学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅰ(計画) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準・同解説」に照らして、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)です。シート防水等の重ね代は、数量積算では計測の対象としません。計測した面積へ一律に5%を割り増すという記述が不適当です。「5%ではなく10%」と直すのでもありません。シートを重ねることが施工上必要である点と、工事費の積算でその部分をどのように扱うかは別の問題です。
シート防水は、シートを連続させて水の浸入を防ぐ層をつくります。端部を重ねる部分には実際に材料が必要ですが、積算の数量は、基準に従って防水を施す面積などから求めます。重ね代や必要な材料の扱いは、それと組み合わせる単価の条件にも関係します。数量側で独自に割り増し、単価側でも同じ分を見込むと、二重に計上するおそれがあります。例えば平らな防水面という単純な例で、重ね代だけを理由にやへ変更しません。実際には立上り等の所定の計測部分も確認します。材料の発注量と、基準による工事数量を混同しないことが要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。アンカーボルトは、柱脚などをコンクリート側へ固定する部材です。必要な位置、寸法、本数に応じて設計数量を求め、設計数量に対する割増しは行わない扱いです。長い鋼材を切断して部材を取る際の余りと、定めた本数を配置するアンカーボルトを同じ率で扱ってはいけません。鉄骨の材料だから全て一律に増すという考え方を避けます。実際の購入時に予備を用意することと、基準上の所要数量の算定も区別します。
選択肢2
(2)適当です。石材の主仕上では、原則として開口部を差し引きますが、1か所の面積が以下の小開口は、欠除がないものとして計測します。欠除とは、開口などによって材料の仕上面が欠ける部分です。例えばの開口はなので、この扱いに該当します。小さな穴まで細かく差し引かない積算上の規則であり、現場で穴をふさいで施工する意味ではありません。材料ごとに基準が異なる点にも注意します。
選択肢3
(3)不適当です。シート防水の重ね代は計測対象とせず、それだけを理由とする5%の割増しは行いません。重ね代が施工上不要という意味ではなく、工事数量の数え方を定めているものです。防水面積に掛ける単価との組合せで費用を評価するため、独自に数量を増すと基準による他の見積りと比較しにくくなります。必要な重ね幅は工法や仕様によって施工で確保し、積算数量と材料の実使用量をそれぞれの目的で扱います。
選択肢4
(4)適当です。純工事費は、直接工事費と共通仮設費の合計です。直接工事費は躯体や仕上げなど各工事に直接必要な費用、共通仮設費は複数の工事に共通する仮設設備等の費用です。例えば共用する現場の仮設事務所や電力設備などは、各仕上げ工事だけに属さない費用として考えます。純工事費に現場管理費を加えると工事原価となり、さらに一般管理費等を加えて工事価格へ進みます。費用の段階を一つずつ区別します。
周辺知識
積算数量は、現場で実際に消費する材料の量を、全てそのまま足し合わせた値とは限りません。見積りを比較し、数量と単価を対応させるため、どの寸法を測るか、小開口を差し引くか、余分を見込むかを基準でそろえます。材料ごとの違いを無視し、一律に何%増すという方法では正しい数量になりません。
例えば、石材の小開口を差し引かない扱いも、シートの重ね代を計測しない扱いも、施工を省く指示ではありません。設計・施工に必要な形と、費用算定のための計測方法を区別します。数量に含めない部分の材料や手間をどの単価条件で見込むかも確認し、二重計上と計上漏れを防ぎます。
費用の構成は、次の順に積み上がります。
最後の工事価格と、消費税等を含む請負金額も区別します。数量のルールと費用の積み上げは別の知識ですが、どちらも「何を含む数字か」を明確にするという共通の考え方で理解できます。