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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅳ(構造) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    土の含水比(土粒子の質量に対する土中の水の質量比)は、一般に、砂質土に比べて粘性土のほうが大きい。
  2. (2)
    飽和土は、土粒子の間隙部分が全て水で満たされている状態にある。
  3. (3)
    粘性土地盤において、粘土の粒径は、シルトの粒径に比べて大きい。
  4. (4)
    地盤の許容支持力度は、標準貫入試験によるN値が同じ場合、一般に、砂質土地盤に比べて粘性土地盤のほうが大きい。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

粘土の粒径がシルトより大きいという記述が逆です。土の粒を小さい方から並べると、粘土、シルト、砂、礫の順です。粒径は粒の大きさを表す量で、粘土とシルトはいずれも非常に細かい土ですが、粘土の方がさらに小さい粒の区分です。
粒が小さくなると、同じ質量でも粒の表面積の合計が大きくなります。粘土では表面に水を保持する性質や粒子間の作用が強く現れ、砂のように粒同士の摩擦だけを中心に考える土とは性状が異なります。そのため水分の多さ、変形、排水の速さなども粒径と関係します。ただし粘性土は粘土粒子だけでできた純粋な材料という意味ではなく、シルト等も含む土の工学的な分類として使われます。
地盤を評価する際は、粒径だけでなく、締まり方、含水状態、過去に受けた圧力なども重要です。同じ標準貫入試験のN\displaystyle \mathrm{N}値でも、砂質土と粘性土では、その数値が示す工学的な状態が異なります。砂の方がいつも強い、粘土の方がいつも弱いといった単純な判断ではなく、土の種類に応じた試験結果の読み方を使うことが必要です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)含水比は、水の質量を乾燥した土粒子の質量で割った比です。粘性土は細かい粒の表面に水を保持しやすく、一般に砂質土より大きな含水比を示します。土と水を合わせた全質量を分母にしているのではないため、場合によっては100%を超えることもあります。水分量が大きいことと、粒子間の空隙が全て水で満たされる飽和状態とは別の指標です。含水比だけでその土の密度や強度が一つに決まるわけではありません。

選択肢2

(2)飽和土は、土粒子間の空隙が全て水で満たされ、空気の部分がない状態です。飽和度は空隙の体積に対する水の体積の割合なので、飽和土では100%です。記述は適切です。ただし土全体が水だけになったわけではなく、固体の土粒子も存在しています。また、飽和していることだけで液状化するとは決まりません。液状化には土の種類、締まり方、地震の繰返し作用などの条件が関わるため、飽和と液状化を同じ言葉として扱わないようにします。

選択肢3

(3)粒径は粘土の方がシルトより小さいため、記述は誤りです。小さい順を「粘土→シルト→砂→礫」と並べると整理できます。目に見える砂粒に比べ、粘土粒子は非常に細かく、その表面の性質や水との相互作用が土全体の挙動へ大きく影響します。「粘る感じが強いから粒も大きい」といった見た目の印象とは関係しません。粒の大きさによる分類と、土全体が示す粘性や塑性の性質を対応させて理解します。

選択肢4

(4)同じN\displaystyle \mathrm{N}値を用いた一般的な許容支持力度の推定では、粘性土地盤の方を砂質土地盤より大きく評価する関係となり、記述は適切です。N\displaystyle \mathrm{N}値はサンプラーを打ち込む抵抗の指標で、土質を問わず支持力度へ同じ係数で換算できるものではありません。粘性土では比較的小さいN\displaystyle \mathrm{N}値でも硬い状態を示す場合があります。ただし地盤の安全性は支持力度だけでなく圧密沈下等にも制限されるため、この大小だけから基礎形式を決めることはできません。

周辺知識

土は固体の土粒子、水、空気という三つの部分からできています。空隙は土粒子以外の空間で、水と空気が入ります。含水比は質量の比、飽和度は空隙に占める水の体積の比であり、測っているものが違います。同じ含水比でも粒子の詰まり方が異なれば飽和度も変わり得ます。
砂質土では粒の締まり方や摩擦、粘性土では水分と粒子間の作用、排水と圧密などが重要になります。標準貫入試験のN\displaystyle \mathrm{N}値は手掛かりになりますが、粒径や土質を確認せず同じ意味で比較することはできません。土の名前、地層の厚さ、地下水、試験値を一緒に読み取ります。
基礎は、土が破壊せず荷重を支えられることに加え、沈下量が許容範囲であることも必要です。硬い粘土が高い支持力を持っていても、下に圧縮しやすい層があれば長期沈下が問題になる場合があります。粒径の分類は地盤を理解する入口であり、それに現地の状態と荷重条件を加えて設計へつなげます。