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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和4年度 学科Ⅴ(施工) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

材料管理、品質管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    工事用材料について、設計図書に製品名及び製造所が3種類指定されていたので、その中から工事施工者が選定した。
  2. (2)
    工事施工者は、設計図書においてJIS又はJASの指定のある材料について、それぞれのマーク表示のあるものを使用することとしたので、当該工事の監理者への「設計図書に定める品質及び性能を有することの証明となる資料」の提出を省略した。
  3. (3)
    工事現場における錆止め塗料塗りにおいて、塗装面の単位面積当たりの塗付け量の確認については、膜厚測定が困難であるので、使用量から推定することにした。
  4. (4)
    有機系接着剤によるタイル後張り工法において、屋内の吹抜け部分の壁面に張り付けたタイルについては、接着剤の硬化前に全面にわたり打診による確認を行った。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢4です。接着剤で張り付けたタイルの打診確認は、接着剤が十分に硬化してから行います。本肢の「硬化前」が誤りです。硬化していない接着層へ打撃を与えるとタイルが動き、付着を損なうおそれがあります。また、固まった状態での浮きや空隙を適切に判定できません。
打診は、表面を軽くたたいて音の違いなどから内部の浮きを調べる方法です。接着層が十分に固まっていれば、密着している部分と空隙がある部分の違いを確認しやすくなります。まだ軟らかい材料は、それ自体が動いたり振動を吸収したりするため、所定の検査状態になっていません。
本肢では、屋内の吹抜け壁面のタイルを「全面」確認する点が問題なのではありません。高い壁面のタイルが落下すれば危険なため、確実な品質確認が必要です。しかし、検査を早く行えば安全になるとは限らず、材料の硬化という前提を満たす必要があります。品質管理では、何を調べるかだけでなく、いつなら正しく調べられ、施工物を傷めないかまで計画します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:設計図書で製品名と製造所が三種類指定され、その中から施工者が選ぶ本肢の対応は適当です。設計側が認めた選択範囲内での選定だからです。指定外の安価な製品などへ施工者が勝手に変更する場合とは異なります。ただし、他の特記条件や関連材料との組合せなども守る必要があります。複数の候補があるときは、必要な品質を確保した範囲で納期や施工条件も考慮して選び、所定の手続に従います。選定できる範囲を設計図書で読み取る問題です。

選択肢2

選択肢2:指定されたJISまたはJASのマーク表示を備える材料では、本肢の品質・性能を証明する別資料の提出を省略できる取扱いは適当です。JISは工業製品、JASは木質材料などの規格確認にも使われます。マークによって適合を確認できるための省略であり、規格番号や等級、寸法が設計の指定と合うかまで確認不要という意味ではありません。別の規格に対するマークがあるだけでは足りません。表示が何を証明しているかと、設計で何を求めているかを照合します。

選択肢3

選択肢3:塗付け量は、塗装面の単位面積にどれだけ材料を使ったかを示します。本肢のように膜厚測定が難しい現場では、使用量と施工面積から推定して管理する取扱いは適当です。例えば20kgを100m²へ使用したなら、平均は0.20kg/m2\displaystyle \mathrm{kg}/\mathrm{m}^{2}です。ただし、この平均値だけでは一部の塗り残しや極端な厚薄までは分からないため、外観なども確認します。塗付け量と乾燥後の膜厚は関連しますが同じ量ではなく、材料の性質を踏まえた所定の管理方法を用います。

選択肢4

選択肢4:接着剤が十分に硬化する前に打診した点が不適当です。まだ固定されていないタイルへ力を加えると、良好だった接着状態を崩すおそれがあります。全面を調べるという範囲ではなく、検査の時期を修正します。硬化時間は材料や温度・湿度などで変わるので、指定条件を確認してから検査を行います。施工直後には目地や位置など、その時点で確認できる項目を確認し、浮きの打診は適切な時期に行うというように、検査内容を工程に対応させます。

周辺知識

品質管理の確認方法には、書類・表示で確かめる方法、使用量などから間接的に確かめる方法、完成した状態を直接検査する方法があります。JIS・JASマークは規格適合の情報、塗料の使用量は塗付け量の推定、タイルの打診は浮きなどの確認に役立ちます。それぞれが調べられる範囲は異なります。
一つの確認で全部の品質が分かるわけではありません。規格品でも種類や寸法が違えば設計に合わず、塗料の平均使用量が合っていても局所的な塗り残しがあり得ます。材料の適合、施工の手順、施工後の状態を組み合わせて確かめることで、見落としを減らします。
検査の時期も品質の一部です。材料の受入時に確かめる項目、隠れる前に確認する項目、硬化を待って調べる項目があります。早すぎる検査は正しく判定できず、遅すぎる検査は手直しを難しくします。「目的に合う方法を、確認できる時期に実施する」という考え方で、各選択肢の管理方法を整理しましょう。