学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅰ(計画) 問12
問題・正答・学習用解説
問題
住宅の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。住宅セーフティネット制度では、共同居住型賃貸住宅、つまりシェアハウスにも登録の基準が設けられています。規模や構造等の基準を満たす場合にも一律に登録できない、という部分が不適当です。共同居住型は、各人の個室に加え、台所や居間などを共用する住まい方です。
住宅を借りたい人がいても、高齢、障害、子育てなどを理由として入居の選択肢が狭くなることがあります。住宅セーフティネットは、そうした住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録などによって、住まいの確保を支える仕組みです。空き家や空き室の活用も重要であり、一人一戸の独立した住戸だけに限定すると、使える住宅の種類を狭めてしまいます。ただし、共用の住まいなら無条件でよいわけではありません。専用部分の広さ、共用設備、耐震性などの所定条件を満たす必要があります。本問では2022年の出題時点でも共同居住型の登録が可能であったことを押さえます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。高齢者等配慮対策等級は、住宅の移動や介助のしやすさに関係する対策を、等級5から1の段階で示します。大きい等級ほど、評価項目に関する対策の程度が高くなります。例えば段差、通路や出入口の幅、手すり、使う部屋の位置などが関係します。ただし、等級5ならあらゆる人のあらゆる動作に無条件で対応できるという意味ではありません。表示の対象とする性能を理解し、実際に住む人の身体状況にも合わせて判断します。
選択肢2
(2)適当です。特定寝室は、高齢者の利用を想定する主たる寝室です。住宅全体の中で、その寝室から便所、浴室、食事室などへどう移動するかを考える起点になります。例えば寝室だけ広くしても、夜間に使う便所まで階段を上り下りする必要があれば、生活の負担は残ります。「特定」という語は特別な病室という意味ではなく、評価の際に高齢者の主な寝室として位置付ける部屋を指します。日常の経路と併せて計画します。
選択肢3
(3)適当です。住宅確保要配慮者は、高齢者、障害者、子育て世帯など、住まいを確保する際に配慮を必要とする人たちです。入居を拒まない賃貸住宅を登録することで、空き家・空き室と住まいを必要とする人をつなぐ仕組みをつくります。ただし、登録された住宅が全て無料になるとか、全ての申込みが無条件で契約に至るという意味ではありません。登録の対象となる受入れ範囲や住宅の条件を明らかにし、居住支援とも結び付けます。
選択肢4
(4)不適当です。シェアハウスのような共同居住型賃貸住宅も、定められた登録基準に適合すれば登録できます。個室と共用部分を組み合わせるため、独立住戸と全く同じ広さの考え方だけで判断するのではなく、共同居住型の条件を用います。例えば各人が休める専用部分と、必要な数の共用設備を確保することが生活の質に関係します。「共同で使う住宅は対象外」と一律に除く説明が誤りであり、登録には適合の確認が必要です。
周辺知識
本問には、住宅の「性能を示す制度」と、住宅への「入居を支える制度」が登場します。住宅性能表示は、買う人や借りる人が、目に見えにくい性能を共通の基準で比べるための仕組みです。高齢者等配慮対策等級はその一項目で、耐震性や省エネルギー性能の等級とは評価対象が違います。ある項目の等級が高くても、別の項目まで高いとは限りません。
住宅セーフティネットは、住宅を必要とする人が入居を断られやすいという問題に対応します。住宅の広さや安全性だけでなく、契約や生活を支える関係も重要です。物理的に利用しやすい住宅であることと、その人が実際に借りられることは、関連しながらも別の課題です。
共同居住には、個人のプライバシーを守る部分と、生活設備を共有する部分があります。共用の居間が広くても個室が落ち着かない、設備の数が足りず待ち時間が長い、といった問題がないかを考えます。住戸形式の名前だけで良否を決めず、専用部分、共用部分、移動経路、支援の仕組みを合わせて理解します。