学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
北緯35 度の地点における日照・日射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。日射量は季節の暑さだけでなく、受ける面の向きと太陽の位置で変わります。北緯35°の標準的な比較では、冬至の南向き鉛直面は、夏至の西向き鉛直面より終日日射量が大きくなります。本肢の大小関係は逆です。
冬は太陽高度が低く、太陽が南寄りの空を動くため、南向きの壁は日中の広い時間帯に日射を正面に近い角度で受けます。一方、夏至の西向きの壁は主に午後に日射を受けます。夏は日照時間が長くても、西面が一日中正面から照らされるわけではありません。地面全体が受ける熱や外気温の高さを、そのまま特定の鉛直面の一日分の日射量に置き換えないことが要点です。
また、「日射量」と「可照時間」は別です。長く日が当たっても斜めに弱く当たる時間が多ければ、熱量が大きいとは限りません。本問は緯度と季日による日照・日射の一般的な関係を扱い、個々の日の雲などによる実測変動を比較する問題ではありません。面に当たる角度と、当たる時間の両方を考えます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。冬至の南面は、低い太陽を正面に近く受ける時間が長く、北緯35°での終日日射量の一般的な比較では、夏至の西面より大きくなります。冬は寒いからどの面の日射量も夏より少ない、という推測はできません。太陽高度が低いことは水平面には不利でも、南向き鉛直面には有利に働く場合があります。外気温、水平面日射、方位別の鉛直面日射を別々に捉えます。
選択肢2
(2)適当です。春秋分の南中高度はです。直達日射を水平面で受ける成分は、南向き鉛直面ではなので、水平面が大きくなります。太陽の光に垂直な面が受ける強さに、それぞれの係数を掛ける比較です。南中時という一時点の直達成分を扱うため、終日の総量や天空日射を混ぜないようにします。
選択肢3
(3)適当です。夏至には太陽が北東から昇り、北西へ沈むため、北向きの壁にも朝と夕方に日が当たります。北緯35°では、この朝夕を合計した可照時間が南面の時間より長くなります。「北面には日が当たらない」は一年中成立する説明ではありません。ただし、当たる時間が長いことは、日射熱量が大きいことと同じではありません。低い角度や斜めからの入射を含むため、時間と強さを分けます。
選択肢4
(4)適当です。東西に長い建物では、太陽が移動しても日影が重なって残る範囲が広くなり、一般に長時間日影の領域が大きくなります。本肢は建築面積と高さを同じにして形状だけを比べています。4時間日影は、ある時刻の影が大きいかではなく、一日のうち合計4時間影になる場所の集まりです。瞬間的な影の長さと、長時間重なる領域の面積を区別することが重要です。
周辺知識
日照は直射日光が当たること、日射は太陽から届く放射エネルギーです。可照時間は地形や建物などの遮りがない条件で、太陽がその面の前側にあり照らし得る時間を表します。実際の日照時間は雲にも左右されるため、可照時間と同じになるとは限りません。
太陽高度を、法線面直達日射をとすると、水平面成分はです。太陽が面の正面方向にある鉛直面ではとなります。高度が高いほど水平面が受けやすく、低いほど正面の鉛直面が受けやすい関係です。面の方位と太陽の方位がずれる場合には、その水平方向の角度の影響も加わります。
建物の日影は、太陽と反対方向へ伸びます。低い太陽ほど影は長くなりますが、長時間日影は影が移動して重なる様子から求めます。住宅を東西に長く並べる場合などは、南側の棟の幅が北側の棟の日照へ影響します。緯度、季節、時刻、面の向き、建物の形状を順に固定して考えると、似た日照用語を使い分けられます。