学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅳ(構造) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
床の計算用の積載荷重は、住宅の居室、教室、事務室です。したがって正しい大小は「住宅の居室<教室<事務室」で、(1)は教室と事務室の順序が逆です。
積載荷重は、人、家具、物品など、建物を使用することで床へ載る荷重です。建物自身の重さである固定荷重とは分けます。施行令の表には、同じ用途でも床の計算用、柱・大梁・基礎等の計算用、地震力の計算用という別の列があります。本問は床の計算なので、床用の列を比較します。
教室には人が多いという印象だけで最大と判断してはいけません。表の値は用途ごとの使用状態を設計上の荷重として定めたもので、事務室の床には家具や物品なども含めて教室より大きい数値が設定されています。他の列では用途間の大小が異なる場合もあるため、用途名だけでなく何を計算する値なのかを確認します。
また、表は実況に応じた計算をしない場合の扱いです。重い機器や書架など特別な荷重が想定される場合は、単に事務室という名称で通常の表値を当てはめず、その使用状態に応じた検討が必要です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)床用の規定値を小さい順に並べると、住宅1,800、教室2,300、事務室です。従って記述の事務室と教室が逆です。床は載荷される範囲の荷重を直接受けるため、柱・大梁等の計算や地震時の重量に用いる値とは別に設定されています。教室は人数が多そうだという印象や、他の列で覚えた順序を使わず、本問が指定する「床の構造計算」の列で比較する必要があります。
選択肢2
(2)地震層せん断力は、その階より上の各階に作用する水平地震力を、その階がまとめて下へ伝える力です。下の階へ行くほど上部の荷重が加算され、法令の地震力分布では最下層の値が最も大きくなります。上階ほど大きくなる係数と混同しないことが重要です。係数が大きくても、それを掛ける上部重量は上階ほど少なくなります。実際の時刻歴応答全般を単純な同時最大値の和とする説明ではなく、法令の設計用地震力の扱いです。
選択肢3
(3)多雪区域では、屋根に雪が残っている状態で地震が起こることを考え、地震時の荷重組合せへ所定の積雪荷重を含めます。雪は鉛直荷重となるだけでなく、地震で揺さぶられる重量にも関わります。積雪は冬だけだから地震の検討と別にしてよい、という考え方は適切ではありません。一方、全ての地域・全ての荷重組合せで同じ雪の量を入れるわけではなく、多雪区域の指定と、定められた組合せ係数に従います。
選択肢4
(4)屋根葺き材などの外装材には、建物全体の平均的な風力より、隅角部等で瞬間的に生じる強い局部風圧が重要です。ピーク風力係数は、各風向における局部風圧の最大値を考慮して定められます。風向が一つだけとは限らず、吹く方向によって不利な部位も変わります。骨組用の風荷重の係数を、そのまま小さな外装材の留付け設計へ流用しないことが要点です。吸上げや負圧による引抜き方向も含めて確認します。
周辺知識
荷重は、固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力などに分けて整理します。固定荷重は躯体や仕上げ等の重さ、積載荷重は用途によって載る人や物の重さです。分類が違えば、長期・短期の組合せや地震時の重量へ算入する方法も異なります。
積載荷重に複数の計算用の値があるのは、小さな床部分が局所的に最大荷重を受ける状態と、多くの床を支える柱や建物全体で考える状態が同じではないためです。表の数値にはそのような設計上の想定が含まれます。面積に掛ければ力となり、例えばをへ載せるとです。
風や地震では、局部部材と全体骨組の検討も区別します。屋根材一枚の留付けが受ける瞬間的な吸上げと、建物全体が受ける水平風力は同じ係数で扱えません。荷重の名称、計算対象、単位、同時に組み合わせる作用をそろえることが、正しい計算の第一歩です。