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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問26

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、建築物は、いずれも無窓階を有しないものとし、指定可燃物の貯蔵又は取扱いは行わないものとする。

選択肢

  1. (1)
    主要構造部を耐火構造とし、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした延べ面積2,000m²、地上2階建ての図書館については、屋内消火栓設備を設置しなくてもよい。
  2. (2)
    地上8階建ての大学には、避難口誘導灯を設置しなくてもよい。
  3. (3)
    遊技場及び飲食店の用途に供する複合用途防火対象物の地階(床面積の合計900m²)については、ガス漏れ火災警報設備を設置しなければならない。
  4. (4)
    ホテルは、消防用設備等の技術上の基準に関する政令の規定の施行又は適用の際、現に存する建築物であっても、新築の場合と同様に当該規定が適用される「特定防火対象物」である。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。本問のような複合用途防火対象物の地階にガス漏れ火災警報設備が必要となるのは、原則として地階の床面積合計が1,000m²以上で、所定の用途部分も一定以上ある場合です。地階900m²は最初の面積条件に届かないため、本肢の設備を必ず設けなければならないとはいえません。
複合用途防火対象物は、一つの建物に複数の用途が入るものです。遊技場や飲食店は不特定の人が利用する用途なので、複合用途の中でもその性質に応じた区分で扱います。地階は漏れたガスや煙が外へ出にくく、避難も地上へ向かう必要があるため、用途と面積等を組み合わせて設備を求めます。
ガス漏れ火災警報設備は、ガスの漏出を検知して知らせ、着火や爆発などの事故を防ぐための設備です。火災が起きてから煙や熱を感知する設備とは役割が違います。ただし、飲食店がある地階なら面積を問わず本条の設備が必須、という規定ではありません。本問では900と1,000を比較して対象外と判断します。他の法令や機器に必要な安全装置まで全て不要になる意味ではなく、この消防設備の設置基準についての結論です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。図書館の屋内消火栓設備の通常の面積基準は700m²以上ですが、主要構造部が耐火構造で、内装が所定の燃えにくい材料なら、その面積の数値を3倍とする特例があります。本肢の準不燃内装はその条件を満たすので、基準は2,100m²です。2,000m²はこれを下回り、地上2階で無窓階もない本問では、設置しなくてもよいと判断できます。単に耐火構造という一条件だけで3倍にせず、内装の条件も併せて確認します。

選択肢2

(2)適当です。大学は、本問のように地上8階建てで無窓階等がない条件では、避難口誘導灯の設置を必ず求める用途・階の区分に該当しません。大学などの区分では、地階・無窓階・11階以上の部分が関係しますが、本問にはありません。避難口誘導灯は出口の位置を光で知らせる設備で、出口付近によくある緑色の表示です。8階だから大きくて必ず必要と感覚で決めず、用途と階の条件を確認します。誘導標識等の別の規定の要否とは区別します。

選択肢3

(3)誤りです。遊技場・飲食店を含む複合用途建物の地階について、本問で使う面積の境目は1,000m²以上です。地階900m²では、その条件を満たしません。対象用途が入っていることだけで判断せず、地階全体の面積と所定用途部分の面積等を順に確認します。『以上』は1,000m²ちょうどを含みますが、900m²まで引き下げる意味ではありません。ガスを使う施設の危険性を理解することと、特定の消防設備を法律上必ず設ける対象の判定は分けて考えます。

選択肢4

(4)適当です。ホテルは不特定多数の宿泊者が使い、就寝中や建物に不慣れな状態で避難する用途なので、特定防火対象物に該当します。その消防用設備等には、規定の施行・適用時に既に存在していた建物にも、新しい基準を適用する扱いがあります。建築時に適法だったからそのままでよいという、一般の既存不適格の考え方を一律に使うことはできません。火災による人命被害を防ぐため、既存のホテルにも設備の安全水準を確保する制度です。

周辺知識

消防用設備には、火を消す設備、異常を知らせる設備、避難を助ける設備などがあります。屋内消火栓はホースで水を放ち、ガス漏れ火災警報設備は漏出を検知し、誘導灯は出口や方向を光で案内します。名称に火災や避難が共通していても、設置する目的と対象条件は同じではありません。
必要な設備は、用途、面積、階、構造、内装などを組み合わせて判定します。例えば火が広がりにくい耐火構造と内装を備えれば、屋内消火栓の設置対象面積を大きくする特例があります。一方、地下や無窓階、高層階では避難等が難しくなるため、通常の階と異なる基準があります。『延べ面積』か『その階の床面積』かも確認が必要です。
特定防火対象物の特定は、多数の不慣れな利用者や避難に援助を要する人が使う用途などを、特に重く見る分類です。ホテル、飲食店等と、大学や一般事務所等を区別することが設備の判定に影響します。建築基準法の特殊建築物という分類とも完全には一致しません。まず消防法令の用途区分を選び、次に面積や階等を当てはめると、建築法規の似た数値を誤って使うことを防げます。