学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問24
問題・正答・学習用解説
問題
建築工事に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。| 用語 | 説明 | |
|---|---|---|
| 1. | ECP | 石灰質原料及びけい酸質原料を主原料とし、オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリートに鉄筋などの補強材を埋め込んだパネル |
| 2. | DPG構法 | 一般に、ガラスにあけた点支持用孔に点支持金物を取り付け、支持構造と連結することにより、大きなガラス面を構成する構法 |
| 3. | エントレインドエア | AE剤又は空気連行作用がある混和剤を用いてコンクリート中に連行させた独立した微細な空気泡 |
| 4. | 逆打ち工法 | 一般に、建築物の1階の床・梁などを先行施工し、これらを支保工として、下部の根切りを進め、順次地下階の躯体の施工と根切りを繰り返し、地下工事を進める工法 |
選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。ここに書かれている、補強材を入れた軽量気泡コンクリートをオートクレーブ養生したパネルは、ALCパネルの説明です。ECPは押出成形セメント板を意味するので、材料名と説明の組合せが違います。
ALCは内部に多数の気泡を持つ軽量のコンクリートです。オートクレーブ養生は、高温・高圧の蒸気を使って材料を硬化させる工程です。ECPはセメントなどの材料を口金から押し出して板状に成形し、中空部分を持つ断面などが特徴です。どちらも壁材に使われ、蒸気養生という共通点があっても、軽量気泡コンクリートと押出成形板は同じ材料ではありません。
略称はアルファベットだけで暗記せず、材料の内部やつくり方を結び付けると区別しやすくなります。DPGはガラスを点で支持する構法、エントレインドエアは混和剤で意図的につくる微細気泡、逆打ち工法は先行した床・梁を支えとして下方へ地下工事を進める方法です。本問は、完成後の用途が似ているかではなく、それぞれの名称が何の特徴を指すかを確かめています。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:本肢はALCパネルの説明であり、ECPとの組合せは不適当です。ALCは軽量気泡コンクリートで、パネルには必要な補強材を入れます。ECPは押出成形セメント板で、材料を所定の断面形状に押し出してつくります。どちらも外壁などに用いる板状の製品ですが、内部に細かな気泡を持つことと、押出しによる中空断面を持つことは異なります。オートクレーブという共通する製造工程だけで判断せず、気泡コンクリートという説明をALCへ結び付けます。
選択肢2
選択肢2:ガラスに設けた孔へ点支持金物を取り付け、支持構造につなぐ説明は、DPG構法として適当です。ガラス周囲を連続した枠で囲って支える方法と比べ、支持部分を点状にまとめることで、大きな透明面を構成できます。ただし、支持金物まわりには力が集中するため、孔の加工、金物の納まり、ガラスの仕様などを計画する必要があります。見た目に枠が少なくても、ガラスが無支持で立っているわけではなく、点支持から背後の構造へ力を伝えます。
選択肢3
選択肢3:AE剤などにより意図的に連行した、独立した微細気泡をエントレインドエアとする本肢は適当です。細かな気泡はコンクリートの施工性を改善し、硬化後には凍結時に水の膨張を受け入れる余地となって、凍結融解への抵抗に役立ちます。練混ぜ時に偶然巻き込まれる比較的大きな気泡は、エントラップトエアと区別します。空気は多いほどよいわけではなく、過剰な空気量は強度へ影響するため、所定の範囲に管理します。
選択肢4
選択肢4:先に1階の床や梁をつくり、それを山留めの支えに利用しながら下を掘り、地下の躯体を順次施工する説明は、逆打ち工法として適当です。通常の地下工事を、掘削後に最下部から上へ構築する流れと考えると、施工方向の違いを理解できます。先行した躯体が土圧を受ける支えになるため、その段階で必要な強度が出ていることを確認します。地下へ掘り進める一方、条件が整えば地上側の工事を並行して進められることも、この工法の特徴です。
周辺知識
建築用語の略称は、似た用途のものを並べて比較すると理解が進みます。ALCとECPは壁材として使われますが、前者は軽量気泡コンクリート、後者は押出成形セメント板です。PCaは、あらかじめ所定の形に製作したコンクリート部材を指します。板や柱の見た目だけでなく、材料と製造方法を確かめます。
コンクリート中の空気も、存在の仕方で役割が違います。意図的な微細気泡は施工性や凍結融解抵抗に役立ちますが、締固め不足で残る大きな空隙は品質を損ないます。「空気がある」という一つの表現だけで、良いか悪いかを決められません。
構法の名称は、部材の支え方や施工の順序を表します。DPGなら点支持、逆打ちなら先行した床などを支えにして下へ施工する流れを思い浮かべます。用語を短い日本語へ置き換え、その後に力の伝わり方や工事の順番を説明できるようにすると、名称だけを入れ替えた選択肢にも対応しやすくなります。