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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問16

問題・正答・学習用解説

問題

防水工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    シート防水工事の接着工法において、一般平場部の合成高分子系ルーフィングシートについては、引張力を与えながら下地に接着させた。
  2. (2)
    屋根保護防水絶縁工法によるアスファルト防水工事において、一般平場部に砂付あなあきルーフィングを使用する工法としたので、立上り部については砂付あなあきルーフィングを省略した。
  3. (3)
    ウレタンゴム系塗膜防水工事において、防水材の塗布による防水層の施工については、立上り部、平場部の順に行った。
  4. (4)
    シーリング工事において、外部に面するシーリング材の施工に先立ち行う接着性試験については、特記がなかったので、簡易接着性試験とした。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢1です。接着工法の合成高分子系ルーフィングシートは、無理に引っ張った状態で接着しません。シートを広げてなじませ、余分な引張力を残さずに張り付けます。引っ張ればしわを伸ばせそうですが、接着後に元の長さへ戻ろうとする力が残るためです。
例えば、ゴムを伸ばしたまま両端を固定すると、固定部分には常に引き戻す力が働きます。防水シートでも、残った張力が接着面や継目へ作用すると、端部の剥がれや接合部の不具合につながります。表面がその場できれいに見えることと、長期間安定して接着することは同じではありません。
シート防水では、下地を整え、所定の接着剤と手順で張り、継目や端部を確実に納めます。塗膜防水では、立上りを先に施工し、その後に平場を施工して、作業中の汚れや傷を避けます。シーリングでは実際の被着体との接着性を事前に確かめます。防水材料の種類は違っても、材料に無理な力を残さず、つなぎ目を含めた連続性を確保することが共通の目的です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:シートへ引張力を与えながら接着する点が不適当です。シートをなじませ、無理な張力を残さずに施工します。引っ張った材料は元へ戻ろうとするため、接着後も端部や継目へ力が働き続けます。しわを取りたい場合も、過度な引張りで解決するのではなく、下地の平滑さ、シートの仮敷き、接着手順などを整えます。防水層は温度変化にもさらされるので、施工時点の見た目だけでなく、材料が安定して接着し続けられる状態をつくることが大切です。

選択肢2

選択肢2:保護コンクリートを設ける屋根のアスファルト防水絶縁工法で、平場に砂付あなあきルーフィングを使い、立上りではこれを省く本肢は適当です。絶縁工法は下地の動きなどが防水層へ直接伝わりにくくなるよう、全面密着を避ける工法です。ただし、屋根の全ての場所を同じように浮かせるという意味ではありません。立上りには、下地への接着や端部の納まりが必要です。平らな広い部分と、壁へ立ち上がる部分とで、防水層を安定させる方法が異なります。

選択肢3

選択肢3:ウレタンゴム系塗膜防水で、立上りを先に、平場を後に施工する本肢は適当です。塗膜防水は液状の材料を塗り、硬化させて連続した防水膜をつくります。平場を先に仕上げると、立上りの作業中にその上を歩いたり材料を落としたりして、防水膜を傷めるおそれがあります。先に周囲の立上りを仕上げ、その後に平場を施工すれば、完成部分への影響を抑えられます。施工順序に加え、隅部の補強、所定の塗布量、次の層までの硬化時間も管理します。

選択肢4

選択肢4:外部のシーリング工事で、特記がない場合の施工前の接着性試験を簡易接着性試験とする本肢は適当です。シーリング材が規格品でも、実際に接する塗装面や金属面、プライマーとの組合せで接着状態が変わります。簡易試験によって、計画した組合せと施工条件で適切に付着するかを確認します。材料自体がよく伸びることと、接着面から剥がれないことは別の性能です。施工後に目地全体が剥がれる事態を避けるため、先に実際の被着体との相性を確かめます。

周辺知識

建物の防水は、屋根の平らな部分だけを覆えば完成するものではありません。壁への立上り、出入口、排水口、材料同士の継目などで防水層を連続させる必要があります。水は小さな切れ目からも入るため、広い面の施工と端部の納まりを一緒に考えます。
シート防水は工場製のシートを接合し、塗膜防水は現場で液状材料を硬化させます。前者はシートの張り方や継目、後者は塗布量や膜厚、硬化条件が重要になります。どちらも、下地が汚れていたり、接着が不十分だったりすると、本来の材料性能を発揮できません。
シーリングは、部材間の目地を柔らかい材料で塞ぐ方法です。温度や地震によって目地幅が変わるため、材料が動きに追従できることと、被着体へ付着し続けることが必要です。防水工事の施工順序や事前試験は、手間を増やすためではなく、完成した膜を傷めず、実際の下地で必要な性能が得られることを確かめるために行います。