学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅳ(構造) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
図のようなラーメン架構A、B及びCの水平方向の固有周期をそれぞれTA、TB及びTCとしたとき、それらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱の曲げ剛性は図中に示すEIあるいは2EIとし、梁は剛体とする。また、柱の質量は考慮しないものとする。
選択肢
- (1)
TA<TB=TC - (2)
TB<TA<TC - (3)
TB=TC<TA - (4)
TC<TA<TB
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
固有周期はTA<TB=TCで、TB=TC=2TAです。固有周期は、構造を少し揺らして離したときに一往復する時間です。質量mを水平ばねkで支える形へ置き換えると、T=2πkmで求められます。重いほど長く、硬いほど短くなる関係です。 柱脚は固定で、上端は剛体梁につながり回転を拘束されるので、柱1本の水平剛性はh312EIです。Aは2本でkA=h324EI、質量は2Mです。Bは3本でkB=h336EIですが、質量も6Mと大きくなっています。 Cは各柱の曲げ剛性が2EI、高さが2hなので、2本の合計は kC=2⋅(2h)312(2EI)=h36EI 、質量はMです。よって kAmA=12EIMh3 、
kBmB=kCmC=6EIMh3 BとCはAの2倍のkmを持ち、平方根を取るため周期はAの2倍となります。柱の本数や硬さだけでなく、質量も同時に比較する必要があります。 各選択肢の解説
選択肢1
(1)Aのkmが最も小さく、BとCは同じ値なので、この順序が正しいものです。Aに対してBは質量が3倍、剛性が1.5倍で、kmは2倍です。Cは質量が半分、剛性が4分の1なので、やはりkmは2倍になります。異なる形の架構でも、質量と復元する硬さの比が等しければ、ここで扱う一自由度の固有周期は同じです。外観の高さだけで周期を決めつけないようにします。 選択肢2
(2)Bは柱が3本あってAより硬いものの、梁の質量はAの3倍です。剛性の増加1.5倍より質量の増加3倍の影響が大きいため、Bの周期はAより短くならず、2倍長くなります。Cについても、Aより高くて柔らかい一方、質量が小さいことを含めるとBと同じ周期です。ばねの硬さだけを見てTBを最小にする判断は、周期式の分子を落としています。 選択肢3
(3)BとCが等しい点は正しいですが、Aとの大小が逆です。周期はkmの平方根に比例し、AのkmはB・Cの半分なので、Aの周期が最も短くなります。逆数のmkは振動数の2乗に比例するため、それを周期の大小と同じ向きに比べると誤ります。周期は一往復の時間、振動数は1秒の往復回数という関係を確認し、硬いばねほど速く往復するイメージにつなげます。 選択肢4
(4)Cは最も軽く、各柱のEIも大きいものの、高さが2倍なので柱の水平剛性には23=8倍の低下要因があります。EIの2倍を考慮しても各柱はAの4分の1の剛性で、2本の合計もAの4分の1です。質量の半分という効果より剛性低下の効果が大きく、Cの周期はAより長くなります。高さは一次ではなく3乗で効くため、材料の硬さや軽さだけで順位を決めないようにします。 周辺知識
ばねにつながれたおもりを横へ動かすと、ばねは元へ戻す力を出し、おもりは慣性によって動き続けます。この往復運動の式がmx¨+kx=0で、周期は2πkmです。微分を習っていなくても、重いおもりは方向を変えにくく、硬いばねは強く引き戻すと考えれば、質量で周期が長く、剛性で短くなる意味を理解できます。 剛体梁は、柱頭を同じ水平移動へそろえる役割を持ちます。各柱は同じ変位を受けるので、抵抗力を足せます。これは並列に置いたばねの剛性が合計になるのと同じです。柱の上端の回転が拘束されるため、片持柱の先端力による剛性h33EIではなくh312EIを用います。 単位も確認できます。質量をkg、水平剛性をN/mにすると、kmはs2で、その平方根が秒です。本問では柱の質量を無視し、梁の質量に集中させています。実建物では各階の質量や剛性が分布し、複数の揺れ方がありますが、まずこの質量と硬さの関係が基礎となります。