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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問22

問題・正答・学習用解説

問題

建築士事務所の管理建築士に関する次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    管理建築士は、建築士事務所において、業務の内容に応じて必要となる期間の設定や、受託しようとする業務を担当させる建築士の選定などの技術的事項を総括する。
  2. (2)
    建築士事務所の開設者が、管理建築士の退職後に代わりの管理建築士を置かなかった場合、その建築士事務所の登録は取り消され、その開設者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される。
  3. (3)
    管理建築士が建築基準法の違反によって免許取消しや業務停止等の処分を受けた場合、その処分が自宅の設計など建築士事務所の業務によらないものであっても、当該建築士事務所は閉鎖処分の対象となる。
  4. (4)
    一級建築士事務所に置かれる管理建築士となるための業務要件としては、一級建築士として3年以上の建築物の設計や工事監理等に従事することが求められる。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。管理建築士の実務要件は、『建築士として』3年以上、設計や工事監理等の所定の業務に従事することです。一級建築士事務所の管理建築士になる場合でも、この経験の全てを『一級建築士として』積むことに限定していません。二級建築士等として行った対象業務の経験も含めて判断できます。
管理建築士は、事務所が引き受ける仕事の量や難しさ、必要な期間、担当者の配置等を技術面からまとめる人です。そのため、建築士としての一定の実務経験を積んだうえで、登録講習機関の管理建築士講習を修了することを求めます。経験のないまま、事務所の仕事の適切な体制を判断することを避ける仕組みです。
一方、一級建築士事務所に置く管理建築士は、一級建築士である必要があります。ここを混同してはいけません。『現在、管理する事務所の種類に応じた免許を持つこと』と、『過去3年以上の対象実務を、建築士として経験していること』は別の条件です。例えば二級建築士として対象の設計等を経験した後、一級建築士となった人について、一級取得後に改めて3年間を待つことだけを一律に要求する規定ではありません。必要な経験、講習、免許をそれぞれ確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。管理建築士は、受託できる仕事の量や難しさ、内容に応じた期間、担当する建築士等の選定・配置などの技術的事項を総括します。例えば難しい構造の建物を短期間で大量に受注すると、担当者が十分に確認する時間を確保できないおそれがあります。営業上の希望だけでなく、技術的に適切に遂行できる体制を整える役割です。管理建築士は名義だけ置けばよいのではなく、事務所の業務を適切に進めるための判断を担います。

選択肢2

(2)適当です。管理建築士を置くことは、建築士事務所の登録・運営の基本的な条件です。退職後に代わりを置かない場合、事務所登録の取消しの対象となり、開設者には本年度の法で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。退職した人の名前をそのまま残しても、専任の管理建築士を置いていることにはなりません。資格者個人の免許と、事務所が業務を行う登録・体制の問題を区別し、後任を置く必要を理解します。

選択肢3

(3)適当です。管理建築士が建築士法の免許取消しや業務停止等の処分を受けた場合、事務所の業務外の行為が理由でも、事務所の閉鎖等の監督処分の対象になり得ます。管理建築士は事務所全体の技術的事項を総括する責任ある立場なので、その適格性に問題が生じれば事務所の運営にも関係します。一般の所属建築士について、事務所の業務として行った行為を問題にする規定とは条件が異なります。必ず閉鎖されるという意味ではなく、処分の対象となるという意味です。

選択肢4

(4)誤りです。所定の3年以上の実務は『建築士として』の経験であり、一級建築士としての経験だけに限定しません。二級建築士等としての対象業務も含められます。ただし、一級建築士事務所を管理する時点では一級建築士である必要があり、管理建築士講習の修了等も必要です。経験を積んだ時点の資格の範囲と、現在置かれる管理建築士に必要な免許の種類を分けることが重要です。一級事務所の管理者だから経験も全て一級として必要、という推測が誤りです。

周辺知識

建築士事務所の開設者と管理建築士は、同じ人の場合も、別の人の場合もあります。開設者は事務所を開いて運営する主体で、管理建築士は技術的な事項をまとめる専門家です。両者が異なる場合、管理建築士は業務を適切に進めるために必要な意見を述べ、開設者はその意見を尊重することが求められます。
管理建築士の仕事には、業務の量・難易度と期間の設定、担当者の選定・配置、他事務所と提携する場合の業務範囲、所属する技術者の監督等があります。例えば自分の事務所だけでは専門的な確認が難しい仕事を受けるとき、適切な提携先や担当を検討することも関係します。単に一番経験の長い人の肩書という制度ではありません。
法規の資格要件は、免許、実務、講習、専任性を分けて読みます。本問では、免許は管理する事務所の種類との対応、実務は建築士として3年以上、講習は所定の課程の修了、配置は専任の管理建築士を置くことです。一つを満たしても他を省けません。また、個人への懲戒と事務所への監督処分は別の制度であり、管理者の処分が事務所にも影響する条件を確認します。