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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅰ(計画) 問15

問題・正答・学習用解説

問題

公立小学校・中学校の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    小学校の計画において、職員室とは別に設けた教師コーナーは児童の見守りやすさを重視し、教師コーナーを取り囲むように普通教室を配置した。
  2. (2)
    小学校の計画において、特別支援学級では、聴覚に過敏性をもつ児童に対応するため、遮音性の高い小規模な空間を設けた。
  3. (3)
    中学校の計画において、片廊下幅を広くして教室との仕切りをなくしたオープンプラン教室配置とすることから、隣接する教室相互の間に準備室を設け、音の伝搬を抑制した。
  4. (4)
    中学校の計画において、教室の稼働率を高めるために、普通教科はクラスルームで行い、実験や実習の授業は特別教室で行う教科教室型を採用した。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は(4)です。普通教科をクラスごとの普通教室で行い、実験や実習などのときだけ特別教室へ移動する方式は「特別教室型」です。「教科教室型」とする名称が不適当です。教科教室型では、国語、数学なども含めて教科ごとの教室を設け、生徒が時間割に応じて各教室へ移動します。
例えば、朝から多くの授業を2年1組の教室で受け、理科の実験の時間に理科室へ行く姿は特別教室型です。一方、数学なら数学の教室、国語なら国語の教室へ移るのが教科教室型です。後者は教科ごとの教材や展示を常設しやすく、時間割を適切に組むことで教室の利用を効率化できます。その代わり、生徒の持ち物を保管し、クラスとして集まる生活拠点や、休み時間の移動への配慮が必要です。他の三肢は、教員の見守り、感覚への配慮、隣室からの音の低減という、それぞれ具体的な学校生活に対応しています。運営方式の名称と、部屋の開放性や配置の形式も分けて理解します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。教師コーナーを普通教室に近い位置へ設けると、教員が児童の様子を把握しやすく、児童も相談しやすくなります。職員室が離れている場合でも、教室群の近くに教員の居場所があることで、授業の間の生活を支えられます。ただし見守りのために全ての場所を無条件に見通すのではなく、児童の落ち着きやプライバシーにも配慮します。教員の位置、窓や出入口、死角などを実際の視線で確かめることが重要です。

選択肢2

(2)適当です。音に強い苦痛や負担を感じる児童には、騒がしい環境から一時的に離れ、刺激を減らせる場所が役立ちます。遮音性の高い小空間は、周囲の音が入りにくい落ち着いた環境をつくります。罰として閉じ込める場所や、全ての児童を同じ対応に当てはめる空間ではありません。本人の特性、教員の支援、換気や安全、必要時に見守れる方法を合わせ、安心して利用し、学習の場へ戻れるように計画します。

選択肢3

(3)適当です。教室と廊下の境を開くと、活動は広がりますが、隣の授業の声も伝わりやすくなります。教室どうしの間に準備室を挟むと、距離と遮る部分が増え、直接伝わる音を軽減できます。ただし廊下側が連続して開いていれば、そこを回り込む音は残ります。準備室を置くだけで完全に遮音できるわけではなく、吸音、開口の向き、同時に行う活動なども検討します。開放性を生かしながら学習の聞き取りやすさを保つ工夫です。

選択肢4

(4)不適当です。普通教科をクラスルーム、実験・実習を特別教室で行うのは特別教室型です。教科教室型は、各教科の専用教室へ生徒が移動する方式です。教室の稼働率は、利用可能な時間のうち実際に授業等で使う割合です。教科教室型で効率化を図る場合でも、時間割や必要室数の検討が必要で、名前を変えるだけで利用率が上がるわけではありません。授業の場所、移動する人、生活拠点を具体的に対応させます。

周辺知識

学校の計画には、「授業をどう運営するか」と「空間をどう区切るか」という別の軸があります。特別教室型と教科教室型は運営方式の区分です。一方、オープンプランは教室と周囲の空間を壁で細かく閉じず、つながりを持たせる配置の考え方です。オープンプランだから必ず教科教室型になる、という関係ではありません。
開放的な空間は、少人数学習や共同活動へ柔軟に使える反面、音や視覚的な刺激が増える場合があります。静かな個別活動と活発な話合いを同時に行うなら、距離、吸音、部分的な囲い、静かな退避場所などを組み合わせます。広さを確保することと、必要に応じて落ち着けることの両立が大切です。
教科教室型では、生徒の移動が増えるため、廊下の混雑、荷物の保管、ホームベースの位置が重要です。ホームベースはクラスとしての生活の拠点となる場所です。教師コーナーも、専門教科の準備と児童生徒の見守りの両面から配置します。教育方法、時間割、人の移動、音環境を合わせて考えると、教室の名称を生活の実態に結び付けて理解できます。