学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問15
問題・正答・学習用解説
問題
建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等の指定はなく、また、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は3です。近隣商業地域に建てる原動機を使用する自動車修理工場は、作業場の床面積の合計300m²以下等の範囲で認められます。本問は作業場が400m²なので、この上限を超え、特定行政庁の許可等を考えない条件では新築できません。
用途地域は、住宅、商店、工場等をどこに配置できるかを決め、周囲の暮らしや仕事との衝突を抑える制度です。近隣商業地域は、近くの住民が利用する商店等の利便を増す地域ですが、どのような工場でも自由に建てられるわけではありません。自動車修理工場は、機械の運転や作業に伴う音、振動等が周囲へ影響するため、規模等の条件を設けています。
本問には建物全体の延べ面積500m²と、作業場の合計400m²が示されています。判定する300m²の上限は作業場に対するものです。事務室や待合等を含む500m²をそのまま比較するのではありませんが、作業場だけでも400m²で上限を100m²超えています。『商業と名の付く地域なら修理工場は規模を問わない』という読み方も誤りです。施設の名称、そこで行う作業、規制対象の面積を対応させることが判断の要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。児童厚生施設は、子供が健全に遊び、育つための施設で、児童館等がその例です。第一種低層住居専用地域で認められる用途に含まれます。本肢の延べ面積500m²、平家建てという条件で、その用途を理由に新築を禁止するものではありません。低層住宅地でも、住民の生活や子育てに必要な施設を全て排除するわけではないためです。ただし、用途が認められても、建ぺい率、高さ、敷地等の他の規定には別に適合させます。
選択肢2
(2)適当です。第二種住居地域では、本肢の延べ面積6,000m²のカラオケボックスを建築できます。住居地域には段階があり、第一種と第二種で認められる用途が同じではありません。また、一定の集客用途については、その用途部分が10,000m²を超えるかという規模の区分もあります。本肢は各階を当該用途としても合計6,000m²です。住居という名称だけで娯楽施設を全て禁止とせず、用途地域の種類と用途部分の規模を確認します。
選択肢3
(3)誤りです。近隣商業地域で原動機を使用する自動車修理工場を認める面積の範囲は、作業場の床面積合計300m²以下です。本肢の400m²はそれを超えるため、指定された条件では新築できません。300m²ちょうどなら面積条件の範囲内ですが、400m²には使えません。建物全体500m²と作業場400m²を区別し、作業場という法令の対象へ数値を入れることが大切です。建物が平家であることによって、この作業場面積の制限がなくなるわけでもありません。
選択肢4
(4)適当です。圧縮天然ガスの製造であっても、自動車の内燃機関の燃料として充填するための所定のものは、一般のガス製造工場とは区別され、商業地域で認められる例外に入ります。自動車への燃料供給という本肢の限定が重要です。延べ面積2,000m²という数値や『ガス製造』という言葉だけで一律に禁止と判断しません。もっとも、用途制限で認められることは、ガスに関する設備・保安等の他法令の条件まで免除する意味ではありません。
周辺知識
用途制限の表は、地域によって『建ててよいものを列挙する』方式と、『建ててはいけないものを列挙する』方式があるため、表の向きを確認します。住宅地だから全ての非住宅が禁止、商業地だから全ての営業施設が自由という二分法では読めません。学校、福祉施設、店舗、娯楽施設、工場等を、それぞれの用途区分へ当てはめます。
工場の制限では、作業の種類、原動機の使用、作業場面積、危険物の種類や量等が関係します。自動車修理工場の作業場400m²と、建物全体の延べ面積500m²が並ぶのは、何の面積で判定するかを問うためです。数値を比較するときは、単に大きい方を使わず、法令が対象とする部分だけを集計します。
例外に付く限定も重要です。本問の圧縮天然ガスは、自動車へ燃料として充填するためのものに限られています。この条件を落として『商業地域ではガス製造工場を建てられる』と覚えると、別の問題で誤ります。用途、目的、規模の条件をセットで理解し、その場所で周囲の生活や事業と共存できる範囲を法律が区切っていると考えると、細かな区分の理由を捉えやすくなります。