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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問23

問題・正答・学習用解説

問題

A欄に掲げる「建築士等に義務付けられる行為等」とB欄に掲げる「義務付けの対象等」の組合せのうち、B欄において、建築士法による義務付けの対象等とされていないものを含むものは、次のうちどれか。
A欄(建築士等に義務付けられる行為等)B欄(義務付けの対象等)
1.建築士免許証(免許証明書を含む。)の提示・設計等の委託者から請求があったとき ・建築主に対して、契約内容などの重要事項の説明をするとき
2.定期講習の受講・全ての一級建築士 ・全ての二級建築士 ・全ての木造建築士 ・全ての構造設計一級建築士 ・全ての設備設計一級建築士
3.設計図書その他の書面への記名・一級建築士、二級建築士又は木造建築士が、設計を行ったとき ・構造設計一級建築士が、構造関係規定の法適合確認を行ったとき ・設備設計一級建築士が、設備関係規定の法適合確認を行ったとき
4.建築士事務所に閲覧のために備え置く書類・建築士事務所の業務の実績を記載した書類 ・建築士事務所に属する建築士の氏名及び業務の実績を記載した書類 ・損害賠償に必要な金額を担保するための措置の内容を記載した書類 ・建築士事務所の業務及び財務に関する書類

選択肢

  1. (1)
    建築士免許証(免許証明書を含む。)の提示・設計等の委託者から請求があったとき・建築主に対して、契約内容などの重要事項の説明をするとき
  2. (2)
    定期講習の受講・全ての一級建築士・全ての二級建築士・全ての木造建築士・全ての構造設計一級建築士・全ての設備設計一級建築士
  3. (3)
    設計図書その他の書面への記名・一級建築士、二級建築士又は木造建築士が、設計を行ったとき・構造設計一級建築士が、構造関係規定の法適合確認を行ったとき・設備設計一級建築士が、設備関係規定の法適合確認を行ったとき
  4. (4)
    建築士事務所に閲覧のために備え置く書類・建築士事務所の業務の実績を記載した書類・建築士事務所に属する建築士の氏名及び業務の実績を記載した書類・損害賠償に必要な金額を担保するための措置の内容を記載した書類・建築士事務所の業務及び財務に関する書類

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。一般の一級建築士、二級建築士、木造建築士について、定期講習の受講義務があるのは、建築士事務所に所属する人です。免許を持つ全ての人へ、所属の有無を問わず同じ義務を課しているわけではありません。一方、構造設計一級建築士と設備設計一級建築士には、事務所所属という限定を付けず、それぞれの定期講習を求めます。
定期講習は、建築士が業務に必要な法令や技術の知識を更新するための制度です。免許取得時に学んだ知識だけで長年仕事を続けると、改正された基準や新しい技術への対応が不十分になるおそれがあります。そこで、業務を行う建築士や高度な専門資格を持つ建築士に、定期的に学び直す機会を設けています。
本肢は五つの資格を全て同じように『全ての』と並べていますが、一般の三資格には事務所所属の限定があります。例えば一級建築士免許を持っていても、建築士事務所に所属していない人を、その資格だけを理由にこの講習義務の対象とすることはできません。反対に、構造・設備の専門資格者にも同じ所属の限定を付けて覚えるのは誤りです。各号の対象を一つずつ読み、共通する言葉だけでまとめないことが必要です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)挙げられた行為はいずれも義務の対象です。設計等の委託者から請求があれば、建築士は免許証または免許証明書を提示します。また、契約前の重要事項説明を行う建築士は、その際にも免許証等を提示します。依頼者が、説明している人が資格を持つ本人かを確認できるようにするためです。依頼者から請求された場合の提示だけを覚えると、重要事項説明時に自ら提示する義務を落とします。提示と、免許証の原本を預けることは別です。

選択肢2

(2)義務の対象でない人を含みます。一級・二級・木造建築士の定期講習は、建築士事務所に所属する人に義務付けます。免許保有者全員という記載は広過ぎます。一方、構造設計一級建築士・設備設計一級建築士の定期講習は、それぞれの資格者に義務があり、一般の建築士と同じ事務所所属の限定はありません。五つの資格を一つの条件へまとめず、三つの一般資格と二つの専門資格で、条文の対象範囲が違うことを確認します。

選択肢3

(3)挙げられた行為はいずれも義務の対象です。設計した建築士は設計図書に、構造・設備の法適合確認をした専門資格者は所定の図書や書面に記名し、誰がその業務の責任を担ったかを示します。法適合確認は、他の一級建築士等による設計について、担当する構造・設備の関係規定への適合を確認する仕事です。本年度の問題は『記名』を用いており、過去の記名押印という表現を勝手に補って判断しません。業務と責任者が記録上たどれることが目的です。

選択肢4

(4)挙げられた書類はいずれも所定の閲覧用書類です。事務所の実績、所属建築士の氏名と実績、損害賠償に備える措置、業務・財務に関する事項等を備え、設計等を委託しようとする人の求めに応じて閲覧させます。依頼者が事務所の経験や業務体制、万一の備えを知ったうえで依頼先を選ぶためです。事務所内だけの管理帳簿とは目的が異なります。賠償措置の内容を示す義務と、あらゆる場合に特定の保険加入を義務付けることも区別します。

周辺知識

建築士法の義務は、依頼者の立場から考えると目的を理解できます。免許証の提示は『誰が資格を持って対応するのか』を明らかにします。図書への記名は『誰が設計や確認を行ったのか』を記録します。閲覧書類は『どのような実績・体制の事務所へ依頼するのか』を判断する材料です。定期講習は、業務を行う専門家の知識を更新する仕組みです。
義務の対象は、建築士個人、事務所の開設者、管理建築士などで異なります。また同じ建築士でも、事務所に所属するか、構造・設備の専門資格を持つかで条件が違います。問題の表が複数の対象を並べている場合、先頭の一つが正しくても行全体が正しいとは限りません。対象を一つずつ分解して、どの法律上の限定が付くかを確認します。
行為の時期も重要です。重要事項説明は契約を結ぶ前に依頼者の判断を助け、契約後の書面は合意した内容を明確にし、工事監理の結果報告は監理を終えた後に行います。免許証の提示は、その場で資格を確認する行為です。『書面を用意する義務』という共通点で一括せず、誰に、いつ、何を示すのかを具体的に対応させると、手続の取り違えを防げます。