学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問21
問題・正答・学習用解説
問題
5階建ての建築物における各部工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢2です。屋外の硬質ポリ塩化ビニル管を用いたたてどいは、特記がなければ、とい受け金物を2m程度の間隔で取り付けます。本肢の3m間隔は広すぎます。雨水を流す管でも、材質や形状によって必要な支持間隔が違う点に注意します。
たてどいは屋根から集めた雨水を地上側へ下ろす管です。鉛直の管なので床と平行な管ほど自重でたわまなくても、風や地震による横揺れ、継手への負担を抑える支持が必要です。長い区間を支持しないと、管が振れたり接合部へ力が集中したりするおそれがあります。
他の選択肢の1.5m、900mm、6mは、別の対象と目的についての間隔です。耐火二層管の吊り間隔は横走り管を通常時に支えるため、ランナーの固定間隔は壁下地を床へ固定するため、ケーブルラックの耐震支持は地震時の横方向の力へ抵抗するために定めます。支持という同じ言葉でも数値を共通化せず、何を、どの方向に、どのような力に対して支えるかを確認して選びます。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:呼び径150の耐火二層管の横走り配管を、1.5m以下の間隔で吊る本肢は適当です。耐火二層管は、内側の管と外側の耐火被覆などを組み合わせた構成で、管の重さに加え、内部を流れる水の重さも支持します。水平に近い管を長い間隔で吊ると、途中がたわみ、排水勾配や接続部に影響します。呼び径は管の大きさを区分する名称であり、径や材料が違えば支持条件も変わります。必要な位置に吊り金物を設け、所定の勾配を保てるよう施工します。
選択肢2
選択肢2:屋外の硬質ポリ塩化ビニル管のたてどいを3m間隔で支持する点が不適当です。特記がなければ、とい受け金物の間隔は2m程度とします。屋外の管は風を受け、温度変化や建物の揺れにもさらされます。雨が流れる経路を確保するだけでなく、管が大きく振れずに保持される必要があります。同じ塩化ビニル系でも、薄い雨どい製品などの別区分には異なる支持間隔があります。問題文の「硬質ポリ塩化ビニル管」という材種を確認して、適用する条件を選びます。
選択肢3
選択肢3:軽量鉄骨壁下地のランナーを、コンクリートスラブへ打込みピンで900mm程度の間隔で固定する本肢は適当です。ランナーは床や天井に沿って設け、縦材であるスタッドの端部を受ける溝形の材です。床側の固定が不十分だと、壁下地の位置が安定しません。ピンが適切に効く下地の状態を確認し、端部の納まりにも配慮します。900mmはランナーの固定間隔であり、ボードを留めるビス間隔や、スタッド同士の間隔を示す数字ではありません。
選択肢4
選択肢4:本問の最上階で耐震クラスSに対応するケーブルラックへ、6m以内の間隔でSA種の耐震支持を行う本肢は適当です。ケーブルラックは多数の配線をまとめて支える架台です。通常の吊り材は主に鉛直方向の重さを受けますが、地震時には横方向にも力が働くため、所定の耐震支持が必要です。必要な支持の区分は、設備の重要度や設置階などに応じて選びます。6mという耐震支持間隔を、通常の吊り支持も6mでよいと読み替えないようにします。
周辺知識
支持間隔の問題は、数値を覚える前に支持の役割を分類すると理解しやすくなります。管や架台の重さを下向きに受ける吊り支持、横揺れを抑える振れ止め、地震時の大きな力を伝える耐震支持は、目的が異なります。同じ設備に複数の種類の支持を設けることもあります。
横走り配管では、支持間隔が広すぎると途中がたわみます。排水管は自然な流れを利用するため、たわみで逆勾配になることも問題です。たてどいでは、鉛直方向へ流れるから支持不要というわけではなく、風による振れや継手の安定を考えます。
設備の耐震対策では、建物の上部や重要な機能を担う設備など、設置条件に応じた区分を確認します。支持材そのものだけでなく、その力を受けるアンカーや躯体までつながっている必要があります。問題文を読むときは、管種、径、向き、設置階、通常支持か耐震支持かを書き分けると、別の工事で覚えた間隔を誤って当てはめることを防げます。