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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問9

問題・正答・学習用解説

問題

避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    延べ面積2,000m²、地上2階建てのボーリング場の2階の居室から地上に通ずる屋内の廊下及び階段の部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。
  2. (2)
    延べ面積2,000m²の病院において、床面積100m²以内ごとに防火区画した部分については、排煙設備を設けなくてもよい。
  3. (3)
    地下街の各構えが接する地下道の幅員は、5m以上でなければならない。
  4. (4)
    建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の各階において、道に面する外壁面に直径1m以上の円が内接できる窓で、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものを、当該壁面の長さ10m以内ごとに設けている場合には、非常用の進入口を設けなくてもよい。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は1です。ボーリング場は、非常用の照明装置の規定で適用を除外される『学校等』に含まれます。そのため、延べ面積2,000m²であることを理由に、2階の居室から地上へ通じる屋内の廊下や階段へ、この規定による非常用照明を必ず設けるとはいえません。
非常用照明は、停電したときにも避難する人が床面や段差を見分けられるようにする設備です。通常の照明とは別に、電源が失われた場合にも所定の明るさを確保します。法令は、特殊建築物の居室や一定規模以上の建物等を広く対象としたうえで、用途等に応じた例外を定めています。本問のボーリング場は、その用途の例外を先に確認する必要があります。
ここでいう『学校等』は日常語の学校だけではありません。施行令が、学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場をまとめて呼ぶための法律上の略称です。ボーリングを学校教育とみなすという意味ではなく、列挙された用途として読むのが正確です。また、法令による設置義務がないことと、夜間利用等に応じて自主的に安全設備を備えることは別の判断です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)誤りです。ボーリング場は、施行令第126条の4の非常用照明の設置規定から除外される『学校等』に含まれます。2,000m²という面積や、通路が屋内である点だけでは義務ありと判断できません。居室の用途を確認し、その居室から地上へ通じる経路についても例外の適用を判断します。非常用照明の規定での結論であり、誘導灯や消防法上の設備まで全て不要になる、という意味へ広げてはいけません。

選択肢2

(2)適当です。病院のうち、床面積100m²以内ごとに所定の床・壁・防火設備で区画した部分には、排煙設備の設置を省略できる扱いがあります。防火区画は、火災や煙の広がる範囲を区切るための仕組みです。建物全体が2,000m²でも、規定どおりに細かく区切った部分を個別に扱います。普通の間仕切りで100m²以下に分けただけでは足りず、区画の耐火性能や開口部の防火設備等まで所定の条件を満たす必要があります。

選択肢3

(3)適当です。地下街で店舗等の各構えが接する地下道には、幅員5m以上という基準があります。『構え』は、地下道に面して設けられる一つ一つの店舗等の部分です。地下は出口の方向が分かりにくく、火災時には多数の利用者が同じ通路へ集まるため、共用の地下道に十分な幅を確保します。店舗内の通路や通常の建物の廊下に、この5mを一律に当てはめるのではなく、地下街の各構えに接する地下道という対象を確認します。

選択肢4

(4)適当です。3階以上で高さ31m以下の部分には消防隊が外部から進入するための規定がありますが、道に面して所定の窓等を10m以内ごとに設ける方法なら、別途の非常用進入口を省略できます。直径1mの円が内接するとは、その円が窓の開口内に収まるという意味です。広さだけでなく、格子等がなく実際に外から入れることが必要です。窓があっても固定格子でふさがれていれば、人が通れず、この代替の条件を満たしません。

周辺知識

火災時の設備は、役割を分けると理解しやすくなります。非常用照明は足元等を明るくし、排煙設備は煙を屋外へ出し、非常用進入口は消防隊が外から建物内へ入る場所を確保します。地下道の幅の規定は、大勢の人が移動できる空間を確保するものです。同じ避難・消火のためでも、対象とする危険が異なります。
設備の要否を読むときは、まず原則の対象に入るかを確認し、次にただし書や各号の除外を確認します。大きな建物であれば全ての設備が同じように義務になるわけではありません。本問では、ボーリング場は用途の除外、病院の小区画は区画方法による除外、窓は別の設備に代わる条件という、異なる仕組みが使われています。
また、法令の略称は、その場で定義された範囲で読みます。『学校等』にボーリング場が入るのは、条文でその用途を列挙しているためです。普段の言葉の印象で狭く読まず、定義をたどる習慣が必要です。一方、ある設備の例外を見つけても、消防法の別の設備や他の避難規定までまとめて適用除外になるわけではありません。規定ごとに対象、例外、代替条件を対応させます。