学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問20
問題・正答・学習用解説
問題
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。雷保護設備の接地極は、ガス管との離隔距離を1.5m以上とします。本肢の0.75mでは不足します。接地極の埋設深さ1.5mは、ここで不適当とする部分ではありません。深さと、他の埋設物から離す距離を取り違えないことが重要です。
接地極は、雷電流などを大地へ流すために地中へ設ける導体です。雷電流が流れると、接地極の近くの電位が急に高くなることがあります。近くの金属配管へ放電する危険を抑えるため、ガス管とは所定の距離を確保します。地中へ深く埋めたから、横のガス管との間隔を小さくしてよいわけではありません。
埋設深さについての0.75m以上という条件と、ガス管からの1.5m以上という条件は、測る対象が異なります。問題文の1.5mと0.75mが入れ替わって見えても、両方とも誤りと決めつけず、各条件を独立に判定します。他の肢では、給水管の水圧試験、温度変化による配管の伸縮、ケーブル支持による下地への荷重が、それぞれの施工目的に合っているかを確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:給水配管の水圧試験を、所定の圧力で60分間保持して行う本肢は適当です。配管の内部へ水で圧力をかけ、継手などからの漏れや異常がないかを確認します。短時間だけ圧力を上げて、すぐ下げる試験ではありません。また、圧力計の数値だけでなく、接合部などの状態も確認します。水圧試験は配管の耐圧性や水密性を調べるもので、飲用に適する水質や誤接続がないことを、これ一つで全て証明するものではありません。それぞれ必要な確認を行います。
選択肢2
選択肢2:ステンレス鋼管の立て管を最下階で固定し、各階の形鋼による振れ止めでは熱伸縮を妨げない本肢は適当です。金属管は温度が上がると伸び、下がると縮みます。全ての階で上下方向まで強く拘束すると、伸縮できずに継手や支持部へ無理な力が加わります。固定点は荷重や位置を受け持ち、振れ止めは横方向の不安定な動きを抑えながら必要な伸縮を許します。管を支えることと、全方向へ動かなくすることは同じではないと理解しましょう。
選択肢3
選択肢3:本肢のケーブルを、過度な重量がかからないよう天井の吊りボルトや下地材へ2m以下の間隔で結束バンド支持する取扱いは適当です。ケーブルの種類と支持条件に合い、天井下地へ過大な荷重を負担させないことが前提です。これは、ダクトや重量のある設備まで天井下地で支えてよいという意味ではありません。配線が垂れたり金属端部で傷付いたりしないように保持し、支持材の負担を確認します。対象物の重さと定められた施工方法を区別して判断します。
選択肢4
選択肢4:接地極とガス管との離隔を0.75mとする点が不適当です。ガス管とは1.5m以上離します。一方、接地極の埋設深さ1.5mは、0.75m以上という深さの条件を満たすため、それ自体を誤りとしません。雷電流が大地へ流れる際には接地極周辺の電位が大きく変化するので、近接する配管への影響を抑える配置が必要です。埋設物の図面や現地の位置を確認し、地表からの深さと、ガス管までの距離を別々に測って管理します。
周辺知識
設備工事の支持や配置には、それぞれ異なる目的があります。配管の固定点は重さや位置を受け持ち、振れ止めは横揺れを抑え、熱伸縮を許す部分は温度変化による力を逃がします。丈夫にするために全てを強く固定すればよいとは限らず、必要な動きを残す設計もあります。
検査では、何を確かめる試験かを区別します。水圧試験は圧力がかかったときの漏れなどを調べますが、配管の水質、用途の取り違え、支持方法を全て代わりに確認するものではありません。完成後には隠れてしまう部分もあるため、施工段階で確認すべきことを整理します。
地中設備の数値は、測る方向と対象を書き添えて覚えると間違いを減らせます。接地極の埋設深さは地表から下へ測り、ガス管との離隔は二つの設備の間で測ります。似た数字が並んでも目的が違うため、片方を十分に確保したから他方を省略できるものではありません。問題文の複数の条件を一つずつ照合する姿勢が大切です。