学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅳ(構造) 問11
問題・正答・学習用解説
問題
図に示す鉄筋コンクリート構造の配筋に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図に記載のない鉄筋は適切に配筋されているものとする。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
図2のあばら筋の端部が不適切です。あばら筋は梁の主筋を輪のように囲む横補強筋で、斜めのひび割れを抑え、内部のコンクリートと主筋を拘束します。端部が開くと輪としての働きを失うため、フックの角度だけでなく、どこへ納められているかが重要です。
図2ではスラブが梁の右側にだけ取り付き、90度フックは反対の左上、スラブのない外側にあります。この位置では周囲を十分に拘束できず、外周のコンクリートが割れたり剥がれたりした際に、フックが開きやすくなります。必要な余長があるだけでは、その不利な納まりを補えません。
90度フックを使える場合の条件を満たす位置へ納めるか、135度フックなど適切に閉じる納まりを採る必要があります。「梁にスラブが一枚付いている」という部材名だけで判断せず、フックのある側を図で確かめます。他の図は、所定の定着を確保した基礎梁側面の重ね、短い梁の対角配筋、接合部の必要量の帯筋という、それぞれの適用条件に沿う扱いです。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)打継ぎのある基礎梁で、必要な定着長さを確保した上で側面にフック付き重ね継手を設ける納まりは、この条件では適切です。図の上下の鉄筋が側面で十分に重なり、フックを通して力を伝え、あばら筋としての連続性を確保します。途中で分けた鉄筋を単に近付けるだけでは足りません。打継ぎを設ける施工上の必要と、補強筋の力をつなぐ構造上の必要を両立させた扱いです。
選択肢2
(2)図では90度フックがスラブの付いていない左側へあります。そこは周囲のコンクリートによる拘束が弱く、かぶりが剥がれると端部が開いて輪の効果を失いやすいため、不適切です。フックの余長だけでなく、梁とスラブの位置関係に注意します。あばら筋に135度等のフックを設けるのは、端部を内部のコンクリートへ向け、外周が損傷しても定着を維持しやすくするためです。
選択肢3
(3)スパンの短い梁では、両端の曲げモーメントに対して大きなせん断力が生じやすくなります。主筋の一部を部材全長にわたり対角線状に配置すると、その引張り・圧縮の鉛直成分を利用してせん断に抵抗できます。図は四隅の主筋を残し、それ以外を対角線上へ通す配筋で適切です。通常の主筋を全てなくして斜材だけにするものではなく、定着やあばら筋など図外の適切な配筋も前提にしています。
選択肢4
(4)柱梁接合部は、梁端の大きな曲げによる力が柱へ渡り、内部に大きなせん断が生じる場所です。せん断補強筋比0.3%相当の帯筋を設ける記述は適切です。梁が交差していても、柱の帯筋を接合部内で省いてよいわけではありません。鉄筋が混み合う部分ですが、帯筋による拘束と接合部のせん断抵抗を確保する必要があります。数量だけでなく、フックや間隔などの納まりも合わせて満たします。
周辺知識
横補強筋は、梁ではあばら筋、柱では帯筋と呼びます。せん断の斜めひび割れを横切って引張力を負担するとともに、圧縮されたコンクリートの横への膨張や主筋の座屈を抑えます。そのため、鉄筋量が同じでも、端部の閉じ方や中子筋の配置によって拘束の効き方が変わります。
フックは、鉄筋の端が抜けたり開いたりするのを防ぐために曲げた部分です。90度、135度、180度などの角度があり、曲げの内法直径と、その先に残す直線の余長を規定に合わせます。しかし形状の条件を満たすだけでなく、十分なコンクリートに包まれる位置へ納めることが必要です。
図を読むときは、外周の線が部材のコンクリート形状、内側の線が補強筋であることを分け、スラブが左右どちらに付くか、フックがどちらへ向くかを追います。配筋の問題では、小さな端部の違いが力の伝達や損傷後の抵抗を変えます。「所定の量がある」ことと「その量が確実に働く納まりである」ことを両方確認する習慣が重要です。



