学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問10
問題・正答・学習用解説
問題
建築設備に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は3です。住宅の調理室で、窓等を設けることにより火を使用する器具のための所定の換気設備を省略する例外には、対象となる器具の発熱量の合計が6kW以下という条件があります。本問は8kWなので、この条件を満たしません。窓の大きさだけが足りていても、換気設備を省略できません。
火を燃やすと、室内の酸素を使い、二酸化炭素等の燃焼ガスが発生します。燃焼状態が悪い場合は一酸化炭素による危険もあるため、火を使う室には、その器具に見合う換気を確保します。発熱量のkWは、器具が単位時間に生み出す熱の大きさを表します。器具が大きければ、それに応じて燃焼に必要な空気や排出すべきガスも問題になります。
本問の窓0.7m²は、調理室7m²の10分の1に相当します。また住戸全体は50m²で、例外の住戸規模の条件にも入ります。しかし、例外は『住戸の規模』『調理室に対する有効開口面積』『対象器具の発熱量』等を全て満たして使います。8kWを6kW以下の条件と取り違えた点が誤りです。なお、問題が合計から除く密閉式燃焼器具等は、屋外との給排気等を備える別の扱いなので、対象器具の範囲も確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。非常用エレベーターは、消防隊等が高い階へ到達するための設備です。高さ31m超の部分が4階以下で、その部分を100m²以内ごとに耐火構造の床・壁等で区画するなど、所定の条件を満たす場合は設置を省略できます。高い部分があるだけで例外を無視せず、対象部分の階数、区画の面積、建物と区画の耐火性能を一組で確認します。100m²という値は建物全体の延べ面積ではなく、区画する部分の床面積合計に関する値です。
選択肢2
(2)適当です。各構えの床面積合計が1,000m²以上の地下街では、排煙設備を中央管理室から制御し、作動状態を監視できる必要があります。本問の1,500m²はこの範囲に入ります。中央管理室は、建物の防災設備の状態をまとめて把握し、対応する拠点です。火災中に各所の機器を一つずつ見回ることは難しいため、煙を排出する設備が動いているかを一か所で確認できるようにします。地下街の各構えの合計を使う点が重要です。
選択肢3
(3)誤りです。窓による例外は、調理室の有効開口面積だけでなく、火を使用する器具の発熱量合計6kW以下等が条件です。なので開口面積の割合は満たしますが、8kWは6kWを超えます。条件が三つあるとき、二つを満たしても残りを省けません。『大きい窓があるから十分』という印象で判断せず、室内で燃焼させる器具の合計を計算して条件と比較します。密閉式燃焼器具等を除くという問題の指定にも従います。
選択肢4
(4)適当です。全館避難安全検証法は、火災時に煙等が危険な状態になる前に、建物内の人が避難できるかを計算して確認する方法です。しかし、非常用照明の規定は、この検証で適用を除外する対象ではありません。売場の避難経路や避難時間を計算して安全と確認できても、停電で足元が見えなくなる問題は別に残ります。本問の店舗には非常用照明が必要です。性能を計算したことを、全ての防災設備を省略できる許可と捉えないようにします。
周辺知識
換気の規定には、目的の異なるものがあります。居室の一般的な換気は、人の活動で汚れる空気を入れ替えるためのものです。火を使う室の換気は、燃焼に伴う酸素不足やガスを考慮します。ホルムアルデヒドのための換気は、建材等から出る化学物質の濃度を抑えるためのものです。一つの例外が使えても、別の目的の換気まで当然に不要にはなりません。
本問のような数値問題では、単位をそろえて比較すると誤読を防げます。住戸面積はm²、窓面積と調理室面積の比は割合、器具の発熱量はkWです。窓の面積が十分であることは、発熱量の上限を満たした証明になりません。窓0.7m²と調理室7m²から10分の1を求め、次に8kWと6kWを別に比較します。
防災設備の省略も同様で、例外の条件を全部満たす必要があります。非常用エレベーターの省略では高層部分の階数と区画を、排煙設備の集中監視では地下街の面積を、全館避難安全検証では適用除外の条文の範囲を確認します。建物が安全だと計算されたという大きな言葉だけで判断せず、どの危険をどの設備や方法で対処する制度なのかを対応させます。