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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅲ(法規) 問8

問題・正答・学習用解説

問題

仮設建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    非常災害があった場合において、準防火地域である非常災害区域等に地方公共団体が災害救助のために建築する、延べ面積1,000m²、地上3階建ての応急仮設建築物の病院で、災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、建築基準法令の規定は適用されない。
  2. (2)
    災害があった場合において、準防火地域内に国が建築する、延べ面積500m²、地上2階建ての応急仮設建築物である官公署については、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関する規定は適用されない。
  3. (3)
    防火地域内に建築する仮設店舗で、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分への防火戸等の防火設備の設置に関する規定は適用されない。
  4. (4)
    建築物の用途を変更して一時的に興行場として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。災害時に建てる応急仮設の官公署であっても、防火地域または準防火地域内にあり、延べ面積50m²を超える場合には、屋根の火の粉に対する性能の規定が適用されます。本問は準防火地域の500m²なので、その規定を省けません。
災害で役所等の機能が使えなくなったとき、一時的な建物を早く造る必要があります。そのため法第85条第2項は、災害時の公益的な応急仮設や工事現場の仮設建物について、多くの規定を適用しない仕組みを設けます。しかし、市街地の火災が周囲へ広がることを防ぐため、一定面積を超える仮設建物の屋根には防火性能を残しています。
火の粉は風で運ばれ、屋根に落ちて建物へ火を移すことがあります。短期間使う建物でも、周囲の火災から燃えたり、逆に延焼の連鎖を招いたりする危険は消えません。本肢は国が建てることを述べていますが、それだけで災害救助のため1月以内に着工する別項の全面的な適用除外になるわけではありません。応急仮設病院、公益的官公署、許可を受ける仮設店舗、一時用途変更の興行場を、それぞれ別の特例として読み分けます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。非常災害区域等で、地方公共団体が災害救助のために建て、発災から1月以内に着工する応急仮設は、法第85条第1項の適用除外の条件に入ります。防火地域内の場合は除外の扱いが異なりますが、本肢は準防火地域です。1,000m²や3階建てという規模だけでこの特例を否定するのではなく、建てる主体、災害救助の目的、区域、着工時期を組み合わせます。災害に関連する建物なら期限や目的を問わず同じ扱い、という制度ではありません。

選択肢2

(2)誤りです。法第85条第2項の公益的な応急仮設には多くの適用除外がありますが、防火・準防火地域内の50m²超のものには屋根の規定が残ります。本問は500m²なので明らかに超えています。準防火地域で火の粉が屋根に落ちても、有害に燃え出したり屋内へ火を通したりしない性能が必要です。『国の応急仮設』という名称だけで第1項の災害救助特例と同一視せず、どの項に該当するかを確認します。屋根の防火性能を不要とした点を訂正します。

選択肢3

(3)適当です。安全・防火・衛生上支障がないとして特定行政庁の許可を受けた仮設店舗には、法第85条の所定の規定の適用除外があります。その範囲には、防火地域の延焼のおそれのある外壁開口部へ防火設備を設ける規定も含まれます。許可は、一時的な使用と具体的な安全性を判断したうえで行うものです。防火地域に仮設店舗を造る人が、許可もなく自分の判断で防火戸を省いてよいわけではありません。本肢の許可済みという条件が重要です。

選択肢4

(4)適当です。既存建物の用途を変えて一時的な興行場として使い、安全・防火・衛生上支障がないとして所定の許可を受ける場合、内装制限を適用しない特例があります。興行場は演劇や催しなどに使う施設で、通常の恒久的な用途変更とは別に、使用期間等を踏まえて安全性を判断します。許可により内装制限が外れることと、避難に関する全ての規定が無条件に外れることは異なります。どの規定が適用除外となるかを、法第87条の3等の列挙から確認します。

周辺知識

仮設建築物は、一時的に必要となる建物ですが、法律上は一種類ではありません。災害救助のための緊急の建物、被災した公益施設を補う建物、工事現場の事務所、催しのための店舗や興行場などで、目的と使用する状況が違います。必要な対応を迅速にできるように規定を緩める一方、周囲への火災や利用者の避難の危険を防ぐ条件を残します。
特例を読む順序は、まず主体と目的、次に場所、着工や使用の期間、規模、許可等の有無を確認し、最後に適用しない条文と残る条文を読むことです。特に第85条第1項と第2項は、似た応急仮設でも条件と適用除外の範囲が違います。本問の官公署では、防火・準防火地域の50m²超に屋根の基準が残る但し書きが結論を決めます。
一時的であることは、事故が起きないことではありません。火の粉は仮設の屋根にも飛来し、多数の客は短期間の興行場でも避難する必要があります。特例は安全を捨てる制度ではなく、通常と異なる条件を踏まえ、必要な機能を早く確保するための制度です。『仮設なら全部不要』という覚え方を避け、個々の特例が何を省き、何を残すかを具体的に整理しましょう。