学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問4
問題・正答・学習用解説
問題
建築工事の届出等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
選択肢2が不適当です。建替え中の仮設店舗で建築基準法の一部の緩和を受けるための許可申請は、特定行政庁へ行います。建築主事ではありません。許可の申請先と、通常の建築確認などに関わる担当者を取り違えています。
特定行政庁は、法律の定めに応じて建築行政の権限を持つ市町村長や都道府県知事です。建築主事は建築確認などを担当する職員であり、名称の似た建築主とも別の立場です。仮設建築物だから全ての制限が自動的になくなるわけではなく、該当する法の条件と期間などを確認し、必要な許可を受けます。
例えば本店舗の建替え中だけ使う仮設店舗でも、人が利用する以上、安全や衛生上の配慮が必要です。所定の緩和を認めるかという許可の判断と、通常の計画が基準へ適合するかを確認する手続は区別します。本問のほかの届出も、共同企業体の代表者、特殊車両の通行、石綿除去作業という異なる対象です。書類名が示されたら、対象となる行為、提出者、相手、期限を分けます。「建築関係だから建築主事」と一律に考えず、仮設の許可に対応する特定行政庁を選びます。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:適当です。共同企業体は複数の事業者が共同して工事を請け負う組織です。共同連帯で工事を行う場合、関係する責任を明確にするため、代表者の届を工事開始14日前までに都道府県労働局長へ提出する本肢の扱いは適当です。単に一社が他社へ下請を出す関係とは区別します。共同して行うから誰でも責任者になれるという状態にせず、代表者を定めて届ける手順です。労働基準監督署長へ出す別の計画届と、提出先が異なる点も合わせて確認します。
選択肢2
選択肢2:不適当です。仮設建築物等の許可申請先は特定行政庁です。建築主事へ行う通常の建築確認と同じ手続ではありません。仮設店舗の使用目的や期間などが、法の定める緩和の条件に合うかを確認して申請します。仮設という日常語だけで小規模・短期間だから自由に建てられる、と判断してはいけません。建築主は申請する側、特定行政庁はこの許可を行う側という関係を整理します。建築主と建築主事も一文字違いで立場が変わるため、名称を正確に読み分けます。
選択肢3
選択肢3:適当です。大きなプレキャスト部材を積んだ車両は、幅、長さ、総重量などが道路の一般的な制限を超える場合があります。道路法に基づく特殊車両の通行許可は道路管理者へ申請するので、本肢は適当です。道路や橋を損傷しないか、交差点などを安全に通れるかを、車両と経路の条件で判断します。部材を安全に吊れるクレーンがあることと、そこまで道路を通れることは別の確認です。製作寸法を決める段階から運搬経路や許可条件を考える必要があります。
選択肢4
選択肢4:適当です。石綿含有吹付け材や保温材の除去は、石綿繊維が飛散し、作業員が吸い込む危険がある作業です。その計画を、除去作業開始14日前までに労働基準監督署長へ届ける本肢の扱いは適当です。建物の全解体が始まった日だけでなく、対象の石綿除去作業をいつ始めるかが期限の起点です。作業前の調査、飛散・ばく露の防止、廃棄物の扱いなどを計画して施工します。単に解体工事の見積金額を知らせる書類ではなく、危険作業の安全な実施に関わる計画です。
周辺知識
建設工事には、建築行政、労働安全、道路管理など複数の制度が関わります。同じ現場でも、仮設店舗を建てること、会社が共同して請け負うこと、大きな車両を通すこと、石綿を除去することでは、手続の目的が違います。そのため提出先も一つの役所へ統一されるわけではありません。
許可と届出も区別します。許可は、法で定めた条件を審査して認めてもらう手続です。届出は、所定の事項や計画をあらかじめ、あるいは事後に知らせる手続です。名前が申請書か届出書かを見るだけでも、どの行為を求められているかを整理する手掛かりになります。
期限は、どの日から逆算するかまで読みます。共同企業体の代表者届は工事開始、石綿除去の計画届は該当作業の開始が起点です。数字が同じ14日前でも、起点が同じとは限りません。出題の年度と対象を確認したうえで、行為、書類、提出先、起点と期限を一組にすると、長い選択肢を漏れなく照合できます。