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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅴ(施工) 問2

問題・正答・学習用解説

問題

工事現場の管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    建築工事の監理技術者は、自ら施工する工事と、これに密接に関連する別途発注された第三者の施工する他の工事との調整を自らの責任において行わなければならない。
  2. (2)
    施工計画書の一部である品質計画は、工事において使用予定の材料、仕上げの程度、性能、精度等の施工の目標、品質管理及び管理の体制について具体的に記載したものであり、一般に、監理者が当該工事に相応して妥当であることを確認する。
  3. (3)
    設計図書において監理者の検査を受けて使用すべきと指定された工事材料のうち、その検査で不合格となったものは、監理者の指示がなくても、工事施工者が速やかに工事現場外に搬出する。
  4. (4)
    民間の建築一式工事を直接請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請代金額の総額が7,000万円以上になる場合には、全ての下請負業者を含む施工体制台帳を作成し、建設工事の目的物を引き渡すまで工事現場ごとに備え置かなければならない。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

選択肢1が不適当です。別途発注された第三者の工事との調整を、一つの工事の監理技術者が自分の責任だけで行うとする点が誤りです。別契約の工事相互の調整は、建築主側の調整や監理者の指示などに従い、関係する施工者が協力して進めます。
監理技術者は、施工者側で工事の技術上の管理を担う者です。一方、別途発注工事は、建築主が他の施工者と直接契約している工事です。例えば建物本体はA社、特殊な厨房設備はB社へ別々に発注した場合、A社の監理技術者がB社の契約内容や工期を一方的に変更できるわけではありません。
ただし、別契約だから無関係でよいということでもありません。厨房機器を入れる時期、床の仕上げ、電気や水の接続位置などは密接に関係します。そこで建築主や監理者による調整のもと、各施工者が情報を出し合い、工程や取合いを整えます。本肢はこの協力を、自社の監理技術者が別契約まで自らの責任で処理するという説明へ変えています。自社が請け負った工事の管理責任と、独立した契約間の調整を区別して読むことが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:不適当です。別途発注工事は、自社の下請工事と異なり、建築主が別の施工者へ直接依頼した工事です。その契約相互の調整を、自社の監理技術者が一方的に自らの責任だけで行うわけではありません。建築主側や監理者の調整に沿って、関係施工者が協力します。例えば設備搬入のため本体工事の一部を遅らせる場合、品質や工期、費用に関わる当事者の調整が必要です。自社の工事を管理する義務と、別会社の契約内容を決める権限を同一視しないことが重要です。

選択肢2

選択肢2:適当です。品質計画は、何をどの品質でつくり、どの方法と体制で確認するかを具体化した計画です。材料の種類、仕上げ、寸法精度、性能などの目標だけでなく、検査方法や責任者も明らかにします。監理者がその工事に適切かを確認する本肢は適当です。「品質に注意する」とだけ書いても、誰が何を測って合否を決めるかが不明では実行できません。設計図書で要求された品質を、施工者が実際の作業と管理へ落とし込むものとして理解します。

選択肢3

選択肢3:適当です。検査で不合格になった材料は、施工者が速やかに現場外へ搬出します。現場に置いたままだと、別の作業員が合格材料と間違えて使用するなどの恐れがあります。監理者から追加の搬出指示がないことを理由に、不合格材料を残すことはできません。搬出までの間も合格品と混同しない管理が必要です。検査で不良を見つけるだけでなく、不合格品が実際の工事へ入り込まないようにするところまでが品質管理です。使ってから取り替えるより、入口で確実に分けます。

選択肢4

選択肢4:適当です。本問の令和5年の条件では、発注者から直接請け負った民間の建築一式工事で、下請代金総額が7,000万円以上になる場合、特定建設業者は施工体制台帳を作成して現場へ備え置きます。下請の関係を整理し、誰がどの工事を担当しているかを把握するためです。総工事費7,000万円という条件ではなく、下請代金の合計である点も確認します。金額区分は改正されるため、現在の区分をこの過去問へそのまま置き換えず、出題時点の条件で判断します。

周辺知識

工事には、多くの会社と職種が関わります。元請が下請へ依頼する関係と、建築主が別々の会社へ直接依頼する関係は、どちらも複数社の作業でも契約のつながりが異なります。工程や取合いの調整では、まず誰と誰が契約しているかを整理すると、責任や協力の範囲が分かります。
施工体制台帳は、下請の階層を含めて工事に参加する会社などの関係を把握する資料です。品質計画は、どの品質をどの方法でつくり確かめるかを示す計画です。同じ施工計画に関連する書類でも、前者は体制の把握、後者は品質の実現と管理という目的があります。
品質管理は、検査して合否を付けるだけでは終わりません。不合格材料の搬出、適切な代替品の手配、工程への反映まで必要です。また、品質や工程が他の工事へ影響する場合は情報を共有します。自社の責任を果たしながら、契約上の関係を守って協力することが、複数の工事を一つの建物として完成させる基本になります。