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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅰ(計画) 問14

問題・正答・学習用解説

問題

用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
用語説明
1.BEMS(Building and Energy Management System)二重のガラス間にブラインド等の遮光装置を設置し、空調空気を通すことで、ペリメーターゾーンの熱負荷を軽減するシステムのことである。
2.POE(Post Occupancy Evaluation)建築物が建設され、その施設の使用者が入居してある程度の時間が経過した後、その施設を評価する、入居後評価のことである。
3.OPAC(Online Public Access Catalog)電子情報化された蔵書目録であり、利用者が目的の書籍の収蔵場所等をパソコンにて検索できるシステムのことである。
4.BDS(Book Detection System)図書館の出入口等に設置し、書籍等の館外への不正な持ち出し等を防ぐための資料管理システムのことである。

選択肢

  1. (1)
    BEMS(Building and Energy Management System)/二重のガラス間にブラインド等の遮光装置を設置し、空調空気を通すことで、ペリメーターゾーンの熱負荷を軽減するシステムのことである。
  2. (2)
    POE(Post Occupancy Evaluation)/建築物が建設され、その施設の使用者が入居してある程度の時間が経過した後、その施設を評価する、入居後評価のことである。
  3. (3)
    OPAC(Online Public Access Catalog)/電子情報化された蔵書目録であり、利用者が目的の書籍の収蔵場所等をパソコンにて検索できるシステムのことである。
  4. (4)
    BDS(Book Detection System)/図書館の出入口等に設置し、書籍等の館外への不正な持ち出し等を防ぐための資料管理システムのことである。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。BEMSは、建物のエネルギー使用や設備運転を計測し、監視・分析・制御する仕組みです。設問の「二重のガラスの間にブラインドを置き、空調空気を通す」という説明は、エアフローウィンドウに対応します。建物全体を管理するシステムと、窓まわりの熱を処理する構法を取り違えています。
窓の近くは、夏の日射や冬の外気温の影響を受けやすく、室の中央と異なる冷暖房の負担が生じます。この外周部をペリメーターゾーンといいます。エアフローウィンドウではガラスの間を通る空気で熱を運び、室内側への影響を抑えます。一方、BEMSでは、例えば夜間に人がいないのに空調が動いていないか、どの系統で電力が増えたかをデータで調べ、運転を見直します。BEMSが窓まわりの設備を管理することはあり得ますが、両者が同じものになるわけではありません。残るPOE、OPAC、BDSも、評価、検索、持出し検知という目的を区別します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。BEMSは、電気や熱の使用量、温度、設備の運転状態などを集め、建物の管理に役立てるシステムです。窓のガラス間へ空気を通す方式そのものではありません。例えば電力使用の時間変化を見ると、休日の運転や同時使用によるピークに気付けます。ただし計測器を設置するだけで自動的に省エネルギーになるとは限りません。データから原因を考え、設定や運転を改善することが効果につながります。

選択肢2

(2)適当です。POEは、建物を使い始めて一定期間が経過した後、その使われ方や環境を評価する入居後評価です。設計時には予想だったことを、利用者への聞取り、観察、測定などで確かめます。例えば図書館の席が快適でも、相談窓口の場所が分かりにくければ、その問題は使用後に明らかになります。完成直後の出来形検査だけでは分からない、実際の使いやすさを調べ、改修や次の設計へ反映する方法です。

選択肢3

(3)適当です。OPACは、利用者が蔵書目録を検索できるシステムです。目録は、本の題名、著者、分類、所蔵場所などを整理した情報です。題名やキーワードから探し、どの棚や館にあるか、貸出状況はどうかを確かめる手掛かりになります。検索できることと本の全文をオンラインで読めることは別です。電子化されているのは基本的に資料の所在等を示す目録であり、電子書籍そのものと混同しないようにします。

選択肢4

(4)適当です。BDSは、資料が必要な貸出処理を受けずに館外へ持ち出されることなどを検知する仕組みです。出入口のゲートと資料に付けた検知用の仕組みを組み合わせます。貸出処理をした資料と未処理の資料を区別することで、資料管理を補助します。警報が鳴っただけで故意の盗難と決め付けるものではなく、処理漏れや機器の状態も確認します。OPACが本を探す情報の仕組みであるのに対し、BDSは持出しの管理に関係します。

周辺知識

略語は、文字を展開するだけでなく、入力、処理、目的を考えると覚えやすくなります。BEMSは設備やエネルギーのデータを入力し、監視や分析、制御を通じて運転管理に使います。POEは利用者の経験や測定結果を集め、建物の使用後の評価に使います。両方を組み合わせれば、例えば暑いという声と室温・運転記録を対応させ、原因を調べられます。
図書館のOPACとBDSも役割が違います。OPACは利用者が資料へたどり着くための検索、BDSは資料を適切に貸し出して保全するための検知です。検索画面で貸出中と表示される機能と、ゲートで未処理の持出しを知らせる機能を分けて考えます。
建築には、窓や壁のような物理的な部材、空調のような設備、情報を扱う管理システム、使用後に改善する評価方法が重なっています。一つの目的、例えば省エネルギーのためにも複数の層が必要です。ガラス間に空気を通して熱を減らすことと、運転データから無駄を見つけることは、同じ目的に役立っても仕組みが異なります。