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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問21

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    木造、延べ面積1,200m²の事務所は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならない。
  2. (2)
    「構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。」とする規定は、「耐久性等関係規定」に該当する。
  3. (3)
    一級建築士の設計に係る木造、延べ面積120m²、高さ9m、地上2階建ての一戸建て住宅においては、建築物の建築に関する確認の特例により、建築基準法令の規定の一部が審査から除外される場合であっても、当該規定は遵守されなければならない。
  4. (4)
    木造、地上2階建ての一戸建て住宅において、土台の過半について行う修繕は、「大規模の修繕」に該当する。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。土台は『構造耐力上主要な部分』には含まれますが、大規模の修繕の判定に用いる『主要構造部』には含まれません。したがって、土台の過半を修繕することだけでは、大規模の修繕に当たりません。
土台は、木造建物の基礎の上に横に置かれ、柱の下部をつなぐ部材です。地震の力を基礎へ伝えることにも関わるため、構造上は重要です。しかし、建築基準法の『主要構造部』は、壁、柱、床、はり、屋根、階段という法定の範囲で、構造上重要な部材を全て含む日常語ではありません。土台や基礎は、ここで使う主要構造部とは別に扱われます。
大規模の修繕は、主要構造部の一種以上について過半を修繕することです。過半は半分を超えることですが、修繕する部分がその定義に入るかを先に確かめます。土台は入らないため、半分以上の量を扱っても本肢の結論にはなりません。これは土台の修繕が安全上軽い作業であるという意味ではなく、工事の法的な分類についての判断です。似た名称の二つの用語を、土台を具体例にして区別することが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。木造で延べ面積1,000m²を超える建物は、原則として外壁と軒裏のうち延焼のおそれのある部分を防火構造にします。本問は1,200m²なので対象です。軒裏は屋根が外壁より外へ出た部分の下面で、隣棟の火炎が回り込む弱点になり得ます。大きな木造建物では火災の規模も大きくなり得るため、周囲と近接する外側の部分に延焼対策を求めます。防火地域等の指定があるときだけ検討すればよい規定ではありません。

選択肢2

(2)適当です。構造を支える木材に、節や腐れ等による耐力上の欠点がないことは、耐久性等関係規定に含まれます。節は枝が幹に取り込まれた部分、繊維の傾斜は木の繊維が材の長さ方向とずれること、丸身は角材の角に丸太の外周が残る部分です。これらが程度や位置によって強度を損なう場合があります。木に節が一つでもあれば全て不可という意味ではなく、耐力上の欠点となる品質を排除する規定です。構造計算も適切な材料品質を前提にしています。

選択肢3

(3)適当です。本年度の小規模な木造住宅で、建築士の設計により確認の審査の一部を省く特例が適用されても、省略された規定を守る義務は残ります。行政等が全ての項目を審査しない代わりに、設計した建築士が適合を確認する責任を持つ制度です。120m²、2階建てなどの本問の規模に特例があることを、壁量や採光等の基準の免除と考えてはいけません。なお、この確認の特例の対象は後年改正されているため、令和3年度の条件として理解します。

選択肢4

(4)誤りです。大規模の修繕の対象となる主要構造部に土台は含まれません。土台は建物を支えるうえで重要な部材ですが、構造計算等で使う『構造耐力上主要な部分』と、大規模修繕の定義で使う『主要構造部』は範囲が異なります。まず部材の種類を判定し、その後に過半かどうかを確認します。土台を多数交換する工事であっても、その量だけで大規模の修繕とは判断できません。柱や壁等も同時に修繕するなら、その部分について別に判定します。

周辺知識

木造住宅の骨組みを下から見ると、地面へ力を伝える基礎、その上の土台、縦に立つ柱、横へ架けるはり、床や屋根などがつながっています。構造の安全を考えるときは、この力の流れを途切れさせないことが重要です。一方、法律の用語は、構造の安全、防火、工事の分類など、それぞれの目的に合わせて範囲を定めています。
『主要構造部』と『構造耐力上主要な部分』は、文字が似ているため混同しやすい組合せです。前者は大規模の修繕や防火等の規定で用いる分類、後者は荷重や地震力等を支える部分の分類です。土台や基礎を思い浮かべると、構造上重要でも主要構造部の列挙には入らないという違いを確認できます。
また、適用除外と審査省略は違います。適用除外なら所定の規定をその条件では適用しませんが、確認の審査省略なら規定自体は適用され、設計者が守らなければなりません。木材の品質、外壁の延焼対策、審査の特例、土台の修繕は、それぞれ別の入口から法令を読む問題です。『小さな木造住宅だから全て緩い』というまとめ方をせず、各規定の目的と対象を確認します。