学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅰ(計画) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。鉄骨数量でダクト孔等による欠除をないものとして扱う基準は、一か所当たり0.1平方メートル以下です。0.5平方メートル以下とした値が誤りです。仕上げの小さな欠除について用いる0.5平方メートルと混同しています。
欠除は、材料の一部が孔などによって欠けていることです。鉄骨の梁に空調用ダクトを通す孔を設ければ、鋼材の一部が取り除かれます。積算では全ての小さな孔を細かく差し引くのでなく、対象ごとに定めたルールで数量を求めます。例えば0.2平方メートルのダクト孔は0.1を超えるので、ないものとして省略できません。
この扱いは、孔を開けても構造上安全という意味ではありません。数量を数えるための共通の約束と、構造の安全性の検討は別です。他の肢では、施工計画から求める仮設や土工の数量、器具による小さな仕上げの欠け、改修に必要な余幅を扱っています。何の材料・工事を、どの条件で数えるのかを先に確認し、異なる工種の数値をそのまま流用しないことが重要です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:計画数量の説明は適当です。設計図書を基に施工方法を計画し、その計画によって求める数量です。例えば足場は完成後の建物には残りませんが、工事中に必要な範囲を計画して数量を出します。土工でも掘削の勾配や作業空間など、施工方法によって掘る量が変わります。完成した形だけから求める設計数量と区別します。計画数量は担当者が根拠なく自由に決める量ではなく、設計条件に対応した施工計画を明らかにして計測・計算する量です。
選択肢2
選択肢2:器具等による小さな仕上げの欠除を、一か所0.5平方メートル以下では原則ないものとする本肢は適当です。壁や天井の仕上げには、配管や換気孔、設備器具等による細かな欠けが生じます。対象の小さな欠けを全て個別に差し引く手間を省き、統一した方法で数量を求める扱いです。この値を鉄骨のダクト孔へそのまま使うことはできません。また仕上げの全ての開口へ無条件に適用するのでもなく、規定された器具の類による欠除という対象を確認します。
選択肢3
選択肢3:鉄骨のダクト孔について0.5平方メートル以下とした点が不適当です。正しい境界は0.1平方メートル以下です。例えば面積0.2平方メートルの孔なら、0.5以下でも0.1を超えるため、欠除を無視できません。境界を超えた場合に超過部分だけを差し引く制度でもありません。小孔の数量上の扱いを定めたものであり、孔の補強が必要か、梁の強度を確保できるかは別に検討します。積算上省略するという表現を、材料が実際に欠けないという意味にしないようにします。
選択肢4
選択肢4:仕上改修で必要な余幅を加えられる本肢は適当です。改修範囲の境目だけをぴったり切り取るのでは、既存部分との接続や下地処理ができない場合があります。設計図書に余幅の図示がないとき、施工に必要な適切な幅を考慮して数量を求めます。ただし、根拠なく大きく上乗せしてよいという意味ではありません。どの改修方法で、どの接続や処理のために必要なのかを明らかにします。図示された仕上りの範囲と実際の施工に必要な範囲を区別する考え方です。
周辺知識
積算は、工事に必要な数量を求め、単価等と組み合わせて費用を組み立てる作業です。同じ図面を見ても人によって数え方が違えば、見積りを比較できません。そのため、どこまでを含め、どの小さな欠けを省略するかを共通の基準で決めます。
設計数量は完成形の設計寸法等に基づく量、計画数量は施工計画によって決まる量として区別します。さらに、材料を購入する際の必要量は加工の切断等とも関係し、図面の量と常に同じではありません。何を目的とした数量なのかを明確にすることが重要です。
欠除の省略規定は、計算を統一するための取り決めです。構造計算や施工の品質を緩める規定ではありません。仕上げ0.5、鉄骨のダクト孔0.1という値は、工種と対象を組にして覚えます。例として境界の間にある0.2平方メートルを当てはめると、どの規定を使うかで判断が変わる理由を確認できます。