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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問17

問題・正答・学習用解説

問題

左官工事、タイル工事及び石工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    せっこうプラスター塗りにおいて、塗り作業中及び作業後半日から1日は通風をなくし、凝結が十分に進行した後は適切な通風を与えた。
  2. (2)
    コンクリート壁面へのモルタル塗りにおいて、下塗りの調合については容積比でセメント1に対し砂2.5とし、中塗り及び上塗りの調合については容積比でセメント1に対し砂3とした。
  3. (3)
    有機系接着剤によるタイル後張り工法において、屋外に使用する接着剤は、練り混ぜ不良に起因する事故を防止するため、JIS規格品の二液反応硬化形の変成シリコーン樹脂系のものとした。
  4. (4)
    石工事における床用敷きモルタルの調合については、容積比でセメント1に対し砂4とした。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢3です。外壁タイルの有機系接着剤張りでは、所定の一液反応硬化形の接着剤を用います。本肢は、主剤と硬化剤の混合比率の誤りによる硬化不良を防ぐ目的なのに、二液反応硬化形を選んでいる点が不適切です。
二液形は二つの材料を所定の比率で混ぜて反応させるため、計量の誤りや混合不足があると、十分に硬化しない部分が生じるおそれがあります。一液形では、現場で主剤と硬化剤を配合する作業が不要です。本問では、変成シリコーン樹脂系であることだけに注目せず、「二液」と「混合比率の誤りを防ぐ」という目的の関係を読み取ります。
タイルを外壁へ張る接着剤には、接着強さに加え、下地とタイルの動きに対応する性能が求められます。適用する規格や工法に合う製品を選び、必要な塗布量、くし目、張付け可能時間などを守ります。他の肢は、せっこうプラスターが固まるまで急乾燥を避けること、壁モルタルの上層を過度な富調合にしないこと、床石張りの敷モルタルを適切に調合することを述べています。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:せっこうプラスターを施工している間と、その後の半日から1日程度は通風を避け、十分に硬化してから通風させる本肢は適当です。せっこうプラスターは水との反応で固まる塗り材料です。固まる前に強く風を当てると、表面だけが急に乾き、正常な硬化や仕上りに支障を生じるおそれがあります。一方、硬化後は余分な水分を乾かすために通風を図ります。「乾燥は常に速いほどよい」と考えず、反応を進める段階と、その後に水分を除く段階を区別します。

選択肢2

選択肢2:壁モルタルの調合を、下塗りのセメント対砂1:2.5、中塗りと上塗り1:3とする本肢は適当です。後者のほうがセメントに対する砂の割合が多く、過度な富調合を避けています。セメント分を増やせば全ての性能が向上するわけではなく、乾燥収縮が大きくなるなどの問題があります。上層だけが大きく縮むと、下層との間に無理な力が生じ、ひび割れや剥離につながります。層同士の組合せを考え、各層の厚さや養生も含めて施工します。

選択肢3

選択肢3:混合比率の誤りによる硬化不良を防ぐ目的で、二液反応硬化形を選ぶ点が不適当です。所定の一液反応硬化形を用い、現場で主剤と硬化剤を配合する工程をなくします。二液形は二つの材料を正しく計量して均一に混ぜる必要があり、混合比率を間違える可能性が残ります。ただし、一液形なら下地処理や施工時間の管理が不要になるわけではありません。規格に適合する製品を使い、製造所の施工条件を守って、必要な接着面積と硬化を確保します。

選択肢4

選択肢4:床の石張りで敷モルタルをセメント対砂1:4とする本肢は適当です。敷モルタルは、石の下で高さを調整し、荷重を下地へ伝える層です。壁の塗りモルタルや、接着のためのセメントペーストとは役割が異なるため、同じ調合を一律に使いません。石の下に大きな空隙を残すと、荷重を受けたときの割れやがたつきにつながります。調合の数字に加え、石を所定の高さと勾配に据え、十分に支持される状態をつくることが床石張りの重要な点です。

周辺知識

左官や張付けに使う材料は、固まり方が同じではありません。セメント系材料やせっこう系材料は水との反応を利用し、有機系接着剤には湿気との反応などで硬化する製品があります。単に水分が蒸発すれば全部が正しく固まるわけではないので、材料に合う養生と施工条件が必要です。
調合を表す1:3などの比は、何と何の割合かを確認します。本問のモルタルはセメント対砂です。砂の割合を減らす富調合は、強さだけでなく収縮や施工性にも影響します。用途が違う敷モルタル、塗りモルタル、張付け材料を、同じ数字で覚えないようにします。
一液形と二液形の違いは、現場で混ぜ合わせる材料の構成です。二液形は配合と混合を管理し、一液形でも使用可能な時間、下地の状態、硬化に必要な環境を守ります。材料選定では、製品名だけでなく、どの施工ミスを防ぎたいのか、どんな性能が必要なのかを結び付けると、選択肢の目的と方法の食い違いを見つけやすくなります。