学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。再開発等促進区内で、地区計画の土地利用に関する基本方針に適合していても、それだけで用途地域の制限に適合しない建物を無許可で新築できるわけではありません。法が定める条件に応じて、特定行政庁の許可を受ける必要があります。
地区計画は、地域全体の大きな用途の区分に加え、街区等の比較的小さな範囲で、道路、空地、建物の用途や形などを具体的に整える計画です。再開発等促進区は、土地利用を転換し、公共施設の整備等と合わせて市街地を整えていくための区域です。新しいまちづくりの方針に沿う建物について一定の制限を緩和できる仕組みがありますが、その方針に合うという建築主の判断だけで、既存の制限を外せる制度ではありません。
用途制限の緩和では、基本方針への適合に加えて区域での業務の利便の増進上やむを得ないか等を判断する許可の枠組みを使います。本肢は、この行政の判断と手続を抜かして『許可を受けることなく』とした点が誤りです。地区計画に関する容積率等の認定・緩和と、用途制限の許可を区別し、どの制限を変更するために何の手続を使うかを確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。都市計画区域内のごみ焼却場は、原則として都市計画で敷地の位置が決められていることが必要です。ただし、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て、位置が都市計画上支障ないと認めて許可した場合には、新築できます。処理施設は周囲の土地利用や交通等へ影響するため、場所を公的に調整する仕組みです。位置が未決定なら永久に建築不能ということではなく、所定の審議と許可という別の入口がある点を確認します。
選択肢2
(2)誤りです。再開発等促進区の基本方針に沿うことは、用途制限の緩和に関係する条件ですが、それだけで特定行政庁の許可を省略できません。区域の業務の利便の増進上やむを得ないか等も含め、法律が定める許可の条件を満たす必要があります。都市計画の方針に合っているという評価と、個別の建物が用途制限の例外として認められることを分けます。『地区計画があるから用途地域の制限は自動的になくなる』という理解は誤りです。
選択肢3
(3)適当です。建築基準法の許可には、交通、安全、防火、衛生上支障がないものとするための条件等を付けることができます。例えば周囲への支障を避けるために必要な措置を、許可の条件として明確にする仕組みです。許可は、単に通常の制限を全て外す白紙の承認ではありません。もちろん、どのような条件でも無制限に付けてよいのではなく、法律の目的や規定に沿ったものである必要があります。許可の可否と、許可に付く条件の履行を合わせて考えます。
選択肢4
(4)適当です。指定確認検査機関が建築基準法令に基づいて行った処分に不服がある場合、当該建物を管轄する建築主事が置かれた市町村または都道府県の建築審査会へ審査請求できます。指定確認検査機関は民間の法人の場合もありますが、法に基づく確認等の処分には公的な不服申立ての制度があります。機関の本社の所在地へ機械的に請求するのではなく、その建物の確認権限を持つ行政の管轄をたどることが重要です。
周辺知識
都市計画と建築基準法は、違う役割を持ちながら連動します。都市計画は、土地利用や道路等をまち全体としてどう配置するかを定め、建築基準法は、その計画に対応する用途・形態等の制限を個々の建築行為へ適用します。地区計画に沿うという一つの条件を満たしても、必要な建築の手続が全部なくなるわけではありません。
行政が関与する手続も区別します。確認は、計画が建築基準関係規定に適合するかを確かめる手続です。許可は、法律が定めた条件の下で原則の制限の例外を認めるなどの判断です。審査請求は、行われた処分に不服がある人が、その適否を改めて審査してもらう手続です。同じ『行政へ書類を出す』行為でも、役割も提出先も違います。
審議会の名称にも注意します。ごみ焼却場の位置に関する例外では、まちづくりの観点を扱う都市計画審議会が関係します。建築確認等の処分への不服申立てでは、建築審査会が関係します。似た名称を暗記だけで入れ替えず、何について審議・審査しているかと結び付けると、必要な組織と手続を理解しやすくなります。