学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問22
問題・正答・学習用解説
問題
建築士に関する次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は3です。構造設計一級建築士が、本肢の対象建物の構造設計を行い、構造設計図書にその資格者である旨を表示した場合には、構造計算で安全性を確かめた旨の証明書の交付義務は適用除外になります。それでも別の証明書を必ず交付するとした点が誤りです。
一般には、建築士が構造計算で建物の安全性を確かめた場合、その旨の証明書を設計の委託者へ交付する必要があります。委託者は設計を依頼した人で、建物の安全がどのように確認されたかを受け取れるようにする仕組みです。
一方、大規模・高度な構造等を扱う対象建物では、構造設計一級建築士が自ら構造設計する、または他の一級建築士の設計を専門資格者が確認する制度があります。その図書には、専門資格者の関与を所定の方法で表示します。建築士法第20条第2項の但し書きは、この専門資格者の制度が適用される場合を一般の安全証明書交付から除いています。証明書を省けるのは構造の安全確認を省けるためではなく、別の専門資格者の関与と図書の表示が行われるためです。対象建物と所定の行為という条件を落とさないようにします。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。建築士は、法令に適合しない建物を設計するよう求められた場合、その違法な設計の相談に応じることを禁止されています。建築主の希望や依頼があっても、専門家として違法な計画を進めてはいけません。例えば許されない規模を法令に反して設計する依頼を、そのまま受けて図面を作ることはできません。一方、どこが法令に反するかを説明し、適法な計画へ修正する助言まで禁止するという意味ではありません。依頼内容を適法に導く姿勢が必要です。
選択肢2
(2)適当です。令和3年度の合格者が翌年度に建築士事務所へ所属し、初めて定期講習を受ける場合、合格年度の翌年度開始日から3年以内が期限です。令和4年4月1日を起点に、令和4・5・6年度の3年度を数え、令和7年3月31日までとなります。所属した日から単純に3年間、または令和7年の年末までとするのではありません。建築士事務所で実際に業務を行う人の知識を更新するための制度なので、合格年度、所属時期、過去の受講歴を分けて確認します。
選択肢3
(3)誤りです。本肢は、専門資格者が対象建物の構造設計を行い、資格の表示をした図書を作成するという、一般の安全証明書の交付義務が外れる条件を満たしています。したがって別途必ず証明書を交付するとはいえません。単に構造設計一級建築士という資格を持つ人がどこかにいるだけではなく、対象の構造設計と所定の図書表示を行う点が重要です。一般の交付義務を覚える際は、条文の但し書きで参照する専門資格者の制度も併せて読みます。
選択肢4
(4)適当です。設備設計一級建築士は、一級建築士の資格を基礎として、設備に関する所定の経験や講習等を経た専門資格者です。そのため、設備以外の建築物の設計を行うこともできます。専門資格を取ることによって、もともとの一級建築士としての設計範囲が設備だけへ狭まるわけではありません。ただし、構造設計一級建築士の関与が必要な建物を設計する場合などは、その別の制度に従います。専門資格同士を相互に代用できるという意味ではありません。
周辺知識
建築士法は、建物の図面の内容だけでなく、誰が責任を持って設計・確認し、依頼者へ何を説明するかを定めています。一般の一級建築士の資格に加え、複雑な構造や設備には専門資格者の関与を求めることで、必要な知識と経験を設計へ反映させます。図書への資格表示は、その責任の所在を後から確認するためにも重要です。
資格の専門性と、設計できる範囲は同じ言葉ではありません。設備設計一級建築士も一級建築士として建築全体を設計できますが、構造の専門確認が必要ならその手続を別に行います。専門資格を持つことは、別分野の専門資格者の確認まで自動的に不要にするものではありません。
定期講習は、資格を取った後の知識を維持・更新する制度です。建築基準や技術は変わるため、長く仕事を続ける人にも継続的な学習が必要です。初回受講の期限は合格した年度との関係で決まる場合があり、その後は前回受講年度等を基準に数えます。本問のように『年度』が出てきたら、4月1日から翌年3月31日までの区切りを紙に書き、暦年や所属日からの期間と混ぜないようにします。