどを用います。
ALCは、内部に多数の気泡を持つ軽量なコンクリートです。軽く、断熱性などに利点がある一方、表面の強さや吸水性は普通のコンクリートと異なります。富調合とは、モルタル中の砂に対してセメントの割合が多い調合のことです。「強い材料を塗れば弱い下地も強くなる」とは限りません。
保水剤を加えることは水分の保持に関係しますが、それだけで収縮や下地との強さの不釣合いを解消したことにはなりません。仕上げは下地に付着して初めて機能するため、両者の変形や吸水の性質に合わせた材料選定が必要です。本問では、材料を単独の強さだけで選ばず、下地との組合せとして判断することが正答につながります。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:ALC下地へ富調合の現場調合モルタルを用いる点が不適当です。セメント分を増やして塗り層を強くしても、乾燥などによる収縮が下地表面を引っ張り、弱い側で剥離するおそれがあります。保水剤を加えたことだけで、この相性の問題が解決するわけではありません。ALCの吸水性や表面強度に適した専用材料と下地処理を選びます。付着している二つの材料は一緒に変形するため、片方だけ強ければよいという判断を避けることがポイントです。
選択肢2
選択肢2:仕様ルートで検証する本問の特定天井では、天井面構成部材等の質量を20以下とする確認は適当です。天井に自重を負担させる照明設備なども含めて数えます。天井材から吊り材へ伝わる力には、その照明の重さも加わるからです。例えば天井自体が18でも、天井が支える器具相当分が3なら合計21となり、20を超えます。器具を計算から除外して数字だけ合わせず、実際に何が天井へ載るかを確認します。
選択肢3
選択肢3:カーテンウォールは建物の外周に取り付ける外壁で、ファスナーはそれを躯体へ固定する金物です。階ごとの墨を個別の基準にすると、各階の小さな誤差が上下の面のくい違いとして現れる場合があります。ピアノ線を用いて上下・左右に連続した基準を設定する本肢の方法は適当です。面外方向は外壁面に対して出入りする方向です。一本の外壁として通りを整えるには、ある階だけの位置が合うことに加え、隣接階も同じ基準につながることが重要になります。
選択肢4
選択肢4:夏期に材齢21日が経過し、十分に乾燥したコンクリート下地を確認して塗装する本肢は適当です。若いコンクリートは水分が多く、アルカリ性も強いため、早く塗りすぎると膨れや剥離などの原因になります。ただし、21日という日数だけで必ず乾燥するわけではありません。雨や湿度、日当たり、部材の厚さなどで乾き方が変わるので、実際の乾燥状態も確かめます。材料ごとの施工条件を満たすことが必要であり、「日数」と「下地の状態」を両方確認します。
周辺知識
内外装の材料は、下地に取り付けたり、接着したりして使います。そのため、仕上材の強さだけで品質は決まりません。下地の表面が弱ければそこから剥がれ、含まれる水分が多ければ塗膜に不具合が生じます。施工前に、下地の強さ、乾燥状態、汚れ、寸法などを確認する必要があります。
異なる材料を重ねると、伸び縮みの差も問題になります。硬いモルタルが収縮すると、接着面を通じて下地を引っ張ります。下地の表面がその力に耐えられなければ、モルタル自体が割れなくても一緒に剥がれる場合があります。専用の既調合材料は、こうした用途に合わせて成分を調整したものです。
天井の質量と外壁の位置管理も、「実際の全体」を捉える点で共通します。天井は支える器具まで含め、外壁は一階だけでなく上下につながる面を見ます。部分の数字だけ合っていても、全体として過大な重量や位置のずれが残れば十分ではありません。何を一つの検証対象として数えるかを確認しましょう。