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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問5

問題・正答・学習用解説

問題

仮設工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    高さが20mの枠組足場における壁つなぎの間隔については、風荷重を考慮する必要がなかったので、水平方向9m、垂直方向8mとした。
  2. (2)
    鋼製巻尺については、工事着手前にJIS規格品の1級の鋼製巻尺を2本用意してテープ合わせを行い、そのうち1本を基準巻尺として保管し、もう1本の鋼製巻尺を工事に使用した。
  3. (3)
    建築物の高さと位置の基準となるベンチマークについては、敷地内の移動のおそれのない位置に新設したコンクリート杭に加えて、工事の影響を受けない既存の工作物や道路もベンチマークとし、相互に確認できるようにした。
  4. (4)
    建築工事を行う部分から水平距離5m以内の範囲にある歩道に対する危害防止のための防護棚(朝顔)については、1段目を地上から5mの高さに設け、はね出し長さを足場から水平距離2mとした。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

選択肢1が不適当です。枠組足場の壁つなぎは、一般の間隔の上限として水平方向8m以下、垂直方向9m以下とします。本肢は水平方向9mが上限8mを超えています。垂直方向8mは9m以下に収まるので、両方向とも不足しているわけではありません。
壁つなぎは、足場を建物へつないで横方向に支え、風などで倒れるのを抑える部材です。足場は縦材で自重などを支えますが、地面に立っているだけでは横倒れや大きな変形を防げません。適切な間隔で建物側へ固定する必要があります。
水平と垂直の数値を逆に覚えると、片方では許容範囲を超えてしまいます。例えば横9mの区画を一つの間隔として採ると、上限より1m長い無拘束区間が残ります。風荷重に関する個別の計算を要しないとされる条件でも、基本的な設置間隔を自由に拡大できるという意味ではありません。枠組足場と単管足場には異なる間隔の区分があるため、まず足場の種類を確認します。「枠組は横8、縦9」という方向を図で思い浮かべ、実際の計画値がそれぞれの上限以内かを別々に判定することが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:不適当です。枠組足場の壁つなぎ間隔は水平8m以下、垂直9m以下です。本肢の水平9mは上限を1m超え、垂直8mは上限以内です。数値が入れ替わって見える場合も、何が実際に条件外かまで確認します。風荷重の計算を省けるという前提を、必要な壁つなぎを省ける、あるいは間隔を広げられる理由にはしません。高さ20mの足場でも、部材と接合、建物への固定が一体で安定を保ちます。法令上の間隔と、個別条件に応じた構造上の確認を区別します。

選択肢2

選択肢2:適当です。テープ合わせは、二本の巻尺を同じ条件で比べ、目盛や長さの差を確認することです。JIS1級の鋼製巻尺を二本用意し、一方を基準として保管、他方を現場使用にする本肢は適当です。現場用は繰返し使う間に傷や変形などの影響を受ける可能性があり、基準と比べて状態を確認できます。比較時は温度、引く力、支持の仕方なども影響するため条件をそろえます。同じ規格品だからどんな使い方でも同じ長さを示す、とは考えないことが大切です。

選択肢3

選択肢3:適当です。ベンチマークは、建物の高さなどを測る基準点です。基準そのものが動けば、それを使って測った全ての位置がずれる恐れがあります。移動しにくい新設のコンクリート杭に加え、工事の影響を受けない既存工作物や道路なども利用し、相互に確認できる本肢は適当です。一つの点だけなら、その点が沈んでも比較相手がなく気付けません。複数の安定した基準を照合することで異常を発見しやすくします。作業の邪魔にならない場所と保護・記録も必要です。

選択肢4

選択肢4:適当です。防護棚は、建物や足場から落ちた物が歩道などへ達するのを防ぐ棚です。第1段を地上5mに設け、足場から水平2mのはね出しを確保する本肢の計画は適当です。はね出しは外側へ突き出す寸法で、斜めの板の長さと水平距離を混同しないことが大切です。歩行者の通る場所が工事に近い場合、落下物の影響を考えた保護が必要になります。ただし棚だけに頼らず、物を落とさない作業管理や立入管理なども組み合わせます。防護する範囲と固定の強さを確かめます。

周辺知識

仮設工事には、作業の安全を支える設備と、建物の寸法を正しくつくるための基準があります。足場の壁つなぎや防護棚は主に安全、巻尺やベンチマークは主に位置・寸法の精度に関わります。完成時に見えなくなる、あるいは取り外す物でも、その不具合は工事全体へ大きく影響します。
測定では、器具と基準点の両方が正しい必要があります。正確な巻尺でも基準点が動けば誤った位置を測り、基準点が正しくても巻尺が伸びていれば寸法がずれます。テープ合わせと複数のベンチマークの相互確認は、異なる誤差を見つける仕組みです。
安全設備の寸法では、水平・垂直・斜めのどの方向かを明示します。壁つなぎの横8mと縦9m、防護棚の水平はね出し2mは、それぞれ測る方向が決まっています。上限以内か下限以上かも含めて、実際の計画値を一つずつ照合します。数字を暗記するだけでなく、基準と方向が分かる簡単な図へ置き換えると、取違えを減らせます。