学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅳ(構造) 問27
問題・正答・学習用解説
問題
木材及び木質系材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
同じ樹種で気乾比重が大きい木材ほど曲げ強度が小さいという記述が逆です。気乾は周囲の空気とほぼつり合った水分状態、比重は同じ体積の水に対する重さの比です。同じ樹種で品質条件が同様なら、一般に気乾比重が大きいほど曲げ強度も大きくなる傾向があります。
木材には細胞壁という固体部分と、細胞の内部などの空隙があります。同じ体積で重い木材は、一般に力を受け持つ細胞壁の割合が多く、曲げ等へ抵抗しやすくなります。ただし比重だけで個々の材の強度を正確に決めることはできません。節、繊維の傾斜、割れ、含水率、成長時の性質なども強度へ影響します。
目視等級区分では、こうした強度に関わる材面の品質を測って等級を決めます。機械等級区分では曲げヤング係数などを測定して分類します。どちらも樹種名や重さだけで品質を判断する代わりに、構造材として使う性能を整理する方法です。一般的な比重と強度の傾向を知ることと、実際の柱・梁の設計値を選ぶことを分け、JAS等級や適用する基準強度を用いる必要があります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)目視等級区分構造用製材は、節、丸身、割れ、繊維の傾斜など、強度や使用性に影響する品質を測定し、等級に分けるものです。丸身は製材の角などに丸太の丸い部分が残ることで、有効断面の欠損にも関わります。出題時の定義として記述は適切です。なお2025年のJAS改正では、カメラ等による材面測定機器の利用も定義に追加されています。名称の「目視」を、現行制度で必ず人の目だけに限定する意味へ広げないようにします。
選択肢2
(2)針葉樹は比較的まっすぐな幹が育ちやすく、長い柱・梁に使う材を取りやすいことや、加工しやすいことから幅広く使われます。スギ、ヒノキ、カラマツなどが例です。ただし針葉樹なら全て同じ強度や耐久性という意味ではなく、樹種と等級、使用環境に応じた選定が必要です。また直材を得やすいことは構造材として便利な性質ですが、節や乾燥による反り・割れなどの品質管理を不要にするものではありません。
選択肢3
(3)木材では一般に曲げに対する基準強度が、せん断に対するより大きくなります。曲げは主に材の長手方向の引張りと圧縮で抵抗し、せん断では繊維に沿うずれなどが問題になるため、同じ木材でも抵抗できる応力度が違います。従って記述は適切です。梁の曲げ強度が十分でも、短いスパン、切欠き、支点近くなどでせん断が問題になる場合があります。曲げの基準強度をせん断の検定へ使わないことが重要です。
選択肢4
(4)同じ樹種なら、気乾比重が大きいほど曲げ強度も一般に大きくなる傾向です。比重が高い材は同じ体積に占める細胞壁の割合が大きいことが多く、力を受け持つ部分が増えるためです。記述はその大小を逆にしています。ただし重い材が必ず一本ごとに強いという保証ではありません。大きな節や割れなどがあると局部的な弱点になるため、比重の一般傾向と、実材の品質・等級による評価を合わせて考えます。
周辺知識
木材は多数の細長い細胞が並ぶ材料です。繊維方向に力を受ける場合と、繊維を横切る方向に力を受ける場合では性能が大きく異なります。梁の曲げ、支点でのめり込み、接合部の割裂などにそれぞれ別の強度を使うのは、この方向性によるものです。
比重は密度を水の密度と比較した無次元の値です。木材の水分が増えるだけでも質量は増えるため、比重と強度を比較するときは含水状態をそろえる必要があります。気乾比重という表し方は、その水分状態を指定して比較する意味を持ちます。
構造用製材の等級は、見た目の美しさだけではなく、節や繊維の乱れなどが力の伝達を妨げる程度を評価します。機械等級で測るヤング係数は変形しにくさで、破壊時の強度そのものではありませんが、材料性能を推定する重要な指標です。樹種、比重、含水率、品質欠点、等級を組み合わせ、設計で必要な方向と力の種類に対応する数値を選びます。