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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅰ(計画) 問10

問題・正答・学習用解説

問題

施設を計画・運営する際の官民連携等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    指定管理者制度とは、文化会館や保育所、公園等の公の施設の管理運営を、ノウハウを有する民間事業者等が行うことで、住民サービスの質の向上を図り、施設設置の目的を効果的に達成するための制度のことである。
  2. (2)
    街なみ環境整備事業とは、住環境の整備改善を必要とする区域において、地方公共団体及び街づくり協定等を結んだ住民が協力して、美しい景観の形成、良好な居住環境の整備を支援する事業のことである。
  3. (3)
    TMOとは、商業・業務機能が集積した地区において、「中心市街地活性化基本計画」等をもとに活性化事業等を推進する民間主体の組織のことである。
  4. (4)
    サウンディング型市場調査とは、地方公共団体等の事業完了後に、住民との意見交換等を通し、事業に対しての様々な意見や改善点を把握する調査のことである。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢4です。サウンディング型市場調査は、公共事業の発案・検討や公募条件の整理段階で、民間事業者と対話し、事業の可能性、参入意向、アイデア、課題等を把握する調査です。事業完了後に住民から改善点を聞く事後評価とは、時期も対話相手も違います。
例えば、使われなくなった公共施設を再利用したい自治体が、どの用途なら運営できるか、どの条件が民間参加の障害になるかを事業者へ尋ねます。計画を全て固めた後で応募がなくなることを避けるため、早い段階で市場の見方を確かめ、条件を検討します。対話した事業者へ、その場で仕事を発注する制度ではありません。
住民の意見を聞くことも重要ですが、目的と手続が異なります。他の肢の指定管理者制度は公の施設の管理運営、街なみ環境整備事業は住環境と景観の改善、TMOは中心市街地の活性化を担う組織です。官民連携の言葉をまとめて暗記せず、誰が参加し、事業のどの段階で何をする仕組みかを整理して判断します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:公の施設の管理運営へ民間事業者等の知識・経験を活用する指定管理者制度の説明は適当です。例えば文化会館の事業運営や利用者対応を、専門性のある団体等が担うことによりサービス向上を図ります。施設の設置目的や住民の利用条件を無視し、民間の利益だけで自由に運営できるという意味ではありません。また、制度を使うことと施設の所有権を民間へ売ることは別です。自治体が求める公共性を保ちながら、管理の方法と成果を確かめます。

選択肢2

選択肢2:自治体と協定等を結んだ住民が協力して景観や住環境を整える街なみ環境整備事業の説明は適当です。個々の家をきれいにするだけでなく、道路や広場、外観の調和など地区全体の環境を改善します。一軒だけでは解決できない細街路や公共空間の課題には、住民間の合意と行政の支援が必要です。街づくり協定等はその方向を共有する手掛かりになります。住民の暮らしを無視して外観だけを統一する事業と捉えず、居住環境の改善を含めて理解します。

選択肢3

選択肢3:TMOを中心市街地の活性化を進める民間主体の組織とする本肢は適当です。Town Management Organizationに由来し、地域を一つのまとまりとして運営・調整する主体です。個店がそれぞれ集客しても、空き店舗、回遊経路、共同事業などは個店だけでは対応しにくい課題です。そこで関係者をつなぎ、計画に基づく活性化を組織的に進めます。建物を一つ設計する機関というより、地区の機能と事業を調整する役割として理解します。

選択肢4

選択肢4:完了後の住民との意見交換をサウンディングとする点が不適当です。サウンディングは主に事業の検討段階で民間事業者へ市場性や実現可能性を尋ねる対話です。事業化前に、用途、運営条件、費用負担等について見通しを得ます。住民への事後アンケートとは対象と目的が違います。ただし民間の提案をそのまま採用する義務が生じるわけではありません。公平性や透明性に配慮し、行政の目的に照らして情報を整理し、公募等の条件へ反映するか検討します。

周辺知識

官民連携には、行政と民間が役割を分担し、公共サービスや施設運営を進めるさまざまな方法があります。民間へ任せるという一言では、事業の計画、建設、運営、資金調達のどこを担うかが分かりません。各制度の対象業務と公共側に残る役割を確認する必要があります。
事業の流れは、課題の把握、可能性の調査、条件の整理、事業者の選定、整備・運営、評価などに分けられます。サウンディングは前半で民間の考えを聞き、実現可能な条件を探るために役立ちます。完成後の利用者評価は後半で、実際の成果や改善点を確かめるものです。
地域を扱う事業では、個別施設と地区全体の視点も区別します。指定管理者が一つの公園の管理を担う場合と、TMOが中心市街地の複数の店や公共空間の関係を調整する場合では、範囲が異なります。誰と誰をつなぎ、どの規模の課題を解決するのかを具体例で考えると、制度名と説明を対応させやすくなります。