学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
内外装工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。PCカーテンウォールのスパンドレル方式では、一般に各階の腰壁状のPC部材を同じ階の躯体へ固定し、上下のPC部材の間にある窓などの部分で層間変位を吸収します。「PC部材で層間変位に追従させる」という説明が方式の特徴と合っていません。
層間変位は、地震などで上の階と下の階が水平方向へずれる量です。PC部材はプレキャストコンクリートでつくる硬い部材なので、窓枠全体が平行四辺形になるような変形を、部材自体へ無理に与えることはできません。どの接合部や目地で動きを吸収するかを計画します。
PC部材を回転させて追従するのがロッキング方式、水平に移動させて追従するのがスウェイ方式です。スパンドレル方式は、腰壁状の部材が各階とともに動き、間の窓部などが相対的なずれに対応する点を押さえます。「外壁が地震に対応する」という大きな目的だけで方式を一括りにせず、部材の固定位置と、実際に動く部分を確認することが、名称の取り違えを防ぐ方法です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:せっこうボードを突付け工法で張る場合に、目透かしの仕上りに適するベベルエッジを使う本肢は適当です。ベベルエッジは端部を面取りした形で、ボード同士を突き付けたときに目地の形が現れます。ジョイント処理で継目を平滑に埋めるテーパーエッジとは使い分けます。ボードの厚さだけでなく、端部の形状が仕上げ方法に対応している必要があります。どちらもせっこうボードだから同じという扱いではなく、継目を見せるか、平らに処理するかを先に確認します。
選択肢2
選択肢2:水や湿気の影響を受ける場所のビニル床シート張りに、所定のエポキシ樹脂系接着剤を使う本肢は適当です。使用中の水分に対する接着性能を考えて材料を選びます。ただし、耐水性のある接着剤を使えば、施工時の下地が濡れていてもよいという意味ではありません。下地の乾燥や平滑さ、汚れの除去など、製品と工法に定められた条件を守ります。接着剤の選定と下地の状態の両方がそろって、床シートの浮きや剥がれを防ぐことができます。
選択肢3
選択肢3:スウェイ方式の取付け部で、摺動が必要な長孔部分のボルトを手締めとし、緩み止めを行う本肢は適当です。長孔はボルト位置に移動の余地を設けるための孔です。ここを強く締め付けて滑れなくすると、地震時に予定した動きができず、部材や取付け部へ無理な力が加わります。一方で、勝手に緩んで外れてよいわけでもないため、所定の緩み止めを行います。「強く締めるほど安全」と一律に考えず、動かす接合部か固定する接合部かを区別します。
選択肢4
選択肢4:スパンドレル方式でPC部材に層間変位への追従を担わせる説明が不適当です。この方式では、各階の腰壁状の部材をその階へ固定し、上下の部材の間に設ける窓などで相対変位を吸収します。PC部材を回転させるロッキング方式や、水平に移動させるスウェイ方式とは仕組みが違います。硬いコンクリートのパネル自体を大きくひし形に変形させるわけではありません。どの階へ固定し、どの目地や取付け部で動きを許すのかを考えて方式を整理します。
周辺知識
カーテンウォールは、建物の主な鉛直荷重を支える骨組みとは別に取り付ける外壁です。建物が地震で揺れると、柱や梁が変形し、各階の位置関係も変わります。外壁を全ての場所で硬く拘束すると、その変形を受け切れず、パネルや取付け部を損傷するおそれがあります。
そこで、外壁を落下しないように支える機能と、必要な方向に動ける機能を組み合わせます。ロッキングは回転、スウェイは水平移動によって追従します。スパンドレル方式では各階に固定された腰壁状の部材間で、窓などがずれに対応します。名称と動き方を一対一で結び付けると理解しやすくなります。
仕上工事でも、使う材料と納まりの組合せが重要です。ボードの端部形状は継目の仕上げ方に、床接着剤は使用中の水分条件に、外壁のボルト締め方は接合部の動きに対応します。材料が高性能であることだけでは足りず、そこで求める働きを妨げない施工方法を選ぶ必要があります。