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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

品質管理における確認・検査の方法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    コンクリート工事における調合管理強度の判定は、3回の試験で行い、1回の試験における圧縮強度の平均値が調合管理強度の85%以上、かつ、3回の試験における圧縮強度の総平均値が調合管理強度以上であったので、合格とした。
  2. (2)
    外壁乾式工法による張り石工事において、石材の形状と寸法については、形状が矩形であること、その幅及び高さが1,200mm以下、かつ、1枚の面積が0.8m2以下であることを確認した。
  3. (3)
    セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法における引張接着試験については、引張接着強度の全ての結果が0.4N/mm2以上、かつ、コンクリート下地の接着界面における破壊率が50%以下であったので、合格とした。
  4. (4)
    内装工事に使用するせっこうボードのせっこう系直張り用接着材による直張り工法において、通気性のある壁紙を使用するので、せっこうボード張付け後5日間放置してから仕上げが行われることを確認した。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4が不適当です。せっこう系接着材でボードを直張りし、通気性のある壁紙で仕上げる場合でも、張付け後7日以上放置して接着材の乾燥を確認します。本肢の5日では期間が不足します。通気性があるからすぐ仕上げてよい、という条件ではありません。
直張り工法は、下地へ接着材を用いてせっこうボードを張る方法です。せっこう系接着材には水分が含まれ、張った後に乾燥が進みます。その水分が多く残っているうちに壁紙などで覆うと、乾燥を妨げたり、仕上げに膨れや変色などの不具合を起こしたりする恐れがあります。
仕上材に通気性がある場合は7日以上、通気性がない場合は20日以上という区分を確認し、所定の期間の後も実際に接着材が乾き、仕上げへ支障がない状態であることを確かめます。日数だけ経過すれば、気温や湿度、換気の状態に関係なく必ず乾くという意味ではありません。例えば梅雨時などで乾燥が進みにくい場合もあるため、工程表の日付と材料の状態を合わせて判断します。本問では、材料と仕上げの組合せに合う待ち時間が不足している点を特定します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。調合管理強度をFとすると、各回の平均が0.85F以上、3回の総平均がF以上という二条件を満たしています。例えばF=30 N/mm2\displaystyle F=30\,\mathrm{N}/\mathrm{mm}^{2}なら各回25.5以上が必要です。各回26、31、33なら総平均30で両条件を満たします。一方24、33、33では総平均30でも最初が25.5未満なので不合格です。平均がよければ低過ぎる一回を全て補えるわけではありません。各回の下限と全体の平均を別々に確認し、品質のばらつきも管理する判定です。

選択肢2

選択肢2:適当です。外壁の乾式張り石で、矩形、幅と高さ各1,200mm以下、面積0.8m²以下という本肢の条件は適当です。例えば1.0 m×0.8 m\displaystyle 1.0\,\mathrm{m}\times0.8\,\mathrm{m}なら面積0.8m²で両辺も1.2m以下ですが、1.2m角では面積1.44m²となり面積条件を超えます。辺の長さだけでは合格と判断できません。大きな石は重く、取付け金物や石自体の曲げなどの負担も増えるため、寸法と面積の両方を管理します。形、各辺、面積を順に確認することが要点です。

選択肢3

選択肢3:適当です。引張接着強度が全て0.4N/mm2\displaystyle \mathrm{N}/\mathrm{mm}^{2}以上であることに加え、コンクリート下地の接着界面での破壊率が50%以下であることも確認しています。界面は二つの材料が接する境目です。強度の数値が出ても、下地との界面ばかりで剥がれるなら、その付着状態を考慮する必要があります。どの面積割合がその界面で破壊したかを併せて判定します。タイルやモルタルのどこで破れたかは、不具合の原因や弱点を知る手掛かりです。数値だけでなく破壊した位置にも着目します。

選択肢4

選択肢4:不適当です。通気性のある仕上げでも張付け後7日以上が必要で、5日では不足します。通気性のない仕上材の場合には20日以上という別の区分があるため、材料名だけでなく表面を何で仕上げるかも確認します。せっこう系直張り用接着材が乾燥し、仕上げに支障のないことを確認してから次工程へ進めます。ボードの表面を触って乾いていることと、その裏の接着材まで乾いていることは同じではありません。工程を急ぐために待ち時間だけを短縮しないことが大切です。

周辺知識

品質の合否には、複数の条件を同時に満たすものが多くあります。コンクリートでは各回の下限と全体平均、石材では辺の長さと面積、タイルでは強度と破壊位置を併せて確認します。一つの結果がよければ他の条件を省けるという判定ではありません。
平均値は全体の傾向を表す一方、極端に低い結果を隠すことがあります。そのため各回の最低条件を設けてばらつきも管理します。石材の面積も、幅と高さそれぞれが上限以内でも、その積が面積の上限を超える場合があります。与えられた条件を一つずつ実際の値へ当てはめることが重要です。
乾燥を待つ工程では、期間と実際の状態を確認します。壁紙の通気性は裏側の水分の逃げ方に関係し、同じボードの直張りでも必要な待ち時間が変わります。材料の硬化、乾燥、強度発現は関連しますが同じ現象ではありません。施工後すぐに次の材料を重ねず、それぞれの材料が必要な状態へ達したことを確認することが、完成後の不具合を防ぐ管理です。