学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問16
問題・正答・学習用解説
問題
防火地域及び準防火地域内の建築物の新築に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。準防火地域内の地上2階建て、延べ面積1,200m²の倉庫は、この地域の規模区分では準耐火建築物等とする方法も認められます。耐火建築物またはこれと同等以上の延焼防止時間となる建築物だけに限定して、必ずその性能が必要とした点が誤りです。
防火地域・準防火地域の規制は、市街地の火災が建物から建物へ広がることを抑える制度です。建物が大きいほど火災の影響が大きく、高い階があるほど避難や消火も難しくなるため、地域と階数・延べ面積に応じて必要な防火性能を変えます。準防火地域では、地階を除く階数が4以上、または延べ面積が1,500m²を超える場合が、耐火等を必要とする区分です。
本肢は2階で、1,200m²は1,500m²を超えません。一方、500m²は超えるため、準耐火等を求める区分に入ります。『何の防火性能も必要ない』という結論ではなく、『準耐火等も選べるのに、耐火等だけを義務にした』という誤りです。なお、倉庫という用途による特殊建築物の規定も別に確認する必要がありますが、本肢の条件で耐火等だけに限定することはできません。最低限必要な性能と、より高い性能を任意に選ぶことを区別します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。防火地域では、延べ面積が100m²を超える建物は、耐火建築物またはこれと同等以上の延焼防止時間を持つ建物とする区分に入ります。本肢は120m²なので100m²を超え、平家の診療所でも対象です。防火地域の規模条件は階数と面積の両方を確認し、平家だから低い性能でよいとは判断しません。耐火建築物は、主要な構造部分や外壁の開口部等に所定の防火性能を備える建物で、屋根だけを燃えにくくすれば足りるものではありません。
選択肢2
(2)適当です。防火地域の建物に附属する高さ2mを超える門や塀には、延焼防止上支障のない構造を求めます。門や塀も、燃えれば隣の建物へ火を伝えたり、避難や消防活動を妨げたりするおそれがあります。建物本体の耐火性能だけを整えても、周囲の附属物が火災拡大の経路となることがあるためです。本肢は『2mを超える』ものを対象としています。全ての高さの塀へ、この条件をそのまま拡大する読み方は避けます。
選択肢3
(3)適当です。準防火地域で地上3階建ての場合、延べ面積180m²と小さな一戸建て住宅でも、耐火、準耐火またはこれらと同等以上の延焼防止時間となる建物等の区分に入ります。規模の判定では、面積だけでなく地階を除く階数が独立した条件です。180m²が500m²以下だから地域の防火性能を何も求めないということにはなりません。小さな敷地に3階を重ねる住宅でも、上階での火災や周囲への延焼を考慮した性能が必要になります。
選択肢4
(4)誤りです。準防火地域の2階建て1,200m²は、500m²を超え、1,500m²以下の区分なので、準耐火建築物等とする方法も認められます。耐火等だけが必須ではありません。1,200を防火地域の100m²の境目と比較したり、準防火地域の1,500m²超の区分へ入れたりしないようにします。耐火構造で計画すること自体は可能ですが、法が要求する最低条件を問う場合は、適法な準耐火等の方法が残っているかまで確認します。
周辺知識
耐火、準耐火、防火という言葉は似ていますが、単に強さの印象で読み替えないようにします。耐火建築物・準耐火建築物は、建物全体について主要構造部や開口部等の条件を組み合わせた区分です。防火構造は主として外壁や軒裏等の構造の性能に関する用語です。一部の外壁が防火構造というだけで、建物全体を耐火建築物と呼べるわけではありません。
地域による必要性能は、表を作るつもりで読むと整理できます。まず防火地域か準防火地域かを確定し、次に地階を除く階数と延べ面積を当てはめます。本問では、防火地域の120m²は100m²超、準防火地域の1,200m²は500m²超かつ1,500m²以下です。数字が大きいか小さいかという印象より、地域ごとの境目との比較が重要です。
さらに、地域の規制と、病院や倉庫等の用途・規模に応じた特殊建築物の規制は、重ねて確認します。一つの表で準耐火が認められても、別の規定でより厳しい条件が求められれば、両方を満たす必要があります。試験では示された条件の範囲で、どの条文から最低性能が決まるかを明らかにし、『設けてもよい高い性能』と『必ず必要な性能』を区別します。